EOS10D日記その29
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2009.3.1 欲しいレンズ49 グラマツキーの人像写真用レンズF1.25
”カメラマンのための写真レンズの科学”(吉田正太郎著、地人書館)の92ページに、H.J.
グラマツキーが1929年に発明した人像写真用レンズF1.25が出ています。新種ガラスを使った大口径ペッツバール型レンズです。いったいどこのメーカーの何というレンズとして売られたのか分かりませんし、焦点距離も分かりませんので、どうやって見つければ良いのか分かりません。もし、F1.25で4群4枚で大きな球面収差のあるレンズを見かけたら、きっとこれだと思いますので、その時のために頭の片隅にしまっておきます。
2009.2.30 紅窗花
”挑戦!朗読中国語”(陳文著、NHK出版)に紅窗花(紅窓花)の話が出ていました。
”旧正月の時につるすのは赤い提灯、窓に貼るのは赤い切り紙、入り口に貼るのは赤い春聯で、子どもたちは赤い服を着て、赤い爆竹を鳴らします。”
初恋のきた道で(ディー)が先生がいなくなって荒れてしまった学校の窓の障子紙を張りかえて、その上に赤い切り紙(紅窗花、ホンチュアンファー)を貼っていました。いったいこれは何のおまじないだろうと思っていたのですが、正月飾りだったわけですね。
2009.2.29 招
”挑戦!朗読中国語”(陳文著、NHK出版)を読んでいたら、次のような記述がありましたので引用します。中国の昔の女性の名前に関する話です。
”そのほか、今では少なくなりましたが、「招」という名前が以前よくありました。娘が弟、つまり息子をつれてきてほしいという意味です。”
これで思い出したのですが、初恋のきた道でチャン・ツィイー演じるところの母親の名前が招でした。普段はと呼ばれていましたので、不思議な名前だなぁと思っていましたが、謎が解けました。
2009.2.28 之
日本語は中国語の影響を強く受けていますので、当然ながら似ているところがたくさんあります。もちろん違うところもたくさんあります。ここが初心者にはつらいところで、たとえば”之”はジと読み、日本語の”の”と全く同じ使い方をする時があるのですが、なかなか慣れません。”在日本住了多年之后”(ザイリーベンジューラドネンジホウ、日本に長年住んだ後で)という文章があると、ジを”の”だと聞きとれずに、前後の言葉とくっつけて、ネンジとかジホウって何? となってしまい混乱するわけです。まあ、地道に慣れるしかないですね。
2009.2.27 聯合艦隊
”連絡”という意味の中国語は”聯系”というそうですが、最近日本で”聯”という字を目にすることはあまりありません。わずかに聯合艦隊を思い出すくらいですが、これも新字体では連合艦隊と書きます。聯も連も発音は同じですし、意味も良く似ているようです。ところで、聯合艦隊とはいったい何と何の聯合なのか以前から気になっていたので調べてみました。Wikipediaによると、
”聯合艦隊(れんごうかんたい、新字体:連合艦隊)とは、旧日本海軍が二個以上の常設の艦隊で編成した、非常設の艦隊である。”
なるほど、日清戦争当時から日本には複数の艦隊があったということですね。
2009.2.26 キューブ・マッピング
OpenGLのテクスチャマッピングはなかなか難しくて、OpenGLの入門書を読んでもよく分かりませんでした。そこで、”GLUTによるOpenGL入門2 テクスチャマッピング”(床井浩平著、工学社)という本を買ってきました。OpenGLの入門書でテクスチャマッピングをまじめに扱うとページ数が多くなってしまうので、普通は詳しく書けないそうです。この本はテクスチャマッピングに絞った入門書ですが、それだけで結構な分量があります。テクスチャマッピングというと、物体の上に絵柄を貼りつけるだけだと思っていたのですが、その他に環境マッピングというものがあるそうです。これは周囲の環境からの光が物体に反射する様子を再現するものです。環境を半球で表現するスフィア・マッピング、立方体で表現するキューブ・マッピング、放物面を使う放物面マッピングなどがあります。そしてOpenGL
2.0で標準機能となったOpenGL Shading Language(GLSL)の解説もついています。C++のサンプルがついていますので、ぼちぼちPythonに焼きなおそうと思います。
2009.2.25 栄叡と普照
中国語の勉強をしていたら、「日本の僧栄叡、普照は揚州に来て、このような美しいところで岸に上がったのです。古風で奥ゆかしい揚州はほんとうにきれいです。」という意味の文章がありました。残念ながら私は栄叡と普照を知らなかったので、これはまずいと思い調べてみました。Wikipediaの「鑑真」の項目に次のように書いてあります。
「鑑真は四分律に基づく南山律宗の継承者であり、4万人以上の人々に授戒を行ったとされている。揚州の大明寺の住職であった742年、日本から唐に渡った僧栄叡、普照らから戒律を日本へ伝えるよう懇請された。」
2009.2.24 Schneider社のシリアルナンバーは2系統
Schneider Gottingenのシリアルナンバーのことを書こうと思っていたら、うまい具合にkinoplasmat亀吉さんから鋭い質問を頂きました。
質問:
> No.17164のXENONが売っていますが、これは番号的にはfakeということでしょうか。
回答:
いやぁ、同じこと考えてますねぇ。私も昨日日誌を書いている途中で同じ疑問を持ちました。明日の日記に書こうと思っておりました。
シュナイダー社の歴史 http://www.schneiderkreuznach.com/firma.htm#geschi
を見てもよく分からないので推測ですが、シリアルナンバーにはBad
Kreuznach本社工場のものと、Göttingen工場のものがあるのではないかと思います。No.17164はGöttingenと書いてあ
りますので。多分ツアイスのシリアルがイエナとオバーコッヘンで別なのと同じなんじゃないかと思っています。
2009.2.23 初期のXENONが見つからない
シュナイダーのXENONは1925年にトロニエ氏が設計したそうです。1936年になるとライカのレンズとして売り出されます。その前のごく初期のXENONレンズの描写が見たくて探しているのですが、見つかりません。EOS
5Dに取り付けたいので、75mmから100mmくらいがいいのですが、とにかく全然見つかりません。シュナイダー社のシリアル番号表を見ると、800,000番以下ということになります。100,000番台が見つかれば1928年より前なので理想的なのですが。
2009.2.22 OpenGL CubicVR Viewerの利点
Japanos BBSに書き込ませて頂いた件ですが、OpenGLでCubicVR Viewerを作る理由がやっと見つかりましたので、ここにも書きます。QuickTimeやFlashなど、いいCubicVR
Viewerが既にあるので自分でOpenGLでViewerを作る意味はないと思っていました。単にOpenGLの練習をしようと思っただけなのですが、そうとも限らないようです。
OpenGLについて調べていた時、nVIDIA社の中で次のようなページを見つけました。これはCubicVRと鏡面反射モデルを用いた写り込みのテクスチャーマップですね。
http://developer.nvidia.com/object/cube_map_ogl_tutorial.html
たとえば砂漠でCubicVRを撮影し、自分の好きな車のモデル作ってCubicVRの箱の中に入れれば、車の窓には砂漠の景色が見事に映り込むはずです。
車を回転させれば、映り込みも変わる。テレビゲームなどではきっと既に使われている技術なんでしょうね。
でもこの使い方で車のカタログ写真用の高品質の画像を得ようとした場合、車のモデルの製作がネックになると思われます。車の塗装のメタリック色やガラスやメッキの反射を正確にモデリングするのは不可能でしょうね。ということは、実車が入るような大きな立方体の箱を作って、立方体の内側に6枚の画像を映写すればいいわけです。リヤプロか何かでうまくやれる可能性はありますね。もっと小さなものであれば、市販の液晶モニターで作れるかもしれませんね。例えば香水の瓶をエーゲ海のVRの箱の中に入れて撮影する・・・ところでカメラはどこから箱に入れるの?
2009.2.21 焦点距離はmmかcmか?
先日シュナイダーの製造番号を書きだしていたら、戦前は焦点距離をcmで表記し、戦後はmmで表記していることに気付きました。
276455 Xenar 4.5/21cm (1928)
1050546 Jsco 4.5/7.5cm (1936)
1773825 Xenon 2/5cm (1942)
--------- cm --> mm -----------------
3107351 Radionar 4.5/105mm (1952)
11 269 963 Edixa-Xenon 1.9/50mm (1969)
11 792 788 Xenon 1.4/90mm (1971)
12 172 656 Symmar 5.6/135mm (1972)
では、いったいいつごろからcm表記になったのでしょうか? ツアイスは最初はmm表記だったのですが、途中でcmに変わりました。うちにあるツアイスのレンズを書き出してみると、
4475 Anastigmat 4.5/183mm (1893)
36606 Planar 3.6/110mm (1899)
47071 Protarlinse 412mm (1901)
63822 Unar 4.7/145mm (1903)
103898 Tessar 6.3/148mm (1910)
-------- mm --> cm ------------------
250943 Tessar 4.5/18cm (1914)
493312 Protarlinze 35cm (1922)
912269 Tessar 4.5/13.5cm (1929)
2073312 Orthometar 4.5/21cm (1937)
2792559 Orthometar 4.5/21cm (1941)
--------- cm --> mm -----------------
3771480 Biotar 1.5/75 (1953)
5252670 Flexon 2/50 (1954)
1910年にはまだmm表記だったのですが、1914年にはcm表記に変わっています。1914年といえば第一次世界大戦が始まった年です。ということは、第一次世界大戦前はmm、第一次世界大戦と第二次世界大戦の間はcm、第二次世界大戦の後はまたmmということですね。偶然なのか、何か特別な理由があったのかは不明です。
日本でも明治の終わりころにお役所からレンズの焦点距離を尺貫法でカタログに記載するようレンズ輸入業者(浅沼商会や小西六など)にお達しがあったようですが、結局徹底されることなく、すぐに元のmm表記やインチ表記に戻ったようです。確か寺崎さんに教えてもらった浅沼商会のカタログか何か(オンラインで読める国会図書館の資料)にそんなことが書いてあったような気がします。
2009.2.20 PhthonとOpenGLを使ったCubicVR Viewer (2)
私のOpenGLのブログは半年近く更新していませんでした。しかし、せっかく作りかけたCubicVR Viewerがもったいないので、ぼちぼちと続きを作ることにしました。OpenGLの本はC言語用に書いてありますので、そのままではPythonでは使えないところがあります。本来インタプリタであるPythonの方がC言語より簡単なはずなのですが、ドキュメント不足から逆にPythonの方が時間がかかるかもしれません。まあ、急ぐわけでもありませんので、ぼちぼちやってみます。
ここ数日で対応した問題点:
1. 高解像度対応。OpenGLには、テクスチャの行数と列数は2の累乗でなければならないという規定があります。CubicVRの一辺が1024pixelとか2048pixelとかならいいのですが、3000pixelだとすると、4096
x 4096pixelのテクスチャを確保せねばならず、処理速度が心配です。そこで、これを512
x 512pixel x 36枚のテクスチャに分解し、タイル状に貼りつけるよう改良しました。これで、いくら解像度の高いCubicVRでも対応できるようになりました。
これが入力の画像です。これはテスト用なので、1000 x 6000pixel。
このような大きな画像を下のような複数の小さな画像(256 x 256pixel)に切り分けます。
4 x 4 x 6 = 96枚の小さな画像ができました。
これをすべて読み込んで、六面体にタイルのように貼り込みます。
2. メニュー追加。前回はキーボードで回転と拡大縮小を行っていましたが、画面下部のボタンのようなメニューからも操作できるようにしました。メニューのテキストがうまく出せなくて苦労しました。まだテキストの色を変えられないという問題が残っています。
今後の懸案は次の通り。
1. マウスでの回転指定。QuickTimeのようにマウスで回転の指定ができるようにしなければなりません。
2. 慣性回転。回転させたら、慣性でそのまま回転を続ける機能。
3. スタンドアローンプログラム配布方法。せっかく作ったPythonのプログラムですが、ソースファイルからしか実行できません。すなわち、Pythonをインストールした上で、OpenGLやPILのライブラリのインストールが必要になり、使うまで面倒くさくてかないません。ダウンロードしてすぐに実行できる形式にせねばなりません。
4. 入力ファイルブラウザ。現在は正方形画像6枚を縦につなげたJPEGファイルを入力としていますが、そのファイルをブラウザから指定できるようにしなければなりません。
5. 入力ファイルの種類を増やす。Equierectangular画像が読めればベストなのですが。
6. インターネット対応。IEのプラグインにできればベストなのですが、難易度が高かそうです。
7. サウンド対応
8. 雪や、雨や、雷や、流れる雲や、霧や、波や、紙吹雪や、花火などの動画系特殊効果対応。これができればOpenGLを使ったかいがあるというものです。道のりははるかに遠い。
9. GLSL対応。やっぱりプログラマブルシェーダーが使えないといけませんね。何に使えるのかは知りませんが。
10. iPhone対応。iPhoneを持っていないので難しいです。Pythonに対応してくれればいいのですが。
11. C++での書き直し。C++が面倒くさいのでPythonで作っているので本末転倒のような気もします。
2009.2.19 Schneider Serial Number
中将姫光学さんからXenonのシリアルナンバーについて質問がありましたので、調べてみました。Schneider社のレンズのSerial Numberは7桁以下の時には、"1773825"のように刻印されていますが、8桁になると"11 792 788"のように3桁ごとにスペースを開けて刻印されてます。シュナーダー社のリストを見ると3桁ごとに","がありますので、8桁以上の場合","の代わりにスペースが入っていると考えるのが自然だと思います。
うちにあるシュナイダーのレンズのシリアルナンバーは、
276455 Xenar 4.5/21cm (1928)
1050546 Jsco 4.5/7.5cm (1936)
1773825 Xenon 2/5cm (1942)
3107351 Radionar 4.5/105mm (1952)
11 269 963 Edixa-Xenon 1.9/50mm (1969)
11 792 788 Xenon 1.4/90mm (1971)
12 172 656 Symmar 5.6/135mm (1972)
シ リアルナンバーが6桁や7桁の時は続けて書いていたが、8桁になると長すぎて読みにくいので3桁ごとにスペースを空けるようにした、ということだと推測し
ます。
キングズレーク氏の本によりますと、シュナーダーのトロニエ氏がクセノンを設計したのは1925年ですので、シリアルナンバーが100,000番か ら200,000番くらいのXenonであれば初期のものと言えると思います。
2009.2.18 漢字文明にひそむ中華思想の呪縛 (5)
漢字は難しいので徐々に使われなくなり、200年後にはカナやアルファベットなどの表音文字に敗れて、日本語から消滅するのではないかという説もあるそうです。本家中国でも漢字廃止論があるそうです。ここで漢字を救うのは今話題の「漢字能力試験」かもしれないとのこと。漢字文明にひそむ中華思想の呪縛(黄 文雄著、集英社)から引用させて頂きます。
”日本ではなぜ漢字検定がこれほど人気を呼ぶのだろう。おそらくそれは日本人の求道精神よるものではないだろうか。それは趣味という段階を超えている。日本人は昔から書道、華道、茶道、剣道、柔道など「道」の世界をつくり、文武両道を身につけようとしてきた。日々稽古を欠かさず、少しづつ段やランクを上げていく。それに生きがいを求めるのである。これは日本人ならではの美徳である。”
”20世紀初頭、中国の指導的文化人、胡適は、かりに漢字文明が滅びても漢字に対する信仰は残ると述べた。しかし、日本は信仰ではなく、求道精神にのっとり漢字を文化遺産として保存してくれるだろう。”
2009.2.17 漢字文明にひそむ中華思想の呪縛 (4)
中国はあまりにも広いので、たくさんの言葉(方言)があって通じないので、通信用の文字として漢字が使われたのだそうです。今では普通話が普及しているようですが、昔は本当に困ったようです。漢字文明にひそむ中華思想の呪縛(黄 文雄著、集英社)から引用させて頂きます。
”同じ方言と言っても発音はもとより、語彙、言い回しなどが違い、ほとんど別の国の言葉である。ヨーロッパでいえばフランス語とスペイン語、英語とロシア語ほども異なるだろう。中国はヨーロッパと同じように多言語、多文化、多文明の国なのである。漢字は言葉の通じない人をつなぎ、結びつける交信のメディアとしての役割を果たしているのである。もしも漢字がなければ、中国はヨーロッパよりも多くの民族国家が林立する大陸となっただろう。これほど実際の言葉が違っている以上、漢字の読み方も地方によって違うのはしごく当然のことである。日本人は漢字文化を受容するとき、漢字の読み方を中国語音に近い音読と、日本の言葉に訳して読む訓読という方法を使って消化したが、中国人(漢人)も実は同じような手段を使って漢字を読んでいる。”
なるほど、そういうことだったのか。
2009.2.16 漢字文明にひそむ中華思想の呪縛 (3)
中国人留学生が日本語を学ぶ時、最も難しい漢字が「生」だそうです。我々日本人は難しいと思わないのですが、実際には難しいようです。漢字文明にひそむ中華思想の呪縛(黄 文雄著、集英社)から引用させて頂きます。
”かつて知り合いから「生」という字の読み方について研究した小冊子をもらったことがある。たくさんある漢字のなかからなぜ「生」に興味を持ったのかというと、彼が世話をしている数人の中国人留学生に日本語の漢字で読み方が難しいのは何かと聞いたところ、「生」だと答えたというのである。たしかに「生」には読み方がいく通りもある。彼が「生」の読み方を研究したのにはもう一つ理由があった。それは神道の信仰の核心が「生霊」ではないかと思ったからだというのである。ア行でいくと、生憎、生きる・・・・・・がある。こうして辞書から「生」の読み方を調べていくとどんどん増えていき、現代語も含めて約140通りの読み方があるという。これほど多くの訓読みがあるからには「生」が日本の精神文化の伝統なのだと主張するにいたったということだ。”
2009.2.15 漢字文明にひそむ中華思想の呪縛 (2)
漢字文明にひそむ中華思想の呪縛(黄 文雄著、集英社)に日本語と漢文の違いが書いてありますので、2か所引用させて頂きます。
”日本語の文章は慣れると非常に読みやすい。漢文の本は漢字で埋めつくされて真っ黒で、論旨を理解するまでに時間がかかり目も疲れる。しかし漢字カナまじり文は一目で10行読みこなすこなすことができる。私が一時間に100ページ、一日に数冊もの本が読めるのは、日本語のおかげである。”
”日本語を漢文に翻訳すると文字数は少なくなるのが常識だ。たとえば400字詰め原稿用紙400枚の日本語は300枚以下になる。紙の節約にはなるが、読むのに時間がかかる。一方日本語は紙幅はとるが漢文の4〜5倍の速度で読めるのである。”
やはり漢字カナまじり文というのは、慣れるまでは大変ですが、一旦慣れると速読性に優れているようです。
2009.2.14 漢字文明にひそむ中華思想の呪縛 (1)
漢字文明にひそむ中華思想の呪縛(黄 文雄著、集英社)は、昭和13年台湾高尾雄県生まれで、昭和39年から日本在住の黄 文雄氏が書かれた本で、なかなか面白いです。中国語とは何か、漢文とは何か、日本の漢学とは何か、日本語と中国の諸民族・地域の言葉と普通話と漢文の違い、などが良く分かります。一番驚いたのは、日本の漢文読み下し文(レ点とか一、二とか送り仮名のついた漢文)が優れているという話です。私はてっきり漢文が読めない日本人が考えた邪道な漢文の読み方だとばかり思っていました。”漢字文明にひそむ中華思想の呪縛”(黄 文雄著、集英社)から引用します。
”文法が不確定で略語の多い漢文をなんなく読みこなせる人はめったにいない。もちろん中国人だからといって誰もが読めるわけではない。漢文の解釈については日本の読み下し文のほうがわかりやすい。これは漢語を母語とする留学生たちの体験としてよく聞いている話だ。中国では文法は修辞学の範疇に含まれており、法則が個別に研究されることはなかった。”
2009.2.13 Dallmeyer Kinemagtographとは何か?
kinoplasmat亀吉さんの”Dallmeyerレンズ 開放比較”にはSpeed Anastigmat 1.5/15mm, 同1.5/25mm, 0.99/1inch, Super Six 1.9/2inchなど大変めずらしく興味深いレンズが出ていますが、この中で特にKinematograph
1.9/2inchのボケ具合がすばらしと思います。以前からDallmeyer Kinematographは気になっていたのですが、明るいレンズは高価であるため、ほとんど調査研究が進んでいませんでした。自分で全部買うのは難しいので、とりあえずWeb上で調査したいと思います。
まず、私の所有物から。これはADON型(2群4枚の古典望遠)です。詳細が分かっているのはこれだけです。
J.H. Dallmeyer LONDON No 9 KINEMATOGRAPH No108417
Webなどで調べられるKinematographを列挙してみます。
Serial# | Year | No. | Name | Apature | Focal | Type | Source |
no number | No.1 | Cinematograph | ?3? | 2in | |||
Cinematograph | 1.9 | 2in | Leica Virgin | ||||
929xx | No.2 | Kinematograph | 3in | ||||
955xx | Kinematograph | 1.9 | 3in | ||||
108417 | No.9 | Kinematograph | ?4.5? | 160mm | ADON | ksmt.com | |
1207xx | Kinematograph | 1.9 | 2in | ||||
1219xx | Kinematograph | 1.9 | 2in | ||||
1291xx | Kinematograph | 1.9 | 3in | ||||
Kinematograph | 1.9 | 2in | oldlens.com |
可能性のあるレンズタイプに関してですが、kinoplasmat亀吉さんから次のように教えて頂きました。
私の手元のCOXの本で、Dallmeyerのf1.9と表示されているのは、
@Cine lens 13mmf1.9 --- Ernostarタイプ
ACine lens 1-3inch f1.9 --- Petzvalタイプ
BSuper Six 1-8inch f1.9 --- Double Gaussタイプ
の3種類です。
なるほど、ErnostarやPetzvalの可能性もありますね。これを含めて可能性のありそうなレンズの型を列挙すると、
Ernostar型、Petzval型、Kino Plasmat(Speed Anastigmat)型, Double Gauss(Super
Six)型, Triplet型、Tessar型、ADON型など
時代的には1920年台だと思いますが、詳細な生産年度は分かりません。
シリアルナンバーが刻印されていないものもあります。
2inchがNo.1で約160mmの望遠レンズがNo.9ですから、多分35mm映画用だと思われます。
中将姫光学さんご指摘のようにCinemetographが英語圏向け、Kinematographがドイツ語圏向け用だと思われます。この時すでにアメリカへの輸出が多かったと思われるのに、Kinematograph銘が多いのは不思議ですね。ここからは憶測ですが、英国のダルマイヤー社が最初Cinematoigraph銘でアメリカに輸出したところ、あまり売れなかった。そこで英国製品であるにもかかわらず、ドイツ風の名前kinematographに変えたところ、精密だというイメージが出てよく売れるようになった、ということかもしれません。
2009.2.12 Xenon 2/50再改造
Xenon 2/50mmは3年ほど前に購入した時に一度改造しましたが、全然使わなかったのでマウント部品を他で使うために分解されたままでした。これを再度改造して、EOS5Dで使えるようにしてみました。もちろん無限は出ず、1mくらいまでの近接専用です。EOS
10Dの時には2mくらいまで行けたのですが、5Dはミラーと衝突するので、条件が厳しくなります。
ついでにレンズを分解してみたところ、前群分離型のダブルガウス(1-1-1-2-1)でした。コンパスがあれば、くるくると簡単に分解できます。
その辺にあった、ありあわせの材料を接着剤でくっつけただけです。レンズ位置調整用に紙のワッシャーを一枚作りましたが、外からは見えません。
裏から見たところ。マウント金具の最後部と同じところまでレンズを引っ込めても大丈夫ですが、それより手前だとミラーと衝突します。
2009.2.11 Xenon 1:1,4/90は110mmくらい
Xenonには1:1,4/90と書いてあるので、てっきり90mmだと思っていたのですが、どうやら違うようです。ファインダーを覗いた時、なんか変だなぁと思ってはいたのですが。試しにMakro
Plasmat 105mmと比べると、明らかに105mmより長い。キヤノンのズームレンズを使って調べてみると、110mmくらいのようです。ええぇ〜、ということはF1.4より暗いということ? やっぱりそのようです。Nikkor
1:1.4/85mmと比べてみると明らかに暗く、ほとんどF2の時と同じ明るさです。ということで、私の判定では1:1.9/110mmとさせて頂きます。レンズの刻印に上に赤線を引いて訂正しておきます。
Canon DPPの画面。Nikkor 85mmをF2.0に絞った時と同じか、わずかに明るいかといったところ。同じところから撮影していますので、明らかに90mmよりは長い焦点距離だと分かります。
カメラ屋さんの話では、元々はレンズの後ろにもう一枚レンズがついていて、近接撮影しかできず、ヘリコイドの距離指標とも異なっていたそうです。そこでそのレンズを取り外したところ、距離指標通りうまく無限遠が出るようになったとのこと。このレンズは民生用の完成品ではなく、工業用の光学部品と考えた方がよさそうです。もし、これとおなじレンズをカメラ屋さんで見かけたら、実は1.9/110mmなんだよね、と蘊蓄を傾けて下さい。ただし、その個体が私のと同じ1.9/110mmかどうかは保証しかねますが。
2009.2.10 Xenon 1:1,4/90の絞りによる描写の変化
簡単に絞りによる描写の変化を調べてみました。く曇り空の夕方なので地味です。
F1.4 ソフトフォーカスのようです。
F=1.4 Pixel crop ピントの芯はありますが、曇り空でも大きくにじみます。
F=2.0 まだ少しソフトですが、なかなか良い感じです。
F2.0 Pixel crop 拡大してみるとまだまだソフトですね。F1.4では少しボケすぎですので、F2.0の方が一番雰囲気よさそうです。このくらいが私のXENONのイメージに近いです。
F2.8 ほとんど普通のレンズになります。
F2.8 Pixel crop シャープではありますが、まだまだ柔らかさを残しています。
2009.2.9 Xenon 1:1,4/90の絞りロック
Xenon 1:1,4/90の絞りはF22でロックできるようになっています。工業用のレンズのようですので、常にF22で使われていたのかもしれません。ではなぜF1.4まで明るくする必要があったのでしょうか? F1.4の明るいレンズをF22で使った方が、暗いレンズを特注するより安かったのかもしれません。それにしても収差の多いF1.4より、暗くて小さなF8くらいのプロセスレンズでも良いような気がします。それとも、このレンズは可視光領域ではソフトですが、紫外線領域または赤外線領域では開放F1.4からシャープなのかもしれません。
まあ、とにかく、F1.4, F2.0, F2.8と絞りを変えると、ソフトからシャープに描写が一気に変わる面白いレンズのようです。作品作りよりレンズテストの方が面白い(つまりやたらと無駄に枚数を撮影する)というのは、デジカメ向きです。
2009.2.8 谷本川は、やもと川と読む
鶴見川中流は谷本川とも呼ばれます。その谷本川の近くに引っ越して2年以上経つのですが、ずっと”たにもと川”だと思っていました。ところが最近川に出ている看板に”やもと川”と書いてあるのに気づきました。横浜市のホームページにも鶴見川(谷本川〔やもとがわ〕)と書いてありました。日本語って難しいですね。(鶴見川中流の住人ではない)何人かの人に、鶴見川中流は”たにもと川”と呼ばれる、と言った覚えがあるのですが、誰からも反論がなかったので、まだ誰にもバレていないと思います。
2009.2.7 Xenon 1:1,4/90ヘリコイド交換
このレンズの難点は最短撮影距離が8mである点です。せっかくなのでそのまま使おうかとも思いましたが、やっぱりあまりにも不便なのでヘリコイドを交換することにしました。候補としては、余っているズマレックス
1.5/85mmのヘリコイドか、いつものブロニカのヘリコイド。まずは計算です。
現在のヘリコイド(というより単に細かいネジです)の移動量。
X = f*f/(L-f) 公式 X:無限遠からのレンズの移動量 f:焦点距離 L:前側主点から被写体までの距離
= 9cm * 9cm / (800cm - 9cm) = 0.1cm
ということで、レンズ移動量はたったの1mmだったわけです。これでは撮影も無限遠調整も大変ですね。
ズマレックスのヘリコイドの移動量は約8mmですから、
L = f*f/X + f = 9cm * 9cm / 0.8cm + 9cm = 110cm
ブロニカのヘリコイドの移動量は約14mmですから、
L = f*f/X + f = 9cm * 9cm / 1.4cm + 9cm = 67cm
ということでブロニカに決定、というのは嘘で、単純に加工のしやすさからブロニカのヘリコイドに決定したのでした。ズマレックスのヘリコイドの方が見た目は良かったのですが、切りまくってから削りまくらないといけないので断念。
ところが、実際に加工してみるとプロニカのヘリコイドでレンズの先から1mくらいです。このレンズはどうやら前側主点がかなり前にあるようです。この場合、フィルム面からの距離を使った公式
X*X - X(S-2f) + f*f = Oを使った方が良いようですが、良く分からないのでやめておきます。
M42マウントをはずすと、たくさんネジ穴の空いた面が出てきました。ここでマウントの向きを調整しているようです。その下のネジはマイナスが2本とプラスが1本で不思議ですが、気にせず抜きました。
すると、ヘリコイドと後玉が簡単に分離できました。でもこれ以上の分解は無理で、前後それぞれ3群であることは分かりますが、詳細までは分からず。
左側のヘリコイドを右側のブロニカのヘリコイドに置き換えます。偶然にも全く同じ長さなので、無限遠調整は簡単です。
改造完了。ブロニカのスクリューを切断して嵌め込むと測ったように太さが同じで、ビスを打たなくてもはずれません。一応1.3mmのビスを3本打って完成。取り付けてみると、レンズの別の部分のイモネジ(オリジナル)が甘くてすぐに緩んでしまうため、撤去して別のネジと交換。
下がオリジナルのヘリコイドのネジ山。細かいですね。上が先ほど取り付けたブロニカのスクリューマウント。
完成図。作業時間約二時間。偶然にもヘリコイドの長さが同じで、偶然にもブロニカのスクリューの太さがぴったりはまったので、案外早く終わりました。これで最短距離が8mから一気に1mに短縮されたので、実用的になりました。
2009.2.6 ZEIKA 25mm F0.95
豊田さんから掲示板に、”以前日誌に載っていた日本のZEIKAというメーカ−の25ミリF0.95というのがあったので購入しました。”という書き込みを頂きましたので、消えないうちに転記します。写真工業の昭和33年3月号の225ページのZEIKAの広告がありました。そこには次のように書かれています。
「日本で最初に作られたf1.4レンズ
世界最大の口径比をもつノミナー f0.95
はじめて国産化されたズームレンズ
ザイカは常に8ミリレンズの先頭に立っています。」
昭和33年当時はシネレンズで躍進をはじめた企業だったのかもしれませんね。今Webを検索しても、わずかにライカマウントのZeika Rojar 3.5cm f/3.5が見つかるだけ、シネレンズの情報は見つかりません。
2009.2.5 Xenon 1:1,4/90
Xenon 1:1,4/90 Schneider-Kreuznach 11792788 Eltro
最近、仲間内でシュナイダーのクセノンが人気です。うちにもXenon 50mmF2があるのですが、無限が出ないため使っていません。写りはソフトですばらしいのですが。もう一本のEdixa-Xenon
1:1,9/50は開放からシャープでごく普通のレンズです。無限が来る中望遠、たとえば100mmF2が欲しいなぁ、でもきっとソフトじゃないだろうなぁ、と思っていたところ、たまたま90mmF1.4という聞いたこともないレンズが見つかりました。試してみると開放では非常にソフトな写り。工業用のレンズのようですがM42マウントに加工してあるので、改造なしでそのまま使えます。
レンズ構成は不明ですが、反射から見ると6群7枚くらい。前玉が大きく、直径73mmくらいあります。
シュナイダー社がエルトロ社(Eltro)のために特注したレンズのようですが、詳細は不明です。
絞りは最小絞りのF22のところにクリックストップがあります。このレンズの難点は最短撮影距離が8mである点です。工業用なので精密なピント合わせが必要だったのだと思いますが、ヘリコイドのピッチが非常に細かく、ピントリングを回しても、ほんの少ししかレンズが移動しません。
バックフォーカスはM42でも10mm程度余裕があります。
シャープに写りそうな外観ですが、とてもソフトなレンズです。店頭で数枚試写した後の予想では、F1.4ではソフトフォーカス、F2ではシャープだがハイライトににじみ、F2.8以上に絞れば普通にシャープ。さて、こんなにうまく行くのでしょうか?
2009.2.4 ノーダルポイント誤差論 独立
せっかく一生懸命書いた”ノーダルポイント誤差論”を10D日誌の中にだけ置いておくのはもったいないので、独立させました。ksmt.comのトップページから直接飛べるようにしました。
*** Nordal Point: Acceptable Error and Creative Strategy *** is now translated into English language for panorama creators. You can
also access to the page directly from ksmt.com top page.
2009.2.3 請多関照
中国語入門書の最初の方、好の次くらいに出てくることばで、”どうぞよろしく”、という意味ですが、アメリカ在住の中国人の友人に言ったら全く通じませんでした。”好中国語”(相原茂著、講談社)を読んで、その理由が分かりました。ちょっと引用します。
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請多関照 チン ドゥオ グアンヂャオ どうぞよろしく この挨拶もほとんど日本人用ですが、最近中国人どうしの挨拶にも散見するようになりました。日本からの留学生が伝えているのかもしれません。
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アメリカまでは、まだ伝わっていなかったようです。
2009.2.2 *Meyer
中将姫光学さんに教えてもらったWikipediaの”マイヤー”によると、Meyerはマイヤー、英語読みするとメイヤーまたはメイヤとなるようです。綴りも、Meier, Meyer, Maier, Mayer, Meir, Meyr, Mair, Mayr, Myre, Meijerと色々あるようでして面白いですね。
レンズのブランド名または会社名にMeyerが付くところは、
Dallmeyer社 (イギリス London)
Hugo Meyer社 (ドイツ Gorlitz)
G. Leitmeyr社 (ドイツ Munchen)
Carl Meyerブランド、Burke and James社 (アメリカ Chicago?) (kinoplasmatさんのWebを参照)
もっとたくさんあるのではないかと思って調べたのですが、これ以外には見つかりませんでした。
2009.2.1 好
”好中国語”(相原茂著、講談社)を読んでいたら、”好”という言葉について次のような解説があり、面白かったので引用させて頂きます。
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好 こんにちは
日本人に一番よく知られている中国語。実はこのことばは英語のHow are you !を訳したもので、まだ50年足らずの歴史しかないそうです。私たちがこのことばをよく知っているのは、これが中国人と外国人の間でよく使われる挨拶だからです。中国人どうし、特に一般庶民の間ではあまり使われません。
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2009.1.34 ディスクスワップ? (2)
ノートPC(Sony Vaio VGN-SZ74B, Windows Vista Home Premium)のディスクのアクセスランプがつきっぱなしになって、しばらく入力ができないという問題はその後も時々出ていますが頻度は減りました。GoToMeetingとの関係は依然不明です。ディスクアクセスの音を聞いていると、スリープ状態(ノートPCを閉じた時)から復帰する時の音に似ています。やっぱり一種のスワップかもしれません。ノートパソコンの開閉を何十回も繰り返すと問題が起こることが多いようです。時々はリブートしてやらないといけませんね。ソフトをたくさん立ち上げたままスリープと復帰を繰り返すのは、パソコンにとっては難しい作業のようです。
2009.1.33 109辣妹
中将姫光学さんが「湖南省の女の子はよく"辣妹子"と称されますが」と書いておられたので気になっていたのですが、”好中国語”(相原茂著、講談社)を読んでいたら、日本語の”ガングロ”のことを中国語で”109辣妹”(イーリンジウラーメイ)と言うのだそうです。109はあの渋谷の109のことです。あまり役に立たない豆知識でした。
ところで、””という字のフォントが機種依存で、うまく出ないのは困ったものです。中国語に対応した環境への移行を考えなければいけないですね。
2009.1.32 ハヤタカメララボ
豊田さんに教えていただいたのですが、ハヤタカメララボに 今月の一枚 2009年1月 ルミックスG1 + C マウントアダプター + シネ用レンズ各種という記事が出ています。P.ANGENUEX TYPE M1 25mm F0.95の作例は面白く拝見しました。古いレンズはあるが、クラシックカメラは全く持っていない私はハヤタカメララボには縁がなく、行ったともありません。勝手にリンクさせて頂いたので、そのうち挨拶に伺おうと思います。
2009.1.31 ハンググライダーの話
ハンググライダーの話は古今東西だいたい同じようなものです。雲に吸い上げられてキリモミで急降下して抜け出したとか、沼地や田んぼに着陸して泥だらけになったとか、後で不時着したところの地主に謝りに行ったとか、謝りに行く時の手土産は何がいいとか、パラグライダーは前に行かないので怖いとか、まあそんな話です。アメリカの中でもカリフォルニアはハンググライダーが盛んで、その中でもシリコンバレー近辺は特に盛んです。日本では狭い田圃などに着陸しなければならないのですが、シリコンバレーではどこにでも着陸できそうなのでいいなぁと思っていました。ところが、日本と同じように地主さんにビールを持って挨拶に行くし、牧場に着陸するのは牛にぶつかりそうで怖いそうです。シリコンバレーは天候と風が安定して吹いているのと、近くの裏山で飛べるのがいい点です。日本だと高速道路を2時間以上走って行っても風が悪くて飛べないことも多いので忍耐が必要です。
2009.1.30 Meyer or Meier ?
ドイツ系アメリカ人のFred Obermeier博士と夕食をご一緒したときに、”何とかMeyer”という苗字について聞いてみました。驚いたことにMeyerという綴りはアメリカ風で、ドイツではMeierと綴るのが一般的だそうです。Hugo
Meyerなどのレンズメーカーはアメリカ市場を意識して綴りを変えているのかもしれません。日本光学のことをNikonと呼ぶのと同じようなものでしょう。発音はやはりマイヤーですね。ちなみに、Obermeier博士は英独仏の三か国語が話せるそうです。日本語はあいさつ程度。
苗字の話ではあまり盛り上がらなかったのですが、ハンググライダーの話で大いに盛り上がったのでした。オバーマイヤー氏は長年ハンググライダーを趣味にしておられますが、最近一年半ほどは飛ぶ機会も話す機会もなかったそうで、次から次に話が出てきます。
2009.1.29 ディスクスワップ?
数日前から私が使っているWindows VistaのPCが変です。時々(多分一時間に一回ほど)ディスクアクセスランプが点きっぱなしになって、30秒間ほど何もできなくなります。この間、マウスもキーボードも受け付けられません。最初ディスクスワップが起こったのかと思い、リブートしたのですが、改善されません。Windowsタスクマネージャでチェックしようにもビジーで立ち上がらず、原因が分かりません。それが過ぎると何事もなく復帰します。
数日前に行ったことと言えばただひとつ、GoToMeetingのインストールです。GoToMeetingはデスクトップ共有などを行うソフトで、遠隔地からプレゼンをしてもらったのでした。以前使っていたWebExに比べてインストールが簡単で、確実につながるし、値段が安いので好評のようです。使ってみたところ、なかなか良いようでした。GoToMeetingの問題点を調べたのですが、全く検索にかからないので良く分かりません。GoToMeetingはWeb
Browserのプラグインですが、いくつかのdaemonが常駐しているようですので、とりあえずGoToMeetingをアンインストールしてみました。すると一応問題は消えました。良く分かりませんが、私のパソコンとGoToMeetingは相性が悪かったようです。
2009.1.28 ebayにDMC G1用と書かれたCマウントレンズが登場
Dallmeyer Speed 1.5/25mm, Taylor Honson Cooke Kinic 1.5/25mm, Cooke Ivotal
1.4/50mmなどがPanasonic DMC G1用、あるいはG1でも使えるレンズとしてebayに出だしました。マウントアダプタの販売が始まったせいですね。前者2個はマウントアダプタなし、最後のはマウントアダプタ付き。ちょっと高いと思いますが、これからさらに値上がりしそうですね。ただ、付属のアダプタで無限遠が出ると明記してあるものは、確実性を求める初心者の方には良いかもしれません。CマウントのレンズをG1用だと言ったり、35mm換算で1.4/100mmの超高速レンズだと宣伝するのは疑問ですが、まあ大方の予想通りですね。
私はしばらく様子見です。アダプタを買えば改造なしで使えるのであれば、私の出番はなさそうです。自分で大胆な改造をしなければ決して使えないレンズの方を担当させて頂きたいと思います。(Cマウントレンズに出遅れた負け惜しみでもあります) その前にDマウントのカメラを何とかしなければいけません。
2009.1.27 レンズのシリーズ名 (4)
寺崎さんの"R.KONISHI ROKUOH-SYA"を見ていたら、スチグマチックを忘れているのに気づきました。それにロスのホモセントリックも。
ダルメヤー スチグマチック鏡玉
Dallmeyer Portrait Stigmatic Lens SeriesTF4
Dallmeyer Stigmatic Lens Series IIF6
Dallmeyer Stigmatic Lens Series III F7.5
スチグマチックSeries I F4を以前から探しており、一度12inchを見つけて頂いたのですが、12inchといえば300mm相当ですので長すぎて見送りました。一番短いのが6inchですので、これなら何とかなりそうなののですが。
ロス ホモセントリック鏡玉
Ross Homocentric Lens Series B F5.6
Ross Homocentric Lens Series C F6.3 手提暗箱用
Ross Homocentric Lens Series D F8 風景 集合用
ここでもシリーズ番号が若いほど明るいという慣習が守られているようです。
2009.1.26 レンズのシリーズ名 (3)
シリーズ名調査の続きです。寺崎さんの"R.KONISHI ROKUOH-SYA"を参照させて頂きました。古典鏡玉の情報の宝庫です。
ヲーレンサック社ヴエロスチグマット
Verostigmat Series II F:4.5
Verostigmat Series IV F:6.3
シュタインハイル社アンチプラネット
Series II Antiplanetic Lens F6.5 1879~
Series IIa Rapid Antiplanetic Lens F6.5
Series III Aplanatic Lens F8
Series IV Aplanatic Landscape Lens F15
Series V Wide Angle Aplanatic Lens F20
アプラナットが1866年(慶応2年)、アンチプラネットが1879年(明治12年)ですから、相当昔からかSeriesという呼び名は使われていたようです。シリーズの数字が少ない方が明るく、数字が多い方が暗くて広角であるという慣習が昔からあったようです。
2009.1.25 欲しいレンズ26 ウルトラスチグマット(2)
レンズのシリーズ名調査をしていたら、以前欲しいと書いたものの、その後さっぱり情報がなかったUltrastigmat F:1.9をGundlachの1910/20年代のカタログの22ページで見つけてしまいました。焦点距離は25mmと40mmと50mm。Kingslakeの本に出ていたので探していた肝心の75mmは記載されていません。はたしてUltrastigmat
1.9/75mmは存在するのか、しないのか。謎は深まるばかりです。
2009.1.24 レンズのシリーズ名 (2)
他にもSeriesを使っているメーカーがあります。Seriesが好きなのはCookeだけかと思っていたのですが、昔は各社Seriesだらけですね。認識を改めます。たとえば、
ALDIS社1932年の広告
- Series O. F/3 (Portrait Anastigmat) これはオーだかゼロだか分かりませんが興味をひかれます。
- Series I. F/4.5 (For High Speed and Reflex Work)
- Series IIa. F/6.3 (General All Round Work)
Dallmeyer 1930'sのカタログ
- DALLON Series XXIV f/3.5
- DALLON Series VI f/5.6
- DALLON Series XVIII f/6.5
- DALLON Series XVI f/7.7
- DALLMAC Series XXII f/3.5
- PENTAC Series XIX f/2.9
- PERFAC Series V f/6.3
- PATENT PORTRAIT Series B f/3
- PATENT PORTRAIT Series D f/6
- WIDE ANGLE Series XXIII f/11
シリーズ24とはやたらと大きな数字です。それにBとかDとか数字以外のものもあります。イギリスの会社は特にSeriesが好きみたいですね。
2009.1.23 レンズのシリーズ名 (1)
TAYLOR, TAYLOR & HOBSON社のレンズにはSeries OとかSeries XとかSpeed
Panchro Series II とか、”シリーズ”番号が付いていますが、他のメーカーでも結構シリーズ番号が使われているようです。kinoplasmatさんのoldlens.comの”オールドレンズの広告”と"Camera Eccentric"のカタログやRudolf KingslakeのA History of the Photographic LensやR.KONISHI ROKUOH-SHAなどを見ながら、ちょっとメモってみました。面白いのはシリーズ名がレンズの種類あるいは構造を表わす場合(たとえばSeries
O == OPIC)と、ある種類の中での明るさの違いあるいはバージョンを表す場合(たとえばAVIAR
Series II)があることです。(私が持っているもの、あるいは以前持っていたものには*印)
ZEISS ANASTIGMAT(後にPROTAR, Planar, Unar, Tessarと呼ばれるもの)
-* Series I f/4.5
-* Series Ia (Planar f/3.6-f/6)
-* Series Ib (Unar f/4.5-f/5.6)
-* Series Ic (Tessar f/4.5)
- Series II f/6.3
- Series IIa f/8
-* Series IIb (Tessar f/6.3)
- Series III f/7.2
- Series IIIa f/9
- Series IV f/12.5
-* Series V f/18
- Series VI f/14.5
-* Series VII f/12.5 (Protarlinse)
単純に明るさシリーズ名が付けられています。同じシリーズの中で、"a"とか"b"とか"c"とかでレンズ構成やバージョンを区別しているのが面白いですね。
GOERZ Double Anastigmat (後にセロールやダゴールと呼ばれるもの)
-* Series Ib f/4.5 - f/5/5 (Celor)
- Series Ic f/6.3
-* Series Id f/6.8 (Dagor)
- Series IIa f/5.5
-* Series III f/7.7 (Dagor)
- Series IV f/11
GOERZもZEISSと全く同様です。意図的に呼び名を合わせていたようです。
TAYLOR, TAYLOR & HOBSON Cooke Lens
-* Series IIA f/3.5 (Pressic)
-* Series V f/8 - f/16 (Process)
- Series VI f/5.6 (Portronic)
- Series VIIB f/6.5 (Wide Angle)
- Series VIII f/3.5 - f/5.6 (Telephoto)
- Series IX, f/16 (Apochromatic)
-* Series X, Code-SPEEDIC f/2.5
-* Series O, Code-OPIC f/2
- AVIAR, Series II, Code-AVIAR f/4.5
- AVIAR, Series IIIB, Code-AVIARIC, f/6 - f/6.3
- COOKE PORTRAIT, Series IIa f/3.5
- COOKE PORTRAIT, Series IIb f/4.5
- COOKE PORTRAIT, Series VI f/5.6
- COOKE SPEED PANCHRO SER.II f/1.8? - f/2
整然とシリーズ番号が付けられていると思っていたCookeですが、色々な要素が入り乱れていますね。それに、私が持っているレンズはSeries
11Aではなくて、IIAだったようです。何といってもSeries O(オー)というのが特に変ですね。OpicなのでO(オー)なのだと思いますが、数字以外というのは変わっています。もしかしたらゼロという意味もあるかもしれませんね。たぶんSeries
Iだったと思われる初期のトリプレットで写真レンズの革命を起こしたと自負するクックが、f/2を達成した革新的なレンズにSeries
ゼロという名前を冠したと想像することもできます。そうだとすると、その予想はずいぶん後になって見事に的中し、戦後日本の一眼レフの大口径標準レンズは全てSeries
Oの系列に属するものとなったのでした。
2009.1.22 ROSS XPRES 1.9/75mm (4)
ROSS XPRES 1.9の情報は極めて少ないのですが、kinoplasmatさんのoldlens.comの”オールドレンズの広告”にしっかり出ているではありませんか。1930年(昭和5年)The
British Journal Photographc ALMANACという雑誌に新製品として記事が掲載されています。この広告は大変貴重な資料です。kinoplasmatさんに感謝。3インチのレンズは何と2+5/8
x 1+3/4インチフィルム用だと書いてあります。これは65mmフィルムのことですね。これは驚きました。3インチレンズが35mm映画フィルム用で、4インチレンズが65mm映画フィルム用だと人に言っていたのですが、訂正しなければならないようです。失礼致しました。
2009.1.21 ROSS XPRES 1.9/75mm (3)
日曜日に中将姫光学さんと一緒に江ノ島の寒中神輿を見に行ったときXPRES 1.9/75mmを初めて本格的に使ってみました。薄曇りで時々薄日が差すような良い条件のせいか、開放から画面中心部はすばらしくシャープでした。明るい曇り空が画面に入ってもコントラストがひどく落ちることもなく安定した描写を見せてくれました。ピントの合う確率も高く、気に入りました。周辺の甘さも良い感じで、シネレンズらしいシネレンズだと思いました。
中将姫光学さんにXPRES 1.9/50mmを持ってきてもらって比べてみました。刻印部分は良く似ていますが、大きさが全然違います。焦点距離は1.5倍なのに、体積は4倍くらいある感じでした。2個並べて写真を撮るのを忘れていました。次回撮りたいと思います。
2009.1.20 ROSS XPRES 1.9/75mm (2)
EOS 5Dでちょっと試写したところ、予想通りDallmeyer Super-Sixに良く似た写りでした。35mm映画用(ハーフサイズやAPS-Cと同じフィルムサイズ)用のようですので、35mmフルサイズでは絞り開放では画面中央はシャープでも周辺はソフトです。好みの描写で大いに満足したのですが、一点だけ小さな欠点があります。後玉が金属枠よりも後ろに飛び出しているため、レンズを平らな所に上向きに置くとレンズが先に接触し、起き上がりこぼしのようになるのです。不注意に置いてしまうと傷がつきます。まあ、実際はEOSマウントに改造してしまえば何ら問題ないのですが、改造時には注意が必要です。
2009.1.19 ROSS XPRES 1.9/75mm
ROSS. LONDON. PATENT 75M/M (3IN) XPRES F.1.9 No 132046
XPRES 75mm ( 3 inch ) F1.9が到着しました。光学系は傷もなく、きれいでした。絞り輪だけが擦れているので、たぶん大切に使われていたのだと思います。
多分1936年頃(昭和11年)ころに製造されたものと思われます。4群6枚の典型的なダブルガウス。くるくると手でスムーズに分解できます。スクリューは44mm。下の段は後で作られた44mm
-> 39mm変換リングと39mmのリアキャップです。
アルミの44mmのメスに、真鍮の39mmのオスをビスで繋いでいます。なかなかきれいな加工です。
しかし、残念ながらこの金具は一眼レフ用には使えませんのでお蔵入りとなります。44mm-39mmアダプタは将来別のレンズに使える可能性は高いと思います。
横から見ると、絞り輪がすれているのが分かります。無駄穴が開いていますので、たぶん映画撮影時に使いやすいように大きな絞り輪が接続されていたのではないかと思います。
バックフォーカスは60mmほどしかありませんので、ブロニカのヘリコイドの中に押し込みました。スーパーシックスと全く同じ方法です。ちょうど絞り輪がブロニカのスクリューのところに来ますので、絞り輪にブロニカのチューブを接続するしかありません。ヘクトール73mmで使った方法です。ブロニカのチューブの内側をヤスリで削って、金槌で叩き込むという、いつもの手法です。
レンズ最後部からEOSのフランジ面まで、約16mm。太さは、ブロニカのヘリコイドにちょうど入る程度。
前玉はXPRESもSUPER-SIXも全く同じ直径40mm。
後玉も同じで約34mm。
長さはXPRESSの方がSUPER-SIXより少し短いです。
見た目は悪いですが、ブロニカのヘリコイドは大変スムーズで使いやすいです。
EOSに取り付けたところ。
合うフードがなかったので、ブロニカのチューブで代用。フードとレンズが直接つながっていないため、万が一落下した場合でもフードの損傷だけで済むという大きな利点があり、見た目が悪いという欠点を補っています。
XPRES F1.9だか何だかさっぱり分からなくなりましたが、とりあえず試写可能となりました。改造時間約1時間。
2009.1.18 馬場明氏から届いた本 (6)
『さつまいものアミラーゼの結晶化に成功し生化学研究の前線に立つ』 明
『心晴れて仰ぐ伊吹の山なみは光まばゆく輝り映ゆるなり』 光
この本を読んではじめて知ったのですが、馬場明氏は滋賀県立短期大学において戦後30年にわたり、さつまいものアミラーゼの結晶化の研究に心血を注がれました。奥様の光(みつ)さんは、その研究を支えられました。この歌は結晶化に成功した時の晴れやかな気持ちを詠まれたものだと思います。
2009.1.17 馬場明氏から届いた本 (5)
------------- 私達夫婦の戦争と平和(馬場明著)より引用 ---------------
戦場が一瞬静まり返ったとき、我が輜重小隊は大隊長から英霊の収容を命じられた。その中に文字通り皇軍勇士の姿を拝むこととなった。この勇士の銃先には真新しい日の丸が付けられ、持ち主の血潮に染められているのを見て、これを見つけた部下と共に黙祷を捧げた。この戦場で二時間に七十三名の戦死者を確認して大隊長に報告した。
一方、トーチカの中の中国兵は全員戦死。その遺体は鉄の鎖でトーチカにつながれていた。とある兵から聞いた。
---------------------- 引用はここまで ----------------------------
輜重(しちょう)とは、陸軍で前線に輸送・補給すべき軍需品のこと。この時期の歴史書を見ていて感じるは中国国内の混乱と、近代国家になるための苦悩です。特に支配者層と貧困層との隔たりが大きく、支配者層は貧困層の生命を守る気などなかったようなのです。軍隊においても指揮官は先に逃げてしまいますので、後に残った人は大変なことになります。誰のためにか分からずに鎖につながれて戦った中国兵にも黙祷を捧げずにはいられません。
2009.1.16 馬場明氏から届いた本 (4)
------------- 私達夫婦の戦争と平和(馬場明著)より引用 ---------------
『聖戦に敗れる兆しあることを苦しむ兵は我のみにあらず』
私は戦場ではじめて兵士の戦死を目にしたとき、ああこれが戦争かと、あらためて戦死者に手を合わす気持ちになった。中国人は日本人によく似ているので区別困難な場合が多く、敵の感じを受けたことは殆どなかった。敵と味方の戦死者の数を比較して喜びや悲しみを感じたのは、新聞記事の上のことであった。
---------------------- 引用はここまで ----------------------------
通信手段と物資輸送手段が限られていた当時、日本から遠く離れた地域での戦闘が困難を極めたことは想像できます。それに加えて、敵味方の区別や、戦闘員・非戦闘員の区別が困難となれば、なおさら難しい戦いだったようです。戦地に赴いたインテリ将校たちの複雑な思いが見えます。
2009.1.15 馬場明氏から届いた本 (3)
------------- 私達夫婦の戦争と平和(馬場明著)より引用 ---------------
『馬場少尉と中国少年は共に釣り竿かつぎつつ十三軍司令官に敬礼す』
ある日十六歳の中国少年が、兵士とまちがわれて「監視隊」に連行された。好少年であったので早く中国側に返したいと考えていたが、好天の日曜日に二人で魚釣りをしようと思い、その準備をと促した。少年は喜んで応じたので、長江岸に行くことになった。釣竿をかついで歩く二人の姿はマンガのようであったが、私の本心は祖国に待つフィアンセとの間の我が子を夢見ての行動であった。長江の波止場に向かっているとき、第十三軍の司令官、下村中将の黒光りする乗用車に出会った。思わず立ち止まって敬礼すると、少年も私に従って元気よく立ち振るまい、あとから笑みを浮かべて私を見つめた。
---------------------- 引用はここまで ----------------------------
馬場明氏は捕虜監視隊長を兼務しておられました。もちろん戦場ですので筆舌に尽くしがたい悲惨なことが多かったのですが、たまにはこのような息抜きもあったそうです。
2009.1.14 馬場明氏から届いた本 (2)
------------- 私達夫婦の戦争と平和(馬場明著)より引用 ---------------
『E=mc2の意味解するは軍艦大和を解するより重し』
E・・・エネルギー、m・・・質量、c・・・光速
ウラニウム235に中性子を照射すると、物凄く大量のエネルギーを発生する。原爆の威力を知ってポツダム宣言を受けていれば、広島・長崎の惨禍は防げたかも知れない。
---------------------- 引用はここまで ----------------------------
昭和16年頃の安慶には日本人の経営する書店があり、物理、化学、数学、医学などの本が買えたそうです。科学者である明氏は戦場においても原子爆弾の情報をこれらの本から得ていました。日本軍や政府でも一部の人は知っていたようです。
2009.1.13 馬場明氏から届いた本 (1)
叔父の馬場明氏から一冊の本が届きました。ご自身が執筆された”私達夫婦の戦争と平和”という本です。馬場明氏は大正六年(1917)生まれの90歳。今でもお元気です。盛岡高等農林卒業後、千葉にあった農林省畜産試験場に勤務。昭和14年兵役。昭和15年、中国の安慶に少尉として着任。昭和17年中尉。昭和18年召集解除。農林省畜産試験場に復帰。戦後滋賀県立短期大学教授。農学博士。中国の安慶での戦争のことは今でもはっきり覚えておられるそうです。安慶は南京から長江を250kmほど遡ったところにあります。この本は明氏と奥様の光(みつ)さんの詠まれた短歌を中心に、生い立ちから最近のことまでが書いてあります。戦争中の面白いエピソードが出ていますので、ちょっと引用させて頂きます。
------------- 私達夫婦の戦争と平和(馬場明著)より引用 ---------------
『「捕虜」たちとテニスに興ず兵達に西欧の遊び止めよと師団長の命ありき』
”中国人は球技が好きで、種目にかかわらず強い。同じ隊に所属する森準尉は近くにあったテニス場を自主的に管理し、「捕虜」達と熱心に練習して立派に試合ができるようになった。私もときどき参加して楽しんだ。海軍の守備隊は長江岸でバレーボールを行っているのを見ているので、テニスもそのまま続けた。”
---------------------- 引用はここまで ----------------------------
確かに、中国人は球技が好きです。前の会社は中国系アメリカ人が多かったのですが、アメリカ本社には卓球台が置いてあって、気分転換に卓球をしていました。入社の挨拶に行った時、私もちょっと交ぜてもらったのですが、中学校時代卓球部だったおかげで連戦連勝。卓球の強い日本人が入社したという噂があっという間に社内に広がり、社内で顔を覚えてもらうという出張の目的は初日にして早くも達成されたのでした。
中国語の教科書にもやたらとたくさん球技に関する文例が登場します。野球、テニス、バスケットボール、ゴルフ。野球(bangqiu)とテニス(wangqiu)は発音が良く似ていてまだ区別がつきません。
2009.1.12 欲しいレンズ37 ROSS XPRES 75mm f/1.9 (調査2)
Newman & Sinclairの35mm映画カメラについていたようですので、それを手がかりに探すと、1.5インチのレンズが2本ヒットしました。しかし、調査はここで行き詰まりました。
Invaluableのオークション(2004年):
Newman & Sinclair Auto Kine first model, 35mm
Ross Xpres f/1.9 1.5inch lens
1928年製造。1.5インチですから標準レンズですね。
Invaluableのオークション(2007年):
Newman & Sinclair 35mm Slow Motion extremely rare high-speed
version of the classic Newman & Sinclair 35mm Auto Kine Camera
Ross Xpres 1.9/1.5 inch no.142544
1930年製造と書いてありますが、私の推測では1940年頃ではないかと思います。シリアルナンバーが年代順に付けられたのか不明ですので、確かではありません。RossがZeissの特許を使って生産したレンズの製造番号が,
全く違う系列であることは間違いありません。1893年頃で、Rossの普通のレンズは5万番台、Zeiss特許のレンズは千番台です。多分。
2009.1.11 欲しいレンズ37 ROSS XPRES 75mm f/1.9 (調査)
ROSS XPRES 75mm f/1.9は後数日で到着する予定ですが、その前にこのレンズについてちょっと調べてみました。Googleで"ross
xpres 1.9"というキーワードで検索してみると、次のような記事がヒットします。私の買ったレンズの製造番号は132046です。
CRISTIE'Sのオークション (1993?年): NEWMAN-SINCLAIR, London の35mm映画用カメラと一緒にオークションに出たもの。
- Ross London Xpres 3 inch f/1.9 lens no. 193909。
製造番号は私が買ったのよりはだいぶ大きいですね。セットで売りに出ていたレンズは、
- Cooke Speed Panchro 50mm. f/2
- Cooke Speed Panchro 1 inch f/2
- Ross Xpres 4 inch f/3.5
- Ross 6 inch f/3.5, Ross 9 inch f/5.5
イギリスのカメラなのでイギリスのレンズを使っていたようです。焦点距離が短い方はTTH
Cookeで長い方はRossという組み合わせです。
Artfactのオークション (1999年): Cini Kodak Special 16mm映画用カメラと一緒にオークションに出たもの。
- Ross Xpres f/1.9 3inch lens no. 120552。
製造番号は少し小さいですね。セットで売りに出ていたレンズは、
- Cine-Kodak f/4.5 3 inch
- Kodak Anastigmat f/1.9 25mm
- Kodak Anastigmat f/2.7 15mm
- Bell & Howell Eymax Telephoto type V f/4.5 6inch
全部アメリカのレンズにしたかったが、Cine Kodak 3 inchが暗かったので、明るいXpresを追加しました、というところでしょうか。
Invaluableのオークション(2002年):
Ensign Multex model O, Houghton-Butcher Mfg. Co. Ltd., London; 127-rollfilmについていたらしいです。このカメラ用には次のようなレンズがあったようです。このカメラには50mmのMultarがついていますが、127フィルムだと広角ですね。Xpres f/1.9の焦点距離の記載はありません。
- Ensign Multar Anastigmat f/3.5 50mm
- Ross Xpres f/2.9 53mm
- Ross Xpres f/1.9
- Zeiss Tessar f/2.8
- Zeiss Sonnar f/2
1936年から1938年まで製造。エンサインというのは英国海軍旗という意味だそうです。
35mm映画にも16mm映画にも127フィルムのカメラにも使われたようですが、めずらしいのか、めずらしくないのか、やっぱりよく分かりません。
2009.1.10 欲しいレンズ37 ROSS XPRES 75mm f/1.9 (発注)
ずいぶん悩んだ末に結局注文しました。中将姫光学さんのXPRES 2in f/1.9への対抗上どうしても欲しかったのです。きっとなかなか売りにでないだろうなぁと思っていたのですが、半年もしないうちに出てしまったのです。微妙な値段です。他に同じレンズが売られているのを見たことがないので相場が分かりません。もう二度と売りに出ないかもしれないし、すぐにもっと安いのが売りに出るかもしれないし。きれいな個体のような気もするし、そうでもないような気もするし。kinoplasmatさんのサイトoldlens.comにある1930年の広告にも1932年の広告にも登場します。シリアルナンバーから推測すると、製造年は多分1935年あたりだと思うのですが、それで良いのか悪いのか。多分スーパーシックスと近いレンズだと思うのですが、はたしてどうなのか。本当に悩みます。まあ、買う前に既に十分楽しんだということにしておきます。
2009.1.9 岩木登氏の写真展
1月6日に”岩木登写真展「原生の鼓動」〜2009キヤノンカレンダー作品〜キヤノンギャラリー銀座”のオープニングパーティーにおじゃましました。キヤノンの最新鋭のプリンタで大きく引き伸ばされた写真が大迫力で、八甲田山の大自然が満喫できます。キヤノンギャラリー銀座で1月14日まで開催されていますので、銀座に行かれた時には寄ってみて下さい。
写真展の会場には著名な写真家の方も来ておられましたので、楽しくお話させて頂くことができました。
○ 海野和男氏 銀座ニコンサロンにて写真展「蝶の道」を開催しておられます。海野氏はクラシックレンズにも非常に詳しいです。今回初めてお会いしたのですが、何とパノラマ合成もされるそうです。
○ 伊藤計一氏 新宿三井ビルのエプソンイメージングギャラリー エプサイト ギャラリー2にて”伊藤計一写真展 「刻の彩」 -記憶の語り手達-”を1月22日まで開催しておられます。新宿にお越しの際には寄ってみてください。
○ 新藤修一氏 ”新藤修一の仕事場”は非常に参考になります。私の日誌の手本となったサイトです。人気の高いサイトで、新藤氏にメールを送って”新藤修一の仕事場”に掲載されると、私のサイトのアクセス数がその時だけ10倍以上に増えます。月例作品展を毎月テーマを変えてWeb上で開催しておられますので、物撮りに自信のある方は投稿してみてください。
2009.1.8 IgnacioFerrando氏作品
スペインのIgnacioFerrando氏作品をもう一度よく見てみました。この撮影条件において、このQTVRの元となるすべての写真のノーダルポイントを完全に合わせることは難しいので、合成時にうまくごまかせるように撮影しなくてはなりません。合成時に最もごまかしやすいところは”真っ黒”なところです。”真白”な所でもよさそうなのですが、人間の眼は白い所のごまかしに敏感なようでして、”真っ黒”よりはごまかしにくいようです。このQTVRで真っ黒なところは一箇所。ヘリコプターの内部です。ここに問題点を集中させてしまえば良いわけです。幸いこの“真っ黒”なところから撮影することができますし(というか、他の位置からは撮影できない)、後で別撮りも簡単ですので、合理的な手法です。
もしかすると、ヘリコプター全体が別撮りかもしれません。いずれにしても、撮影の段取りもレタッチも非常にうまいなぁと感心しました。
2009.1.7 Jook Leung
最近はWorld Wide Panorama用にしかパノラマ作品を作らなくなってしまいましたが、最新のWorld Wide Panoramaのイベント"Best of 2008"を見ていたら、次の2作品が目にとまりました。
ひとつは、スペインのIgnacioFerrando氏作品。難しい構図ですが、完璧に合成されていてつなぎ目が分かりません。感心しました。最近ヨーロッパでパノラマからの参加者が多いようです。フランス、ドイツ、イギリスなどでパノラマが流行っているのかもしれません。ちなみに、"OPEN
FULLSCREEN"を押すと、全画面で表示できます。シフトキーで拡大、コントロールキーで縮小。
もうひとつは、ニューヨークのJook Leung氏の作品。Jook Leung氏のサイトはhttp://360vr.com/。私が2004年にパノラマを始めた時、最初に目標としたのがpanoramas.dkに出ていたNew Year 2004という作品。Jook氏はその後も多くの楽しい作品を発表しています。
2009.1.6 丈夫
日本語で夫、英語でhusbandのことを中国語では「丈夫」と言い、妻(wife)のことを「妻子」というようです。「愛人」には夫という意味と妻という意味が両方あるようです。「妻子」には日本語と同じ意味、つまり妻と子という意味もあるようです。但し、発音がちょっと違うようです。中国語は面白いのですが、このようなウンチクを傾けると、中国語に興味のない人には迷惑がかかりますので、やめましょう。
2009.1.5 The Diary of John Rabe 南京の真実
ドイツ人であるジョン・ラーベ氏は、南京において多くの中国人を日本軍の大量虐殺から救おうと奮闘した人で、多くのユダヤ人をナチスのホロコーストから救った人物として有名なシンドラーに匹敵するとして、「中国のシンドラー」と呼ばれることがあるそうです。”The
Diary of John Rabe 南京の真実”(ジョン・ラーベ著、エルヴィン・ヴィッケルト編、講談社)は、1937年9月21日から翌年2月28日までのジョン・ラーベ氏の日誌から抜粋・編集した本です。残念ながら、私にはこの本が真実なのかどうかは分かりませんが、少なくとも当時の国際情勢が手に取るように分かります。この時期、ヒトラーはまだ「平和の使者」だと思われていたようです。それまでヒトラーは蒋介石に軍事顧問を派遣して国民政府軍を支援していたのに、急に日独防共協定を結んでしまいます。この辺の歴史は非常に分かりにくいのですが、ラーベ氏の日誌を読むと良く分かります。ややこしいことは抜きにしても、大変面白い読み物でした。
2009.1.4 写真工業 昭和33年3月号 (3)
昭和33年当時は”写真工業”という雑誌名が適切だったと思える記事を拾ってみました。
● ”写真業界よもやまばなし”において森山欣司氏(写真機検査協会理事長)の発言:
(写真工業の発展に対して)政府は相当にやっていますよ。この程度の業界としてはね。カメラ業界は全体で旭硝子一社にも及ばないのですよ。その程度の業界としては、政府は力を入れていますよ。
● 放射能自動記録カメラ。(写真の説明)東海村の松原の中にある第一放射線観測所(モニタリング・ステイション)この中で本カメラが年中撮影を続けている。
● 単一金属膜フォーカルプレーンシャッター。(北林次郎氏)シャッターの布幕をそのまま一枚の金属膜で置き換えたものの研究。
● シネカメラの駒数計(河野一郎氏:城南電機株式会社) ゼンマイ仕掛けのシネカメラのコマ送り速度をオシロスコープ上に表示して計測する装置。
● アサヒペンタックスでスライドを作る方法: 白黒のネガを、もう一度白黒のネガで等倍で接写・反転してスライドを作ります。透過光での等倍接写ですので、なかなか難しそうです。そのために一眼レフが買った方からの質問に答える形式の記事です。既に”さくらリバーサルフィルム”もあったようで、これを使う方法も紹介されています。リバーサルフィルムを使った方が、うんと簡単なのですが、どうしても全部自分で現像してスライドを作りたかったようです。だいたい、リバーサルフィルムを使えば、安いカメラで良いわけですから、高価な一眼レフを買う必要はありません。今から思うと本末転倒ですが、当時は真剣な記事だったようです。
● 今月の特許から: レンズ交換式カメラに於ける絞りとシャッタータイムとの連動装置(日本光学株式会社)
● 今月の特許から: 高写力広角レンズ(キヤノンカメラ株式会社) これは1956年に出たキヤノン28mmF2.8と良く似た構成ですが、F2.0まで大口径化するために第2群を貼り合わせにしました、という感じの特許です。(世界のライカレンズ
Part 1 122ページの広瀬孝氏の記事参照) レンズの設計データが掲載されています。このレンズデザインで実際販売されたのかは分かりません。
2009.1.3 単身漢
正月に一気に”耳から入る中国語2”を終わらせようと目論んだのですが、まだ半分の少し手前です。”単身漢”という単語が出てきて、”漢”の意味が分からず、入門用の中日辞書を調べたのですが、漢王朝、漢民族としか書いておらず、意味不明です。考えること数分、そうです、日本語の熱血漢や痴漢の”漢”と同じでだったのです。単に人という意味でした。これは”独身者”と訳すのが良いようです。中国語と日本語はかなり近いなぁと思いました。先日、日本語を勉強している米国人の友人から聞いたのですが、彼が大学時代に中国語を勉強した時には、あまりにも漢字が難しくて断念。日本語すなわち漢字がだいぶ分かるようになって来たので、今なら中国語も分かるんじゃないかなぁと。英語圏の人から見ると、同じ漢字を使う中国語と日本語は言語的に近く見えるようです。
ちなみに、”痴漢”をexciteのデイリーコンサイス日中辞典で調べると、色情狂、色鬼と出てきます。
2009.1.2 ミランダスクリューからCマウントへのアダプタ
2006年3月27日の日誌にミランダスクリューからCマウントへのアダプタが登場しましたが、3年近くお蔵入りしていました。Cマウントのカメラがなかったためです。ところが、先日C-Dマウントアダプタを作成しましたので、ちょっと可能性が出てきたわけです。
なかなか物は良いので、何とかして使えないかなぁと思うのですが、今のところまだ使えません。
ミランダのフランジバックは41.5mmでCマウントは17.53mmですから、41.5mm - 17.53mm = 23.97mmの厚みです。ミランダスクリューマウントは44mmとも言われまして、古いレンズでは時々見るスクリューです。たとえば、昭和2年頃のViogtlander Bergheilに付いていたHeliar 1:4,5 F=15cmなどのフランジがこのスクリューです。今のところ、適当なミランダスクリューマウントのレンズは持っていないので、どういうのがあるのか調べてみたところ、ミランダ研究会にミランダの全レンズが出ていました。ミランダの全貌が良く分かる良いサイトです。どうやら、ミランダスクリューマウントで入手できそうなのは、ZUNOWかOFNARかSOLIGOR(フジタ)のいずれも1.9/50mmのようです。私はZUNOWだけ見たことがあります。どのレンズもズミクロンタイプの7枚玉で、良く写りそうです。
ということで、手軽に買えるミランダスクリューマウントのレンズはなさそうです。今日のところはミランダの調査をしただけでした。
2009.1.1 あけましておめでとうございます
2009年、あけましておめでとうございます。本年もよろしくお願いいたします。
今年も何とか日誌を続けて行きたいと思います。最近読書感想文みたいなのが多いですが、今年はいったいどちらの方向に行くのやら。まあ、風まかせで行くしかないですね。ご意見ご感想などありましたら、気軽に掲示板に書き込んでください。