アオリ撮影
引き伸ばしレンズ、大判レンズをデジタル一眼で!
思いっきりアオれる袋蛇腹を自作
岸本陸一さん http://www.ksmt.com
戦前のレンズに魅せられ収集をはじめる。古いレンズをデジタル一眼レフで蘇らせて楽しんでいる。
 市販のアオリレンズは高価で重い。安くて思いっきりアオれるレンズが簡単に自作できる。カメラのマウントはジャンクのレンズから取る。金属マウントが良い。レンズは引き伸ばしレンズが手軽。必ず75mm以上でプラスティックケース付きのものを買うこと。75mm以下では無限遠付近でアオれず、イメージサークルも小さい。
 最初完全手縫いの袋蛇腹を作ったが、改善のたびに縫い直さなければならないし、レンズ交換ができない。ジャンク屋でコンパクトカメラのソフトケースが目にとまる。ファスナーで開閉できる新型の袋蛇腹である。黒い人工皮革でファスナーが完全に閉まるものが良い。ここまで材料が揃えば後は簡単。
1. ソフトケースにカメラマウントを接着。瞬間接着剤で十分強度が得られた。マウントの内側に沿って、ハサミで穴をあける。
2. プラスティックケースを鋸で切断し、厚さ5mmほどのメスネジを作る。
3. カメラマウントの逆側に直径39mmの穴をあける。ここにレンズを差込み、内側からメスネジで止める。
4. ファスナーを閉めて完成。レンズ交換を頻繁にしたい人は、写真のようにメスネジを蛇腹に表から縫い付けてしまうとよい。
5. アオリの制限は何もないので思いっきりアオって撮影する。75mmレンズでも結構アオれるが、100mm以上ならイメージサークルが大きいのでさらにアオれる。焦点距離が長いレンズの場合、カメラと蛇腹の間にエクステンションチューブを入れてフランジバックを調整する。
 戦前に作られた古いレンズをこの蛇腹に取り付けて撮影するのも楽しい。昔のレンズ職人の技がデジタルでも存分に味わえる。
 
アオリレンズの簡単自作
CANON EOS10Dに自作の袋蛇腹と引き伸ばしレンズEL-NIKKOR 75mmを取り付けたところ。どの方向にでも自由にアオることができる。レンズが軽いので、簡単な蛇腹でも十分支えられる。フォーカルプレーンシャッターなので、光線引きを心配する必要はない。
引き伸ばしレンズのケースのメスネジの部分を切り取る。蛇腹の穴にレンズを入れ、メスネジで裏から止める。メスネジを表から縫い付けるとレンズ交換が簡単。ファスナーがあると大変便利。
ジャンクのレンズを買ってきて、マウントの部分だけ取り出す。金属マウントが望ましい。カメラケースに瞬間接着剤で取り付ける。