EOS10D日記その26

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2008.9.19 初恋のきた道

中国語の勉強にと思って、チャン・イーモウ監督の”初恋のきた道”というDVDを借りてきました。はじめて見たのですが、すばらしい映画でした。特に秋の輝く黄葉の風景が見事です。ところが肝心の中国語字幕が出ないのです。字幕は日本語だけ。中国語初心者の私には、さっぱり聞き取れません。

そこで、中国語の堪能な中将姫光学さんと一緒に横浜の中華街まで行って、中国語字幕の出るDVDを探してもらったのですが、残念ながら見つかりませんでした。そもそも中国映画のDVDを置いている店自体が中華街にはないようです。中国のテレビドラマのビデオを置いてる店はあったのですが。

家に帰ってからインターネットで調べると、チャイナベシネマというところに頼むと中国から直輸入できることが分かりました。日本のDVDプレーヤーで再生できることが確認済みだそうです。一週間ほどで到着予定。

もちろん中国からDVDを直輸入すると、中国語字幕は入るのですが、日本語字幕はないわけでして、意味は自分で調べなければなりません。ちょっと調べきれないかもしれないなぁと思っていたところ、日中通訳センターから対訳テキストが販売されていることに気付きました。この映画のセリフが全部書き取りされ、日本語に直訳されているそうです。こちらは国内なので数日で到着予定。


2008.9.18 欲しいレンズ44 Taylor Hobson f 4.5 wide-angle lens



Courtesy of PHOTOGRAPHIC OPTICS Ninth Edition by ARTHUR COX.

ARTHUR COXのPHOTOGRAPHIC OPTICS Ninth Editionを眺めていて気になるのは、Taylor Hobson f 4.5 wide-angle lensの構成図です(169ページ)。これはMeyerのF2.7ミニチュア・プラズマット(Miniature Plasmat)と良く似ており、前群ガウス後群プラズマットの複合型の構成です。Taylor Hobson f 4.5 wide-angle lensは第1群から第4群まで全部似たような大きさですが、Miniature Plasmatの方は第3群が小さく、第4群が大きくなっています。

F4.5だと、たぶんごく普通の写りだと思いますので、写したいので欲しいというよりは、分解してみたいので欲しいといったところです。


2008.9.17 欲しいレンズ43 アンジェニュー M1 F0.95

カメラマンのための写真レンズの科学” (吉田正太郎著 地人書館)の139ページにアンジェニューのF0.95レンズに関する記載があります。”6群6枚12面の簡単な構造です。トリプレットの各レンズを2枚ずつに分割したような形です。”

見方によっては、ダブルガウスの貼り合わせを全部はがした型とも言えます。いずれにしろ、6枚のレンズでF0.95を達成しているのは、すごいですね。

このレンズの作例は中将姫光学に掲載されています。F0.95のレンズは残念ながらどれも一眼レフ用に改造するのは難しいので、レンジファインダーの専門家におまかせしたいと思います。ということは、別に欲しいレンズではなくなってしまうわけですが、何かの間違いで75mmF0.95とか100mmF0.95とかが売りに出ないとも限りませんので、一応念のために欲しいレンズに登録した次第です。


2008.9.16 欲しいレンズ42 シュナイダーのF0.95のレンズ

カメラマンのための写真レンズの科学” (吉田正太郎著 地人書館)の137ページにシュナイダーのF0.95のレンズが出ています。6群8枚のガウス型で、焦点距離を100として、バックフォーカスが60.7。全長が非常に長いレンズです。Canon EOSのフランジバック44mmをクリアするには、焦点距離が72.5mmより長ければ良いわけです。EOSで使うには75mmとか100mmとかのレンズを入手する必要があります。

ちなみに、金物を含む後玉の直径が48mm以下であれば、EOSのフランジ面より5mmほどカメラ側にレンズを下げられますので、バックフォーカスが39mmで足りるのです。しかし、シュナイダーのF0.9の後玉は明らかに巨大で、とても無理です。ちなみにWRAY 1/50mmの後玉がぴったり48mmでしたが、精一杯がんばってレンズの前方5cmにしかピントが来ませんでした。レンジファインダーでも改造の難しいF1.0クラスのレンズですので、一眼レフに改造するのがいかに難しいかお分かり頂けると思います。もっともこれが簡単にできれば、日本のカメラメーカーは一眼レフ用大口径レンズの開発に苦労したりしなかったのですが。


2008.9.15 欲しいレンズ41 Ernostar F1(訂正)

カメラマンのための写真レンズの科学” (吉田正太郎著 地人書館)の135ページを読むと、次のように書かれています。残念ながらErnostar F1の入手はほぼ不可能だと思われます。

”エルノスター F1 (1925年)については前に記しましたが、このレンズはコマと歪曲が残っていて、一般のカメラには使うことができませんでした。また、1932年にR.ビオターF0.85が発明されましたが、このレンズも収差が多くて、普通の写真撮影には使えませんでした。”


2008.9.14 欲しいレンズ41 Ernostar F1

カメラマンのための写真レンズの科学” (吉田正太郎著 地人書館)の9ページに、”図 1.12 エルノスターF1の表面から入射する光線”という図が載っています。エルノスターにF1があるとは知りませんでした。エルノスターはF1.8が一番明るいとばかり思っていました。現存するのかどうかすら分かりませんが、あれば欲しいことは確かです。博物館とかで見るだけでもいいです。

この本の同じところに、次のように書いてあります。
”写真レンズの断面図は、これからも沢山でてきますが、この本では、すべてレンズの左側に被写体があって、レンズの右側にフィルムがあるものとします。これは国際的な慣行です。”
私も今後はこの慣行に従いたいと思います。


2008.9.13 Astro Astan 2.9/4.7cm


めずらしい形のめずらしいレンズをお借りして試写することができました。


横から見るとこんな形です。マウントはM42です。一番上のギザギザがピント合わせです。


Rau-Optik, Wetzlar "Astro-Astan" 1:2,9 f=4,7cmと書いてあります。Astro社からAstanのライセンスを受けて、WetzlarのRau-Optik社が製造したようです。レンズ構成は不明です。


M42アダプタを使ってEOSに取り付けると、こんな感じです。小さいです。さていったいどんな写りなのでしょうか?


2008.9.12 Rosher Kino Portrait

COX氏の本のPORTRAIT AND SOFT FOCUS LENSESの表にAsrto Rosher Kino Portraitが出ていました。

Courtesy of PHOTOGRAPHIC OPTICS Ninth Edition by ARTHUR COX.

レンズのタイプのところに、3個のリアレンズを変えてソフト加減を調整すると書いてあるのが面白いですね。ソフトフォーカスの具合が加減できるレンズが好まれるようです。ここにはPetzvalと書くのが正しいと思います。しかし、もしそう書かれていたとすると、他の文献にもそう書かかれて、私の楽しみが奪われたかもしれず、この書き方で良かったと思います。他の方にはあまりおすすめできませんが、レンズを買って、分解してみて、予想外の構成だった時の喜び(あるいは悲しみ)は私の最大の楽しみであります。

それと、その下のAstro Soft Focus 2.5-10cm f2.3というレンズも少し気になります。


2008.9.11 WRAY UNILITE

中将姫光学さんが最近WrayのUnilite 50mm F2をよく使っておられます。私は中望遠のUniliteを探しているのですが、全く見つかる気配がありません。だいたい、Wrayflex用の50mm以外のUniliteが存在するのかすら知りません。COX氏の本には次のように書かれています。

Courtesy of PHOTOGRAPHIC OPTICS Ninth Edition by ARTHUR COX.

Uniliteが150mmまで、Cine Uniliteが120mmまであるようです。これで少し期待が増しました。さて一体どこを探せば見つかるのでしょうか。もし何か情報がありましたら、ぜひ教えて下さい。


2008.9.10 エルノスターの歴史

エルノスターは高速レンズとして大変有名ですが、いったい何年に何が何本作られたのかが分かりません。今Webで検索できる内容をまとめてみます。もっとも信頼できそうなのは、ukcameras.com です。これによりますと、

1924年 Ermanox 4.5x6 Ernostar 2/100mm
1925年 Ermanox 4.5x6 Ernostar 1.8/85mm
1925/26年 Ermanox 6.5x9 Ernostar 1.8/125mm
1925/26年 Ermanox 9x12 Ernostar 1.8/165mm
1926年 Ermanox Reflex Ernostar 1.8/125mm ==> Zeiss IKONに合併

一方、Webで確認できるErnostarレンズのシリアルナンバーから製造年を推測すると、
1501xx 2/100mm 1924年
1502xx 2/100mm 1924年
1506xx 2/100mm 1924年
1510xx 2/100mm 1924年
1653xx 1.8/125mm 1925年
1676xx 1.8/85mm 1926年
1797xx 1.8/105mm 1926年
204xxx 1.8/125mm 1926年
2042xx 1.8/125mm 1926年 ==> Zeiss IKONに合併

4本の2/100mmは製造番号が非常に近く、同じ時期に作られたことが分かります。1925年以降はF1.8に切り替わったようです。1926年にはツアイスイコンに合併されます。このことから、1924年から1926年までのわずか3年しか作られなかったのかもしれません。合併後もしばらくはErnostarが作られたとの説もありますが、1931年にゾナーが出ますので、長めに見ても1930年までの7年間ほどだと思われます。いずれにしろすべてのErnostarは80年以上前の短い期間に作られたものだと思われます。

Ernostar 1.8/135mmは一時売りに出ていましたが、買えませんでした。その時は高いと思ったのですが、今から思えば安かったかもしれません。Ernostar 1.8/24cmは重量8Kgで私が気付いた時には既に売れていました。1.8/165mmは東京天文台の流星カメラの第一号として活躍したそうですが、私は見たことがありません。

他に1.5/42mmや2/42mmの短いErnostarレンズもありましたが、Ermanox用ではなくシネ用だと思われます。


2008.9.9 写真レンズの科学

中将姫光学さんに紹介してもらった本。”カメラマンのための写真レンズの科学” (吉田正太郎著 地人書館)を購入しました。新刊で買えます。いきなり、エルノスター F 1.0の構成図が出てくるので驚きました。著者の吉田正太郎氏は天文学者で、非球面レンズの研究が専門のようでして、非球面レンズを使った理論的限界である F0.5のレンズなど、今まで見たことのないような記事も出ています。

ざっと読んでみたのですが、面白いし、資料的な価値も高いので、今後何度も読み返すことになりそうです。


2008.9.8 初耳のソフトフォーカスレンズ

COX氏の本のPORTRAIT AND SOFT FOCUS LENSESの表に聞いたことのないレンズがありましたので、いくつか書き出します。EOS 5Dで使うので、あまり長い玉は除いて、だいたい8インチくらいまでだけにします。

Aldis Series O, Portrait 2"-12" f3, f3.4
Dallmeyer Mutac 6"-9" f4.5
Gundlach Hyperion 7"-18" f4
Ilex Photoplastic 4.5"-21" f4
Ross Rapid Portrait 8.25"-12" f3.5
Wray Diffused Image Objective 6"-10" f4

どれも魅力的な名前ですね。ニコンとかキヤノンとかもレンズに名前をつけた方が楽しいと思うのですが、面倒くさいんでしょうね、きっと。昔は同じ名前を複 数社で使っても問題なかったのですが、今はそういうわけにはいかないですね。コシナのようにツアイスやフォクトレンダーの名前を買って使うのは妙案です ね。

もしキヤノンからレンズ命名依頼があった時に備えて(そんなことは決してありませんが)名前の候補を考えてみました。

Utsunomiyar : 宇都宮で開発されたことから
Marukkor : 下丸子本社から
Oitar :大分工場から 地名しか思いつきませんね。
Islar : IS L IS付きのLレンズは全部Islar。そのままですね。
UDadar  : UDレンズを使った超望遠レンズ。山本リンダの狙い撃ちにひっかけたつもりだったのですが、歌詞はウダダーではなくウララーだったんですね。ちょっと失敗。
Kasyapanon : 試作機KWANONについていたKASYAPAの後継機
Dagorow : 創業者の吉田五郎氏に由来する

ううん、ダサイですね。やっぱりレンズの名前を付けるのはやめた方がよさそうです。


2008.9.7 Ernostar 2/10cm分解清掃

先週末にErnostar 2/10cmを久しぶりに使ったら、中玉がずいぶん汚れているので、分解清掃してみました。汚れはたぶん絞りの油だと思います。このレンズは今まで一度も分解していなかったので、分解して中身を確認してみました。

ニコンFマウントに業者が改造したものです。ビスを緩めてみると、一本ビスが効いておらす、ビスを交換しました。


工具が滑ってレンズを傷つけるのが怖くて今まではずせなかった前玉ですが、今回は思い切ってはずしました。


後玉ははずせそうにありません。バックフォーカスがぎりぎりなので、レンズの後部の金属を削ってあるようです。


前玉にはビスが2本打ってあり、これを抜くと簡単に2個に分解できました。前玉は2枚張り合わせが2セットです。2群の間の間隔に精度が要求されるようです。スペーサーの位置やスクリューの回転をきっちり合わせて、ビス止めしてあります。ライツのレンズではよくスクリューの上からビスが使われますが、他のメーカーではあまり見ません。


今回分解できたのはここまで。


第2群の曲率はかなりきつく、第1群との隙間はほんのわずかです。


これは第1群。反射が3個見えますので、張り合わせがあることが分かります。


第2群。こちらも反射が3個見えますので、張り合わせがあります。ずいぶん傷だらけのように見えますが、清掃後はきれいになりました。このレンズは元はコーティングされていないはずですが、後年質の悪いコーティングがかけられたようです。これはほとんどはげていて、強くこすればきれいになります。


これは後玉。反射が4個ありますので、張り合わせにないレンズが2枚入っていることが分かります。


汚れは後玉の絞り側についていました。


清掃後だいぶきれいになりました。やっぱりコーティングか何かがかかっているようです。ひっかき傷は絞り羽がこすれた跡のようにも見えますが、よく分らず、これ以上はきれいになりませんでした。光を反射させると目立ちますが、光を透過させるとほとんど目立たず、写りにはほとんど影響ありません。


2008.9.6 Kino Plasmat 12.5mm F1.5

Hugo Meyer & Co Gorlitz Nr. 781992 Kino Plasmat 1:1.5 f=12.5mm

ジャンク価格で店の棚にしばらくこのKino Plasmat 1.5/12.5mmが置いてあったのですが、誰も救出する気配がないので、置物として買うことにしました。8mm映画用のレンズだと思います。Cマウントよりうんと小さな15mmほどのスクリューマウントです。バックフォーカスは10mm以下で、イメージサークルが非常に小さいので、レンジファインダーに改造するのも難しそうです。後で思いついたのですが、マイクロフォーサーズのカメラが出たら改造して使えるかもしれません。


ヘリコイドも絞りもスムーズに動きます。


レンズが小さいので、D.R.P Dr. Rudolphの刻印は側面にありました。


Made in Germanyです。


後玉は簡単にはずれました。前玉は特殊工具がないとはずせません。小さなレンズですが、一応キノプラズマートの特徴は見えます。


後玉の直径は、わずか7mmほどです。よくできていますが、こんな小さな金物を作るのは大変だったと思います。
残念ながら現状ではこのレンズを使った作例をお見せすることはできません。マイクロフォーサーズのカメラが出たら改造を考えます。まあ、安いものですので、分解して日誌に掲載したただけでも元は取れたと思います。


2008.9.5 1925年、AGFA社がRietzschell社を買収

COX氏の本を見ていたら、Rietzshel ProlinearのメーカーがAgfaと書いてありました。これはいったいどういうことだったのか調べてみました。

Courtesy of PHOTOGRAPHIC OPTICS Ninth Edition by ARTHUR COX.
その前に、いくつか気づいた点があります。
1. f19ではなくf1.9です。ここは間違えないでほしかったなぁ。
2. 良く見るとPORTRAIT AND SOFT FOCUS LENSESに分類されていますね。そうなのかなぁ?
3. Filed Coveredが40度になっていますが、テスト結果から、もう少し広いと思います。このレンズの競合と言われるErnostarの包括角も同じ40度と書いてあるので、Ernostarからの推測かもしれません。あるいは、Mentor Reflex 6.5x9cmについていたので包括角は狭いと考えられたのかもしれませんね。
4. Rietzschel Linearというレンズもあるんですね。これも欲しいですね。

1925年(大正14年)にAgfa社がRietzschell社を買収したようです。これについてPeter Wallage氏はAgfaのページで次のように書いておられます。
HISTORY of Agfa goes back to 1867 with the formation of a dyestuffs chemical company Aktien Gesellschaft fur Analin-Fabrikation, or AGFA for short. In 1925, the company decided it wanted to get into camera making, and bought the lens and camera maker A. Heinrich Rietzschell GmbH Optische Fabrik in Munich, a well respected firm that had been making lenses and cameras for more than 30 years. For a short time, Agfa kept the name Rietzschell going, particularly on lenses, because of their good reputation, but it was soon dropped and both lenses and cameras became Agfa.

カメラ屋さんで見せてもらったMichel Auer Collectionという本に出ているRietzschel Prolinear 1.9/135mm付きのMentor Reflexは1925年製造と書いてありますので、Agfaに買収されたのと同じ時期のものですね。


2008.9.4 Primoplan f1.5


Courtesy of PHOTOGRAPHIC OPTICS Ninth Edition by ARTHUR COX.
Meyer PrimoplanにF1.5のレンズがあると聞いてはいたのですが、まだ見たことはありません。COX氏の本には1.25-7.5cm f1.5-f1.9と書いてありますので、焦点距離の短い8mmシネ用のレンズにf1.5があるのだと思います。プリモプランのレンズデザインは独特で、類似の設計のレンズは見たことがありません。COX氏のようにトリプレット派生形(中玉の両凹レンズを3枚に分けた)とするのが適当だと思いますが、見方によってはクセノタールをひっくり返したようにも見えます。うちにもM42の1.9/58mmが一本あるので、たまには使わないといけないですね。良いコーティングがかかっているので、近代的な写りです。


2008.9.3 Unar ウナー

写真j工業2008年9月号の”古典名玉を探そう”で井上康夫氏がウナー155mm F5を取り上げておられます。ウナーは1899年に登場したが、その3年後に登場したテッサーに急速に置き換わったため、製造本数がきわめて少ないと書いておられます。ツアイスの黄色い電話帳(製造番号記録, Fabrikationsbush Photooptik I Carl Zeiss Jena)で、このあたりのことを調べてみました。

写真工業に登場するレンズは155mm F5で製造番号が67,700。この個体そのものの記載はありませんが、この頃の製造番号記録は10本に1本くらいの割合でしか残っていませんので、特に不思議ではありません。前後の番号から考えて、1904年2月頃の製造だと推測できます。

私が持っているウナーは、145mm F4.7で製造番号が63,822。この個体は幸運にも記載されており、ミニマムパルモス用に出荷されました。製造年月日は記入されていませんが、前後から見て1903年6月頃だと推測できます。

ウナーの製造本数はFabrikationsbush Photooptik I Carl Zeiss JenaのTabelle 1では次のように記載されています。
1900-1905年 Unar 2,455本 (Tessar 4,623本)
1906年 Unar 294本 (Tessar 3,707本)
1907年 Unar 4,692本 (Tessar 992本) 1907年のUnarの具体的な製造記録は1本しか残っておらず、ちょっと集計が多すぎるかもしれません。それにTessarが992本というのは前後から見て明らかに少なすぎます。誤記があった思われ、実際にはUnar 111本、Tessar 5,573本くらいだったんじゃないかと推測します。
1908年 Unar 0本 (Tessar 6,150本)

Unarが帳簿に最初に登場するのは1900年3月です。1907年までに7,441本製造されたと読めますが、1907年の4,692本という集計は何となく不自然なので、もし1907年に実際はわずかしか作られていなかったとすると、合計2,860本くらいと考えるのが自然かもしれません。1908年に製造が中止されたのは間違いないと思います。

Zeissの電話帳に誤記があると仮定して、私の推測をまとめると、Unarは、

1899年にZeissのルドルフが設計
1900年製造開始 記録に残る最初の製造番号は40,149 Palmos AGのStereo Palmos用に4.5/112mmを2本出荷
1900-1905年 Unar 2,455本製造。 同じ時期のTessarの生産本数の約半分
1906年 Unar 294本。製造本数減少。テッサーの製造本数の1/10以下
1907年 Unar 111本。さらに減少。テッサーの1/50以下
1908年 Unarの製造中止。合計2,860本程度の製造

この説だと、井上氏の説とだいたい一致します。ただ当時の2,860本が少ないかというと、マーケットの規模を考えると、そうとも言えません。1900年から1905年にかけて、5年間でZeissのレンズの出荷総数が約3万本です。(決算期が年の途中にあるようで、6年間ではありません)。Zeissの中の内訳は、Tessarの約半分もあるわけですから、マーケットシェアとしては結構大きかったのではないかと思います。

1900年から1905年のツアイスで製造されたレンズの種類の割合は次の通りです。

Protar IIa, IIIa, V類 10,624本、34.3%
Protarlinse VII類 6,783本 21.9%
Tessar IIb類 4,623本 14.9%
Unar Ib類 2,455本 7.9%
Planar Ia類 1,622本 5.2%

これを見ると、テッサーには置き換えられるのはもう少し先で、1900-1905年はまだプロターの時代だったと言えます。プロターの利点は何といっても2群であるということでして、3群のテッサーや4群のウナー・プラナーに比べて金物の製造がうんと楽だったと思われます。山崎光七氏がコンゴーレンズを作った1927年ですら3群のテッサー型レンズの金物に苦労されたそうです。この話はその20年以上前のことなので、ドイツでも金物の量産には苦労したのではないかと推測したわけです。2群の金物なら昔からラピッドレクチリニア用に大量生産の技術があったと思われます。上のレンズの割合がきれいに2群、3群、4群の順に並んでいるのは、金物の簡単さの順ではないかと思えるのですが、いかがでしょう。


2008.9.2 欲しいレンズ40 Taylor Hobsonのf1.5レンズ


Courtesy of PHOTOGRAPHIC OPTICS Ninth Edition by ARTHUR COX.
COX氏の本で気になったのは、T.T. & H. (テーラー・テーラー&ホブソン)に2"-6" f1.5のレンズがあると書いてあることです。特にレンズの名前がないらしいので、探しづらいですね。"Derived from Speed Panchro type"というレンズ型名は、Switar 12.5-25mm f1.4, Summarit 5cm f1.5でも使われており、期待が持てます。6" f1.5だと口径10cm以上の巨大なレンズになりますので、一度見てみたいものです。


2008.9.1 IE 7.0.6のマウスオーバー辞書

IEにいくつかのプラグインがうまくインストールできなくて、Firefox 3.0.1を使いだして一年近くになります。今日WebEx Viewerが必要になってFirefoxにインストールしようと思ったのですが、クラッシュしてしまい、うまくインストールできません。そこでIE 7.0.6を久しぶりに使ってみたところ、問題なく動作しました。以前の問題も解消されているようです。驚いたのは、”マウスオーバー辞書”が有効になっており、英語の単語の上にカーソルを置くと、日本語訳が表示されるのです。これは便利ですね。いちいちBookshelfを使う必要がありません。”ページを日本語に翻訳します”というのを使うとGoogle翻訳が行われ日本語が表示されますが、これは使えたり使えなかったりですので、やっぱり”マウスオーバー辞書”は助かります。英文の多読が必要な受験生などにも良いのではないかと思います。


2008.8.36 欲しいレンズ39 Laack Polyxentar 7.5cm F2(2)


Courtesy of PHOTOGRAPHIC OPTICS Ninth Edition by ARTHUR COX.
Laack Polyxentarが"6 glasses, 8 air-glass surfaces"と書いてあるのに対し、MeyeのPlasmatは"6 glasses, 8 surfaces"と書いてあります。若干表記が違いますが、文字数があまりにも多くて一行に入らないので短縮しているように見えます。この型名はPlasmatとPolyxentarにしか使われていないので気になったのです。そして明るさがF1.3 - F2となると、これはKino Plasmat以外には考えられない、というのが私の推測です。

Webで検索したところ、ひとつだけ見つかりました。何と、キングズレーク氏の”写真レンズの歴史”にPolyxentarが出ていました。英文だと94ページ、和文だと95ページ、”第6章 初期のアナスチグマット B オルソスチグマットとコリニア”の項目です。でも、この型じゃF2まで明るくするのは無理ですので、同じ名前が後に別の型のレンズにも使われたものと思われます。

ところで、Webの検索でヒットしたのは”Googleブック検索”でして、"A History of Photographic Lens"を見ると、書籍のプレビューと言いながら、全ページがオンラインで見れるようです。これは便利ですね。”この書籍内を検索”という機能を使えば、本の中のキーワードに一発でたどり着けます。

Laack Polyxentarに関する情報がありましたら、ぜひ掲示板などで教えて下さい。


2008.8.35 欲しいレンズ39 Laack Polyxentar 7.5cm F2


Courtesy of PHOTOGRAPHIC OPTICS Ninth Edition by ARTHUR COX.

COX氏の本を見ていたら、Laack Polyxentar 1.5-7.5cm f1.3-f2というレンズが出ていました。Laackは大判用の暗いレンズしかないのかと思っていたのですが、シネ用の明るいレンズもあったようです。これは初めて知りました。レンズの型は6 glasses, 8 air-glass surfacesと書いてありますが、Speed Panchro F2でも、Ernostar F2でも、Kino Plasmat F2でも、オルソメタでもあてはまるので、あまりあてになりません。他のメーカーでは、と言ってもHugo Meyerだけですが、Euryplan, Kino Plasmat, Satz Plasmatの3銘柄が6 glasses, 8 air-glass surfacesと記載されています。EuryplanとSatz PlasmatはF2まで明るくできないので、これはひょっとしたらKino Plasmat型かもしれません。入手できたら、是非分解してみたいレンズです。


2008.8.34 120mm-210mm F3.5-6.8あたりのレンズ

一時は150mm F4.5あたりのレンズをたくさん買ったのですが、あまり使わないまま大口径(F1.5 - F2.0)中望遠(75mm-100mm)に興味が移ってしまいました。久しぶりにCelor 150mm F4.8を買ったので、このクラスのレンズの再評価をしてみようかなぁと思っています。ただ、このクラスのレンズの評価は大変難しいので、なかなかテスト開始に踏み切れません。どのレンズも実用的で商業写真に普通に使われていたものですので、趣味的な大口径レンズのような差が出そうにありません。それにバックフォーカスが長いので、レンズそのものの性能よりも鏡筒の内面反射の影響が大きくなってしまいます。つまり改造技術、撮影技術、撮影条件が結果に大きな影響を及ぼすわけです。やっぱり面倒でも蛇腹カメラに取り付けるべきかなぁ。とりあえず、候補となっているレンズを列挙してみます。

製造年はいずれも推定。Double Gaussとは張り合わのない4群4枚の型で、張り合わせのある型はPlanarとしました。

一応ツアイスのシリーズ I が揃っています。Zeiss Anastigmat Series I(Protar 4.5), Ia(Planar 3.6-4.5), Ib(Unar 4.7)はほとんど売りに出ませんが、そんなに高いものではありません。

実際にはこんなにたくさんテストできませんので、5〜6本に絞りたい所です。Zeiss I, Ia, Ib, Ic, Dagor, Celor, Heliar, Triplet, Orthometar、これで既に9本ですね。まあ、これ以上減らせないですね。

評価方法も悩ましいですね。焦点距離の幅が広いので同じヘリコイドを使うのは難しそうですね。やっぱり蛇腹かなぁ。ちょっと考えてみます。


2008.8.33 Photographic Optics by Arthur Cox ペンタック

Arthur Cox氏はペンタック型のレンズをシンメトリカル(RR)からの派生としていますが、これは一体どういうことなのか? という疑問があると思いますので、原文を引用します。

"The construction of the Pentac is shown on p. 153. It is possible to consider it as derived from a Cooke Triplet, but in some way it is better to consider it as derived from a symmetrical lens in which two flint glasses have been separated, one from each cemented group, and have been brought together and joined into one at, or very near, to the center of the lens.."
("PHOTOGRAPHIC OPTICS" Ninth Edition by ARTHUR COX.)

翻訳すると、
”ペンタックの構成はクックのトリプレットから派生したとも考えられるが、シンメトリカル(ラピッドレクチリニア)から派生したと考える方が良いであろう。シンメトリカルの前玉から分割したフリントガラスと、後玉から分割したフリントガラスを一枚にまとめて、レンズの中央付近に置いたものである。”("PHOTOGRAPHIC OPTICS" Ninth Edition by ARTHUR COX.)

これに対し、キングズレーク氏の”写真レンズの歴史”では次のように書かれていますので、少し引用します。

”1900年にフォクトレンダーのハンス・ハーティング(Hans Harting)が最初のヘリアー・レンズ(Heliar lens)を設計した。彼はクックのトリプレットを対称型に変えることを考えたようだ。(中略) 1903年、ハーティングは外側の部品を反転して、絞りに向かって張り合わせ面が今まで凹であったのを凸に替えてみた。後群にこのような配置を使っているテッサーの影響かも分からない。この新レンズはダイナー(Dynar)と呼ばれた。非点収差はヘリアーより少し悪くなったが、それ以外は皆良くなっている。(中略) 1903年から第一次世界大戦が終わるまでこの型の設計は忘れられていた。1919年にダルメヤーが、ペンタック(Pentac)というダイナー型のレンズを発表した。ライオネル・B.ブース(Lionel B. Booth) の設計で、F2.9ときわめて明るく、像面は僅か内に曲がっているが、それ以外はすべて良好であった。” (”写真レンズの歴史”、キングズレーク著、雄倉保行訳、朝日ソノラマ)

”レンズ設計のすべて”(辻 定彦著、電波新聞社刊)からも引用します。辻定彦氏はキヤノンで各種のレンズを設計されました。この本では、辻氏がこの本のためにコンピュータで再設計したレンズの構成データ、近軸量、三次収差係数、断面図、収差図を掲載し、これを元に各レンズタイプの解説をしておられます。レンズタイプについては、キングズレーク氏の”写真レンズの歴史”とほぼ同じ順番に出てきますので読みやすいです。

”1900年にVoigtlender社のHartingはTripletの対称性を良くし、前後のレンズに新色消しを導入したレンズを開発した。これによりPetzval和を減少させ、像面特性の改善を図ることができる。最も有名なものは第一レンズが負正、第三レンズが正負の順の接合でHeliarと呼ばれるが、1903年には第一、第三レンズは新色消しであるが接合面の向きがHeliarと異なるDynarや、その二つを組み合わせたOxynというレンズも開発している。後にはHeliarの名称がポピュラーになったため、Dynar形式のレンズも製品名をしてHeliarと名づけられ、一般にどちらの形式もHeliar型を呼ばれるようになった。これらのレンズは次に説明するTessarよりも枚数が多いため、より優れた性能を得ることができそうであるが、実際に設計してみると、それほど大きな差はない。新色消しの接合レンズは球面収差補正の点では単レンズより劣るため、硝材選択を上手く行わないと枚数の少ないTessarタイプの性能を上回ることさえ難しい。” (”レンズ設計のすべて” 辻 定彦著、電波新聞社刊)

久しぶりに古いHeliarを使ってみようかと思います。


2008.8.32 Photographic Optics by Arthur Cox 望遠型

望遠レンズの型については、あまり議論されているのを聞いたことがありません。古い望遠レンズはほとんどブッシュのビステラーに代表される2群4枚です。ここの出てくるCOOKE TELEPHOTOやZEISS TELETESSARなども似たようなものだと思います。1960年代以降になると、テレゾナー型(たとえばNIKKOR-Q 135mm)が増えるように思いますが、この頃は既にコンピュータで設計されていると思いますので、あまりレンズの型を云々してもしかたないですね。Cox氏の系統図には、T.T. & H.(テーラーホブソン) f2.5 TELEPHOTOが出ているところが素晴らしいですね。さすがイギリスです。


Courtesy of PHOTOGRAPHIC OPTICS Ninth Edition by ARTHUR COX.
イギリスのテーラーホブソン(クック)のレンズ3本載っているのに対して、ドイツのツアイスのレンズは一本です。


Courtesy of PHOTOGRAPHIC OPTICS Ninth Edition by ARTHUR COX.
せっかくTT&H f2.5 TELEPHOTOの正しい構成図が出ているのに、この表は間違えていますね。Panchrotal 4" はTT&H f2.5 TELEPHOTOが正解なのですが、どういうわけか、Speed Panchroと書いてあります。私の持っているPanchrotal 4"はT2.5(F2.3)なのですが、ここではF2.5と書いてあります。でも、多分同じものだと思います。

ここからは推測ですが、これを見たKingslake氏がダブルガウスの製品例としてPanchrotalを誤って記載したのかもしれません。それを見た私はダブルガウスだと思い込んでPanchrotalを買ったのです。しかし、ダブルガウスにしては糸巻き型の歪曲が激しすぎます。中国語で書かれた研究論文の中にPanchrotalの構成図があり、TT&H f2.5 TELEPHOTOと同じものでした。レンズを分解したわけではありませんが、一番後ろの玉が凹面ですので、Panchrotal 4"がSpeed-Panchro型ということは絶対にありません。このレンズを買ったカメラやさんもてっきりダブルガウスだと思っていたようで、驚いていました。


2008.8.31 Photographic Optics by Arthur Cox トリプレット型

ツアイスのテッサーの由来については、ツアイスのプロターとウナーから作られたとするドイツ由来説と、クックのトリプレットの後玉を貼り合わせにしただけというイギリス由来説があります。Cox氏はもちろんイギリス由来説です。まあ、由来はどちらでもよいのですが、クックのトリプレットは確かにすばらしい発明ですし、すばらしい性能ですので、イギリス人がイギリス由来説を唱える気持もよく分かります。

トリプレット型の分類は、だいたいどの本でも同じです。しかしながら、ダルマイヤー・ペンタック型あるいはフォクトレンダー・ダイナー型がラピッドレクチリニアから派生した対称型に分類されるのには、ちょっと驚きました。

Courtesy of PHOTOGRAPHIC OPTICS Ninth Edition by ARTHUR COX..

COX氏とKingslake氏のトリプレット型に関する分類の違いは次のような点です。

COX: ダルマイヤー・ペンタック型あるいはフォクトレンダー・ダイナー型をRRから派生した対称型レンズに分類
Kingslake: ダルマイヤー・ペンタック型あるいはフォクトレンダー・ダイナー型をトリプレットの派生形に分類

COX: トリプレットの前玉を2枚に分けたものを"TWIN CROWN f1.4"と記載(図中だけで本文には特に型名の記載はありません)
Kingslake: トリプレットの前玉を2枚に分けたものを”エルノスター/ゾナー型”に分類。ガンドラックのウルトラスチグマットで最初に採用。

COX: トリプレットの中玉を分割してクックのAVIARができた
Kingslake: ダイアーリト型に分類。C.P. Goerzのフォ・フーフがダゴールを改良し、ダブル・アナシチグマット・ゲルツB型を設計。


2008.8.30 Photographic Optics by Arthur Cox 対称型

この本の著者のArthur Cox氏の経歴はよく分からないのですが、イギリスで出版された本ですので、きっとイギリス人だと思います。本の中のレンズの分類を見ると明らかにイギリス的な分類ですので、間違いないと思います。キングズレークの”写真レンズの歴史”と比較してみたいと思います。ところで、キングズレーク氏も同じイギリス生まれで、A.E.コンラディー(A.E. Conrady)教授のレンズ設計の講義を受けるため、ロンドンの国立理工科大学に進んでいます。Arthur Cox氏の本の関連書籍のページにもコンラディー教授の本である"Applied Optics and Optical Design"が登場します。にもかかわらず、レンズの型の分類がここまで違うのには驚かされます。キングスレーク氏は1903年生まれですが、”写真レンズの歴史”のまえがきには1989年と書いてあります。つまり86歳の時の本だと思われますので、きっとCox氏の本を読んでおられたと思います。

まず、対称型レンズ(SYMMETRICAL TYPE)から。


Courtesy of PHOTOGRAPHIC OPTICS Ninth Edition by ARTHUR COX..

COX: シンメトリカル型 (イギリスのロス社の商品名)
Kingslake: ラピッド・レクチリニア(イギリスのダルマイヤー社の商品名)、またはアプラナット(ドイツのシュタインハイル社の商品名)

COX: ペンタック(イギリスのダルマイヤー社の商品名) シンメトリカルからの派生
Kingslake: ダイナー(ドイツのフォクトレンダー社の商品名) トリプレットからの派生

COX: スピードパンクロ(イギリスのテーラーホブソン社の商品名)
Kingslake: ダブルガウス、あるいはプラナー(ドイツのツアイスの商品名)、あるいはオピック(イギリスのテーラーホブソン社の商品名)

COX: ロスf4.5ワイドアングル(イギリスのロス社の商品名)
Kingslake: 空気間隔入りダゴール型、あるいはオイリプラン(ドイツのシュルツ・アンド・ビラーベック社の商品名)

COX氏はレンズの型の名前にイギリスのレンズ会社の有名なレンズの商品名を使っています。まあ、こういう考え方もありますね。別にレンズの型の名前に定説はないわけですから、地元の会社の商品名を使っても悪くはありません。私はキングズレーク氏の本しか読んだことがなかったので、キングスレーク氏の影響が大きかったのです。キングズレーク氏のように誰が最初に商品化して、誰が最初に特許を取ったかという観点は、まことにすっきりしていて共感できるのですが、まあそんなにこだわらなくてもよいのかもしれません。


2008.8.29 Photographic Optics by Arthur Cox 到着

Amazonで注文しておいたPhotographic Optics by Arthur Coxが到着しました。イギリスからの発送で、注文から到着まで13日間。まあまあですね。中を見るとイギリス人の主観に基づく書き方がしてあり、大変面白く読めました。キングズレークとは違う名前をレンズの型につけています。この本の内容としては、写真用のレンズの構造、収差、設計、評価などを網羅しており、イギリスにおけるレンズの入門書と言えます。この本をぼちぼち紹介していきたいと思います。

PHOTOGRAPHIC OPTICS, ARTHUR COX, Ninthe Editionの表紙。テーラーホブソンのSpeedic 2.5/6.5"(Series X)の中にライツのレンズが写っている表紙が、この本の内容を象徴しています。イギリスが開発したレンズをドイツがまねしたということを忘れないでネという感じです。


この本を紹介して頂いたkinoplasmat亀吉さんに会う機会がありましたので見せたところ、やはりkinoplasmat亀吉さんの本よりは版がだいぶ古いのではないかとのこと。1943年(昭和18年)に初版が出たようです。


Courtesy of PHOTOGRAPHIC OPTICS Ninthe Edition by ARTHUR COX..
211ページを引用させて頂きました。こんな感じです。


2008.8.28 Firefox 3.0.1

IEで致命的な問題があったため、Firefoxに切り替えてから満足して使っていたのですが、FirefoxではCtrl+(Ctrlキーを押しながら+キーを押す)で表示拡大、Ctrl-(Ctrlキーを押しながら-キーを押す)で表示縮小、Ctrl0で元の表示倍率に戻す、の操作を行った時、画像データだけが拡大縮小されませんでしたので、大変見づらい画面になりました。IEでは画像データの拡大縮小を行えましたので、この点がFirefoxの弱点でした。

Firefoxを3.0.1にバージョンアップしたところ、改善されていました。Ctrl+で拡大すれば文字が読みやすくなりますし、Ctrl-で縮小すれば横長のデータを見るのにいちいちスクロールしなくてもよくなります。この機能は便利ですので、使ってみて下さい。


2008.8.27 CELOR Ib 6 inchペンタ67マウント

CELORをペンタックス6x7マウントに改造しました。この手のレンズはバックフォーカスが長いので、改造は至って簡単です。ドーナッツ状のアルミ板を作って、フランジをペンタックス6x7の中間リングに固定しただけです。


ドーナッツ状のアルミ板が中古カメラ屋さんで一個100円程度で売っているガラクタです。いつか使うんじゃないかと思って買っておいたものは、かなり高い確率で役に立ちます。


フランジがピシッと収まるようにヤスリで穴を広げています。良く切れる半丸のヤスリがあると、簡単に加工できます。


レンズを取り付けるとこんな感じです。


ペンタックス6x7に取り付けるとこうなります。実際には自作のEOSアダプタを使ってEOS 5Dで使います。ペンタ67-EOSマウントアダプタを買うと高いですが、自分で作れば四千円くらいでできます。3個自作しましたが、どれもうまく働いています。自作の利点は偽アダプタが作れることです。ペンタックス67では無限遠は出ないが、大口径なのでペンタ67のヘリコイドを使うより他に方法のないレンズがあります。これには市販のアダプタを使うことはできず、自分で規格より短い偽アダプタを作って対応しています。


2008.8.26 CELOR Ib 6 inch

GOERZ CELOR F:4.8 SERIES Ib No 1 FOCUS 6 IN. No 180737

割と焦点距離の短いセロール(ツェロー)です。セロール(ツェロー)に関する記事は寺崎さんの小西六のページ詳しい記事があります。CEROL 1b No 1はセロール(ツェロー)の中では一番明るくて、2番目に焦点距離の短いレンズです。C.P. Goerzのシリアルナンバー表を見ると、1905年(明治38年)頃の製造だと思われます。ダブル・アナスチグマットからセロールに改名した次の年ですね。


キングズレークの”写真レンズの歴史”には次のように書かれていますので引用します。

”1904年に、すべてのゲルツのレンズ名称が変更になり、B型はシリーズIbがツェロー(Celor)に、シリーズIcがシントール(Syntor)に変わった。低価格のシントールは1925年まで続いたが、ツェローは1916年、W.ショッケ(W.Zschokke, 1870-1951)設計によるF4.5ドグマー(Dogmar)に置き換わった。”

この記述から、セロール(ツェロー)は1904年(明治37年)から1916年(大正5年)までの12年間作られたようです。


だいぶ使い込まれたようですが、まだまだ使えます。後でペンタ6x7マウントに改造しようと思います。


くるくると手で簡単に分解できます。




今まで見たセロール(ツェロー)は皆Goerz America製でしたし、これもアメリカ製のようです。絞り値の刻印はU.S.絞りです。


後玉にもシリアルナンバーか刻印してあります。


2008.8.25 マイクロフォーサーズシステム

日経エレクトロニクス2008年8月25日号に”オリンパスと松下は新カメラ規格で何を作るのか。「ミラーボックス」追放を決断”という記事がありました。何を作るのかって、それは当然Cマウントアダプタでしょ、と言いたくなるような規格ですので、大いに期待できます。ついに
2007.10.13 欲しいカメラ 1 ミラーのない一眼レフ
が実現するわけですね。

それでは早速、Cマウント(CM)とマイクロフォーサーズ(MF)の規格を比較してみましよう。

画面サイズ CM: 16mmフィルムでだいたい10mm x 14mm <===> MF: 13mm x 17.3mm
16mm映画のフィルムサイズがはっきり分からないのですが、フォーザースの方が明らかに16mmフィルムよりサイズが大きいようです。周辺が流れるところが見られるので、都合が良いですね。流れるのがいやならトリミングしましょう。

フランジバック CM: 17.526mm <===> MF: 約20mm
マイクロフォーサーズの厳密なフランジバックは公開されておらず、日経エレクトロニクスの推測です。Cマウントの方が短いのですが、ミラーがないので特に問題にはならないでしょう。普通の人はマウントアダプタは作れないと勘違いする規格です。

マウント口径: CM: 25.4mm <===> MF: 約40mm フォーザーズより直径が6mm小さいらしいので、だいたい40mmと推測
マイクロフォーサーズの厳密なマウント口径は公開されておらず、私が推測しました。Cマウントアダプタを作るのに、十分な口径があると言えます。ただし、コンパクトなカメラを作るには、少し口径が大きすぎるかもしれません。11点も電気接点があるせいかもしれません。

しかし、フォーサーズ関連の規格が公開されたいないのは困ったものです。four-thirds.orgには http://www.four-thirds.org/jp/about/benefit.html 次のように書いてあります。

「*規格の公開に関しては、カメラメーカー等の業界団体に対し、NDAベースでオープンにするもので、個人・教育機関等は対象外となっています。」

個人は相手にしませんよというのは納得できない!と言おうと一瞬思いましたが、実際のところ、私は細かい規格をみて改造をしたことなどなく、現物合わせ専門ですので、まあ、どうでもいいかなぁと思い直したわけです。


2008.8.24 ソフトボール祝優勝

北京オリンピックのソフトボールは見事な優勝でした。次のロンドンオリンピックからはソフトボール競技はなくなるそうですが、最後にふさわしい熱戦でした。応援していた藤沢市の少年野球出身の山田選手は見事にホームランを打ってくれました。おめでとう。ちなみに、山田選手は中将姫光学さんのご近所だそうです。

藤沢は野球が盛んでして、数年前にはいすゞ自動車が社会人野球で優勝しましたし、甲子園で活躍した選手も多いです。少年野球(軟式)では女子選手も大いに活躍しており、中学からソフトボールに進むことも多いようです。テレビでオリンピックを見るだけでなく、たまにはソフトボールの日本リーグを見に行かなければならないですね。日本リーグの日程を見ると、近所で日立ソフトウェアの試合があるのは10月25日、26日の保土ヶ谷球場です。ずいぶん先ですね。


2008.8.23 北京オリンピック

北京オリンピックのソフトボール3位決定戦は面白かったです。延長12回裏のさよなら勝ち。決勝のアメリカ戦、がんばってほしいものです。テレビを見ていて思うのは、もうちょっと開催国中国の歴史とか文化とか産業とか観光地とか言語とかの紹介をしても良いのではないかということです。せっかく中国を知る良い機会なのですから、競技の休憩時間に少しづつ紹介してもいいんじゃないかと思います。ただし、このビデオを作るのは案外難しいかもしれません。特に歴史に関しては。

同様に対戦国の様子も少しは紹介して欲しいものです。高校野球の中継で地元の様子を紹介する、あんな感じがいいですね。それができなければ、せめて対戦国の競技人口だけでも紹介して欲しいものです。どこの国で何人くらいの人が、その競技を楽しんでいるかというのは、オリンピックの結果と同じ程度に興味深いです。たとえ負けても、競技人口が日本より格段に多い国に負けたのなら納得できます。選手やコーチのせいばかりにするのは無理があります。それと、たとえば競技人口が一番多い国で、その競技の普及に貢献した人にメダルをあげてもいいかもしれません。ただ、人選で内輪もめしそうです。もうひとつ、ベスト審判賞なんてのがあってもいいかもしれませんね。審判も大変な仕事ですので。ただし、誰かにとってベストの審判は、他の人にはワーストの審判とも言えますので、これも難しそうですね。


2008.8.22 特殊冠布

25年ほど前には、コンピュータ用のカラーモニターが出たばかりで(それまでは緑色しか表示できなかった)、プロッタはペンプロッタしかなくて、コンピュータやオシロスコープの画面をフィルムカメラで撮影していました。CADのトレーニングマニュアル用だったの専用の撮影装置(小さなモニターとポラロイドカメラが入った暗箱)を買う予算はなかったので、普通のカメラで撮影していました。ブラウン管は写り込みが激しいので、黒い布で覆ってやる必要がありました。焦点距離の短いレンズだとタル型の歪曲がひどいので(ブラウン管が昔は丸かったせいです)、50mm以上のレンズを使う必要がありました。21インチのモニターを50mmレンズで撮影すると、約1mの距離になります。モニターとカメラの間を黒い布で覆って写り込みを防いだのですが、距離1mとなると難儀なもので、どうしても布がたれてきます。数人の会社の同僚に手伝ってもらって、何とか撮影を終わらせました。

先日、5x7inchのビューカメラのピントグラスを撮影した時に、久しぶりに同じ場面になりました。今度は鶴見川ですので、手伝ってくれる人はいませんし、順光なので、ピントグラスに激しい写り込みが予想されます。そこで今回開発したのが、下の特殊冠布です。

60cm x 100cmの黒い布に竹ひごを3本糸で縫いつけてあります。ファインダーをのぞくときに目をつかないように、竹ひごの先端は皮で覆ってあります。まあ、風呂の蓋や、海苔巻きのすだれのような構造です。これを5x7inchカメラとデジカメの上にかけてやると、途中でたれることなく、うまく遮光をしてくれます。ビューカメラのリアを多少動かしても、デジカメの位置を多少変えても問題ありません。ベルクロで2台の三脚に布を固定する方法も試したのでが、布をひっかけて、見事に三脚が倒れてしまい、ひどいめにあいました。安くて(200円程度)簡単に(30分程度)できるものですので、ご参考まで。たぶん、私以外にこんなのを使う人はいないと思いますが。


2008.8.21 第三回ksmt.comレンズ人気ランキング

一体私はどのレンズが好きなのか? というのは良く分かりません。そこで、久しぶりにksmt.comの記事に登場するレンズ毎の回数を集計してみました。レンズ詳細表を数えるだけですので簡単です。今回はトップの写真記事と日誌に登場した回数を数えました。



1位は最近Kino Plasmat型であることが判明したDallmeyer Speed Anastigmatで68回登場しています。2位から4位までKino Plasmatですので、1位から4位まで、Kino Plasmat型のレンズがずらっと並ぶことになりました。やっぱり評判通りKino Plasmatは面白いということですね。値段が高いので、使わにゃ損という意識もあります。

5位はRosher Kino Portrait 2.3/75mm、6位はErnostar 2/100mmです。ksmt.com以外にあまり作例が公開されていないので、ちょっとがんばったという感じです。

7位から18位まで、ずらっとダブルガウスが並びます。主にF1.5からF2の大口径中望遠レンズを集めているので当然ですね。数が多いので一本当たりの登場回数は減ってしまいますが、合計の登場回数では、ダブルガウス(またはその変形)が312回と圧倒的に多いです。

焦点距離では、最近はほとんどが75mm - 110mmの間であることが分かります。調べるまでもないのですが。

レンズメーカー別ではDallmeyerがHugo Meyerをわずかに抑えて首位に立ちました。写楽彩からお借りした2本のDallmeyer F1.9がすばらしく、回数が増えました。

これで今後のksmt.comの今後の方針が見えるかと思ったのですが、別にそういうことはなく、まあこんなもんじゃないかなぁと思いました。質問やリクエストなどがありましたら、ぜひ掲示板に書き込んでください。できるだけお応えします。


2008.8.20 ルーペの代用品

ピントグラスを見るルーペを忘れたので、OLYMPUS OM-SYSTEM ZUIKO AUTO-MACRO 50mm 1:3,5で代用したところ、大変クリアに見えたので驚きました。ピントグラスのぴったりとくっつけると、少しピンボケですが、ほんの5mmほど浮かすとピントがあいます。フィルター一枚分くらいです。ルーペと同じように、外から光が入りませんので、ピントグラスや、ライトボックスなど透過光を見るのに適します。テストするのに一番簡単なのはパソコンの画面を見ることです。

Kilfit Makro-Kilar 3.5/40mmでも、一応ルーペの代用になりそうです。レンズからレンズの先端まで距離のあるマクロレンズなら、どれでもルーペの代用になりそうな感じです。めったに使わなくなったルーペはどこにしまったか忘れてしまいがちですので、そんな時にお試しください。


2008.8.19 Rietzschell Prolinear 1.9/13.5cm Camboボード製作

Prolinear 1.9/13.5cmが開放F1.9で5x7inchをカバーする巨大なイメージサークルを持つ広角レンズであるということが分かりました。5x7の135mmは、ライカ版に換算すると多分35mmくらいの広角レンズに相当すると思います。テスト用に作った段ボール製の臨時ボードでは、まともな撮影はできませんので、ちゃんとしたCambo用のボードを作りました。余っていたCamboのボードにドリルで穴を開けて、やすりで形を整えるだけですので、すぐにできます。約2mm厚のアルミ板なので柔らかいのです。


フランジがあるので、これに合うように穴を開ければ、それで終了。Camboのボードにぴったりの大きさですね。


大きな板に大きなレンズを入れると、バランスが良いです。


きれいに収まりました。


ボードの後ろにレンズが大きく出っぱっているのが特徴です。傷つきそうで気を使います。


EOS 5Dでも今まで通り使いたいので、ネジ5本でフランジが脱着できるようにしました。アルミのチャネルを加工して金具を作成し、ペンタ67のチューブに取り付けました。今まではこの部分が接着剤で固定されていたのですが、それを脱着式にしました。


1mm厚のアルミの金具ですが、5個使うと結構強度が出ます。自分で曲げたのではなくて、元々曲がっているアルミのレールのようなものを切断して使いました。


フランジに元々ある5つの穴を使って固定します。


以前は接着剤でくっつけてあったので、落下するのではないかという一抹の不安がありました。今度はねじ止めなので、絶対に脱落しません。


2008.8.18 Rietzschell Prolinear 1.9/13.5cmピントグラス拡大画像

Rietzschell Prolinear 1.9/13.5cmが開放で5x7inchをカバーするほど巨大なイメージサークルを持つことが判明しました。リクエストを頂きましたので、5x7inchビューカメラのピントグラスの拡大画像をのせます。EOS 5Dではとてもシャープには見えなかったのですが、ピントグラスを見ると開放でもシャープなので驚きます。5x7inchでの周辺も別に流れていないようです。ピントグラス面とデジカメの位置がずれておるので、ピントグラス前面にはピントが合っていませんが、雰囲気はご覧いただけると思います。


ピントグラス全体図。まさかこんな広角だとは思わないので、下の方に窓枠が写っていますが、無視してください。余裕で5x7inchをカバーしているように見えます。


中心の画像。シャープです。


画面右上(ピントグラス上では左下)ピントがはずれていますし、デジカメのピントもはずれていますが、流れてはいないようです。ちょっとあおれば、ピントが来そうな感じです。いい加減なレンズボードなので、ずっと手で押さえなければならず、今回はアオルことはできませんでした。このレンズだけちゃんとしたレンズボードを作ろうかと思います。リンホフのボードより大きいので、一枚余っていたCamboのボードに直接取り付けようと思います。


2008.8.17 Dallmeyer Speed Anastigmat 1.5/3" vs. Kino Plasmat 1.5/7.5cmイメージサークル


Dallmeyer Speed ANastig,at 1.5/3"<-----------------------------> Meyer Kino Plasmat 1.5/7.5cm

イメージサークルは、Kino Plasmatの方がかなり大きいようです。
他のレンズのイメージサークル調査結果は以下にあります。
http://www.ksmt.com/panorama/080815imagecircle/080815imagecircle.htm


2008.8.16 Dallmeyer Speed Anastigmat 1.5/3" vs. Kino Plasmat 1.5/7.5cm外形比較

Dallmeyer Speed Anastigmat 1.5/3"のレンズデザインがHugo Meyer Kino Plasmat 1.5/7.5cmと同じであるということの確認(kinoplasmat亀吉さんに教えてもらいました。ありがとうございました)は、一部(多分5人くらい)で大きな反響を呼びました。中将姫光学さんから”前玉のサイズなんかは同じくらいなのでしょうか?”といううれしい質問を頂きましたので、外形の詳細を比較してみました。レンズを全部分解して一枚づつ比べるのは、面倒くさいのと、混ざるのが怖いので、やめておきます。


両方EOSマウントにして、無限遠での長さ。右側のKino Plasmatの方が明らかに長いです。左側のDallmeyer Speed Anastigmatのヘリコイドが回しにくいので、自家製の変なリングがついていますが、無視してください。見た目はともかく、これがないとピント合わせが難しいです。


斜めからみたところ、右側のKino Plasmatの方が細長く見えますが、前玉の直径は同じです。Kino Plasmatにはフィルター枠を私が勝手に入れています。これで市販のフードが使えるようになりました。


前玉の直径はどちらも51mmで同じです。


写真では分かりにくいのですが、後玉の直径はKino Plasmatの方が2mmほど大きいです。左側のDallmeyer Speed AnastigmatはNikon Fマウントに改造した後、マウントアダプタを使ってEOSに装着しています。右のKino PlasmatはEOSマウントに改造して、内部に反射防止のフェルトを貼っています。

計測した外形寸法は次の通り。単位mm。

レンズ後端はらフィルム面までDallmeyer Speedが45.5mmしかないのに対し、Kino Plasmatは52.0mmあります。これは多分ターゲットとなるフィルムサイズが違うせいだと思います。Dallmeyer Speed Anastigmatは16mmか35mmシネ(ハーフサイズ)用ですが、Kino Plasmatは35mmライカ版(フルサイズ)用だと思われます。わずかではありますが、後玉の直径もKino Plasmatの方が大きいです。バックフォーカスが長くて、後玉が大きい方がイメージサークルを大きくできますし、Kino Plasmatには最初からライカスクリューマウントで作られたレンズがあるのが、私の推測の理由です。

前玉の先端から後玉の後端までの長さも4mmほどKini Plasmatの方が長いです。


2008.8.15 Photographic Optics by Arthur Cox (2)

先日Amazonを通して注文したイギリスの古本屋から次のようなメールが来ました。どうやら1971年版を買ったようなのですが、 それがないので1951年版でも良いかと聞いてきました。私は何年版か知らずに注文していますし、伝票にも" 数量 1 : Photographic Optics by Cox, Arthur"と書いてあるだけです。何だかよくわかりませんが、 とりあえず1951年版を買うことにしました。 多少値引きしてくれるそうです。以下が届いたメール。
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私たちが保有している本は記述してありますように、 1971 年版ではなくて、1951年版です。1971年版を探しましたが、残念ながら入手できておりません。1951年版を希望される場合は、 お手数ですがご連絡をお願い致します。


2008.8.14 Sigma 12-24mm F4.5-5.6

正式名称は12-24mm F4.5-5.6 EX DG ASPHERICAL /HSMといいます。12mm広角端での歪曲がよく抑えられており、評判の高いレンズです。このレンズは35mmフルサイズをカバーし、14mm単焦点より格段に安いので、とてもお買い得です。元々はEOS 10Dで円筒パノラマを撮影するために買ったものですが、数回使っただけで終わってしまいました。キュービックVRの製作を始めたためSigma 8mm円周魚眼しか使わなくなってしまったためです。その後、クラッシックレンズの方に走ってしまったため、ほとんど使う機会がありません。ただ、EOS 5Dでこの焦点域をカバーするレンズはないので、一応置いてあります。パノラマ合成を使えば、50mmとか75mmで水平方向360度のパノラマを撮影することも簡単にできますので、今後もあまり出番はなさそうです。


2008.8.13 Canon EF 70-200mm F4L

初代IXYデジタルが落下して壊れてしまい、新しいデジカメを探すことになりました。初代IXYデジタルは今から考えればひどいもので、バッテリーがすぐに上がってしました。ほんの数回充電しただけバッテリーがへたってしまい、記念写真を日に数枚という使い方以外はできませんでした。ちょうどCanon EOS 10Dが発売されたばかりでしたので、2003年の7月にEOS 10Dを購入。70-200mm F4Lも一緒に買いました。最新のデジタル一眼レフとLレンズなら、きっと性能が良いに違いないと思ったからです。しかしながら、最初はなかなか思うように行きませんでした。

家に帰って開封すると、レンズの中にでっかい黒いゴミが入っているではありませんか。不良品っぽいので、翌日販売店に持っていくと、こんな大きなゴミが入っているのは初めて見たとのことで、別の新品と交換になりました。家に帰って試写をしてみると、今度はカメラ側にエラーが出て動かなくなってしまいました。再度翌日販売店に行くと、初期不良ということで、こちらも別の新品と交換になりました。

週末に子供の野球の試合の撮影をしてみました。はじめての実践投入です。今度こそ順調に撮影できたのですが、家に帰ってパソコンで見てみると、全部ピンボケです。AFがおかしいようです。MFではビシッとピントが合います。Webを見ると、キヤノンのAFの調整の悪さが話題になっていました。購入後にキヤノンに調整に出すより他に解決策はないとのこと。買ったばかりのEOS 10Dを長期の調整に出すのもくやしいので、友人にEF 300mm F4Lを借りて試してみると、AFでもビシッとピントが合うではありませんか。どうやら、EOS 10Dと70-200mm F4Lの相性が悪かったようです。結局EF 300mm F4Lを買うことになり、EF 70-200mm F4Lはほとんど使わないまま鞄の中で眠ることになります。

一年ほど後にやっとキヤノンにAF調整に出しましたので、現在ではちゃんとAFでピントが合います。その後も使用頻度は少ないのですが、大昔のレンズとの比較用に時々使います。大昔のレンズには焦点距離も開放F値も書いていないものがあるため、このレンズと比較して焦点距離とF値を調べます。大昔のレンズは70-200mmであることが多く、F4より暗いことが多いのでこのレンズと比較できるのです。最近はF1.5 - F2.0のレンズが多いので、このレンズではF値の計測は困難か思われたのですが、実際には問題なく計測できています。このレンズを使う時だけISO感度を上げてやればいいのです。


このレンズは写したいものがちゃんと写る堅実なレンズです。いつか頻繁に使うときが来るのではないかと思います。Zuiko 50mm F3.5 Macroのように購入後20年ほどしてから突如メインレンズに昇格することもありますので。


2008.8.12 Photographic Optics by Arthur Cox

kinoplasmat亀吉さんに紹介して頂いた洋書"Photographic Optics" by Arthur Coxを注文しました。この本にはDallmeyer Speed Anastigmatの構成図、すなわちKino Plasmatの構成図が出ているのですが、他にも1000本くらいの古いレンズの構成図が出ているそうです。kinoplasmat亀吉さんはその名の通り、Kino Plasmatも6本も持つ、Kino Plasmat研究家です。

洋書の古書が(新品はないようです)瞬間的に検索できて、数分で注文完了できるのは、本当に助かります。イギリスからの発送だそうですので、インターネットがなければ、入手は困難ですね。Amazon.co.jpのマーケットプレイスは大変便利で最近よく使います。購入可能な古書が値段順にリストされますので、現状で一番安いものが買えるという安心感があります。


2008.8.11 Canon EF 17-40mm F4L

Canonが2003年3月にEOS 10Dを発売し、しばらくしてEF 17-40mm F4L USMを発売しました。APS-CのEOS 10Dで使うと28mm - 64mm相当の標準ズームになります。前からあった16-35mm F2.8は10D本体よりも高価なため、10万円程度程度で買える広角ズームとして登場したのでした。なかなか見た目が良かったので、すぐに購入しました。主な用途が集合写真でしたので、その目的には抜群の性能を示しました。集合写真だと28mm - 64mm相当という焦点距離が適切で、F4より絞りを開ける必要は全くありませんでした。ほとんどF5.6-F8でストロボをたいて日中シンクロという使い方でした。集合写真をA3にプリントして皆さんに差し上げていたのですが、すばらしい画質が得られました。

このレンズの一年ほど後に、もう少し広角が欲しくなり、SIGMA 12-24mmを買いました。比べてみたところ、EF 17-40mm F4の17mm端におけるタル型歪曲が目立つ結果となりました。http://www.ksmt.com/eos10d/eos_nikki_body2.htm#040529 SIGMA 12-24mmの優秀さに驚き、Canonの歪曲に少し失望したのですが、今になって考えると、タル型の歪曲が一概に悪いとも言えないかもしれません。建築写真を撮影するのであれば、直線を出すために歪曲のないSigma 12-24mmやTS-E 24mmを買えば良いと思います。一方、集合写真の場合には、別に直線など出てなくても気になりません。ちゃんと試したことはありませんが、タル型の収差が少しあった方が、画面の隅の人の顔がビヨーンと伸びないでいいかもしれません。


記念写真撮影や子供の写真や家族旅行などには、とにかく大変便利なレンズです。子供が小学生の頃は、これと300mm F4 ISの2本だけ持って歩いていました。


2008.8.10 Dallmeyer Speed AnastigmatはKino Plasmatと同じ構成

Dallmeyer Speed Anastigmatは、Super-Sixのちょっと明るいもので、レンズ構成はSuper-Sixと同じ標準的なダブルガウス、だと思い込んでいました。 借用したDallmeyer 1.9/3"(Super-Sixとは書いていないがSuper-Sixだと思われる)とF1.9付近で撮り比べて、ほぼ同じ結果が得られたので、Speed AnastigmatはやっぱりSuper-Sixだと確信していました。

ところが、kinoplasmat亀吉さん中将姫光学のブログで Dallmeyer Speed AnastigmatはKino Plasmatと同じレンズ構成のはずとコメントしておられました。こりゃ調べねばと思い、私のDallmeyer Speed Anastigmat 1.5/3"を恐る恐る分解してみると、kinoplasmat亀吉さんのご指摘通り、 Kino Plasmatと同じレンズ構成でした。Paul RudolphがHugo Meyerで開発したKino Plasmatのレンズ構成が、何故Dallmeyerで使われたのは不明ですが、とにかくDallmeyer Speed AnastigmatはSuper-SixではなくKino Plasmatであるということが確認できました。ひどいグルグルボケが出るのは、このせいだったのですね。


右が前です。前玉はどうしてもはずれなかったので、後玉を取り出してみると、絞りに向かって出っ張った薄い貼り合わせのないメニスカスがあり、明らかにKino Plasmatです。


拡大図。Dallmeyer Speed Anastigmatに関する今までのコメントはすべて書き直さねばなりませんね。しかし、今気付いて良かったです。 これを知っている人はまだ少ないと思います。Speed Anastigmat と書かれたレンズは数が少ないのです。私はただ冩楽彩のマネをして買ったわけですが、 冩楽彩と某店以外ではまだ見たことはありません。合計3本ですね。うちにKino Plasmatと同じ構成のレンズがもう一本あることが分かって、とても得した感じです。kinoplasmat亀吉さんありがとうございました。もし見つけたら無理してでも買っておくべきレンズだと思います。

それと、Dallmeyer 1.9/3"と書かれたレンズを買って、分解してみなければならないですね。もしかしたら、Super-Sixと書いていない理由は、Super-Sixと異なるレンズ構成だったせいかもしれません。まあKino Plasmatも6枚玉ですので、Sixにはちがいないのですが。。。


2008.8.9 Sigma 8mm 1:4 EX Circular Fisheye

2004年から2006年にかけて、ほとんど全部の写真をこのレンズで撮影しQTVRを作成していましたので、多分3万枚以上撮っていると思います。EOS 10DとこのレンズでQTVRを作成する場合、ひとつのQTVRに7枚写真が必要でしたので、どうしても撮影枚数が増えます。AFはほとんど使ったことがなく、常にMFです。絞りは最初使っていましたが、途中からほとんど開放での撮影でした。一度冬に絞り羽が絞ったまま元に戻らなくなったことがありました。自然に直ったので、修理に出していません。焦点距離8mmでF16まで絞ると、絞りの直径はわずか0.5mmになってしまいますので、自動絞りでの小絞りは難しいようです。幸いF4.0でも十分シャープですので、画質のために絞る必要性は感じません。私の場合、夜景でも全部手持ちで撮影していますので、シャッタースピードをかせぎたいというのもあります。デジタルの場合、パソコンで拡大すると、8mm魚眼といえどもピントの山ははっきり見えますし、ブレもはっきり分かります。ですので、絞りこんでパンフォーカスにするよりも、目測で必要な距離にだけピントを合わせる方が好きです。



このレンズは解像度が高く、小型で、安いため、大変お買い得だと思います。Nikon 8mm F2.8もクラシックレンズとしては大変魅力的ですが、巨大で高価のため、まだ買えていません。

このレンズは大変優秀なのですが、一般には使用目的がほとんど存在しないと思われています。私はQTVR作成後に、そのデータを平面に展開し、デジタルカメラマガジンの写真コンテストに応募したことがありますが、一般投稿部門で準優秀賞一回佳作一回を頂きました。確かこのレンズで撮った写真を3回応募して、2回入賞していますので、このレンズはカメラ雑誌のフォトコンテストに強いと言えると思います。その後、歴史的古典レンズでの応募に切り替え、10か月連続落選をし、応募をやめてしまいました。古典レンズの方は、2勝12敗くらいです。古いレンズだからといって特別扱いはしてくれませんので、厳しいですね。


2008.8.8 CANON EF 300mm 1:4 L IS

CANON LENS EF 300mm 1:4 L IS 105233

少年野球撮影用に友達に借りて試したところ、軽くて使いやすく、ピント精度がよく、シャープな画像が得られたので、中古で購入しました。このレンズの前に買ったEF 4/70-200mmがAFがひどい後ピンだったので、なおさら良く見えたのです。EF 4/70-200mmはキャノンに調整に出したら、直りました。このレンズは小さくて軽くて安いので助かります。開放値は2.8/300mmに比べて1絞り暗いのですが、デジタルの場合ISO感度を自由に変えられるし、ISがついているので、全く問題ではありません。というか、2.8/300mmがあまりに高いので、一般人はこれしか選択肢がありません。三脚や一脚を使うような場面は全くありませんでした。全部手持ちでOKでした。少年野球を撮影には少しこつがいります。

◎ まず、ボールを追いかけてカメラを振らないこと。全く振っていないつもりでも、結構振っており、ISといえど追随できません。たとえば、ピッチャーを撮影すると、動いているボールが止まって写り、ピッチャーの顔がブレている場合が多かったです。
◎ AFのリミッタをうまく使う。普通は3mより遠くにしかピントが合わないように設定しておきます。1.5mに設定すると、一旦AFをはずすと戻るのに時間がかかります。
◎ 両目を開けて撮影。三塁側からバッターを狙う場合には右目でファインダーをのぞき、左目でピッチャーを見ます。一塁側の場合は、その逆。
◎ コントラストを最低に設定する。JPEGの現像パラメータのコントラストを最低に設定します。特に晴天は、帽子の影が目にかかり、顔の上半分が影で、下半分に直射日光が当たるをいう条件になりますので、コントラストが高いと困ります。コントラストを低くすると、子供の顔色が良くなります。かなり枚数が多くなりますので、RAWで撮影するというのは、あまり現実的fではありません。




このレンズは一度故障し、修理に出しました。MF不良とIS不良が同時に起こりました。フルタイムマニュアルフォーカスは結構複雑な構造のようで、部品の劣化が原因だったようです。IS不良は、ISが振りきれて揺り戻しが起こった時にカメラ側でエラーが出るというもので、ISユニット交換になりました。安い中古レンズを買って、100時間以上使ったので、このあたりは仕方ないかもしれません。ISはシャッターを半押しの状態で作動していますので、使用時間が長ければ、酷使されることになります。

少年野球の公式戦になると、プロの写真屋さんが撮影をされますが、よく見かけたのはEF 70-200 F2.8 IS + テレコンバータです。写真屋さんの撮った写真を見ると、すいぶん引いた写真が多かったです。周りの状況が写った写真の方が望ましいようです。私の写真はアップばかりで、周りの状況など全く写す必要はありませんでした。周りの状況はビデオカメラの方が向いていると思います。


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