EOS10D日記その35 ---ksmt.com---10D日誌---ご意見、ご感想などこちらまで---掲示板---email: ---


2009.9.36 Jw_cadでレンズの断面図を描く (9) 半径

「寸法線」の半径を使って、レンズの曲率半径を追加します。

「寸法」モードで「半径」を指定します。
円弧を右クリックすると、自動的に半径が計算されて数字が入ります。
「傾き」を適当に指定して、寸法線や文字の重なりを防ぎます。


最後に不要な線を「消去」します。
文字が見にくい場合には、「移動」モードで右クリックで文字を選んで、「選択確定」ボタンを押して、移動先を指定します。「文字」モードにして左クリックしても移動できます。

これで、「Jw_cadでレンズの断面図を描く」シリーズは終了です。是非レンズを分解して、計測して、作図してみてください。このあたりまで作図できるようになれば、後はカンで操作できると思います。不明点があっても、Webで検索すれば多分回答が得られると思います。では、がんばってみてください。


2009.9.35 Jw_cadでレンズの断面図を描く (8) 消去

寸法線の不要部分を消しましょう。「消去」ボタンを押します。


1で左クリックで線を選び、2で消す範囲の始点を指定し、3で消す範囲の終点を指定します。
1で右クリックをすると、線が丸ごと消えます。


不要な線を全部消すと、すっきりします。丁寧に一本ずつ寸法線を入れるより、適当に入れて後で消去した方が速そうです。


2009.9.34 Jw_cadでレンズの断面図を描く (7) 寸法線

寸法線を入れる時にも、補助線が役に立ちます。これがあると、あっというまに寸法線が入ります。


寸法線は、レイヤー2に入力しましょう。Aを右クリックします。これで、後で寸法線だけの表示・非表示を切り替えられます。



「寸法」ボタンを押して、寸法線モードにします。
1の点を右クリックして、寸法引き出し線の開始位置を指定します。ちなみに、右クリックは赤字で、左クリックは青字です。
2の点を左クリックして、寸法引き出し線の終点位置を指定します。ここには既存の点が存在しないためです。
3の点を右クリック(左クリックでもよい)して、寸法線の開始位置を指定します。
4以下の点を右クリックして、連続して寸法線を入力します。数字は計測された値が自動的に入ります。


下方向の寸法線入力が終わったら、上方向の寸法線の引き出し位置を指定するために、「リセット」ボタンを押します。


先ほどと同じように上方向の寸法線を入力します。連続して寸法を入れたくない場合には、始点を左クリック、終点を右クリックします。「寸法」モードでは、左クリックでも自動的に近傍の既存点にスナップします。


上方向の寸法線が入力できたら、再び「リセット」を押して左側の寸法線を入れます。
「0°/90°」ボタンを押して、縦横を切り替えます。
矢印の方向は「端部-<」ボタンを押して切り替えます。


同様に右方向の寸法線を入力して、一応終了です。レイヤー0(補助線)を非表示にすれば、レンズと寸法線だけが表示されます。

寸法線に余計な部分がありますので、後で消します。


2009.9.33 Jw_cadでレンズの断面図を描く (6) 円弧

ではいよいよレンズの球面の作図です。まず、レイヤーの設定をします。

先ほどの補助線はレイヤー0に入力しました。後で、補助線を非表示にしたいので、レンズの断面はレイヤー1に入力します。


レイヤー1を右クリックすると、これから入力するデータはすべてレイヤー1に保存されます。
次にレイヤー0を左クリックしてマウスポインタを図面範囲に戻すと、レイヤー0のデータ(補助線のデータ)が非表示になります。
もう一度レイヤー0を左クリックすると、レイヤー0のデータ(補助線のデータ)が薄いグレーで表示されます。この状態で円弧を入力していきます。


「○」のボタンを押して円入力モードに入ります。
画面上のメニューで「円弧」と「3点指示」にチェックを入れます。
右マウスで、1、2、3の順で補助線の交点付近を指定します。いい加減にクリックしても、交点座標に引き込まれます。


レンズの貼り合わせ面は点線で描きたいので、線属性コマンドで「点線2」を選びます。


さっきと同様に円弧を入力しますが、3の点付近には補助線の交点がありません。貼り合わせ面の曲率が計測できないので、しかたありません。こういう場合は、3の点を左クリックします。そうすると、補助線とは無関係に任意の点を指定することができます。


補助線の威力で、あっというまにレンズの曲面の作図が終わったと思います。失敗した時は、Escキーを押すと元に戻ります。


レンズのコバ面を直線で描きます。右クリックを使えば、正確に補助線の交点に座標を入力できます。


補助線を見えなくするには、レイヤー0を非表示にします。別に消えたわけではありませんので、いつでも再表示することができます。
Jw_cadは非常に実績のあるフリーソフトですので、覚えておいて損はないと思います。1993年末に「建築知識」の別冊付録として出たのを買った覚えがありますが、結局ほとんど使う機会がありませんでした。


2009.9.32 Jw_cadでレンズの断面図を描く (5) 補助線

昨日描いた2本の直線を距離を指定して「複線」していきます。「複線」コマンドを左クリックして下さい。

1. 左クリックで既存の線を選びます。選ばれた線は紫色に変わります。
2. 「複線間隔」を数字で指定します。単位はミリ。
3. 縦線の場合、右か左に赤い線が出ます。左クリックで左右どちらかを指定します。
この操作を繰り返します。


同様に横線も「複線」します。小さい方のレンズの直径が40.5mmですので、その半分の20.25を指定して、上下に「複線」します。


お疲れ様でした。これで補助線の入力が終了しました。計測結果の数字をただ打ち込むだけですので、とても単純な作業です。


2009.9.31 Jw_cadでレンズの断面図を描く (4) 画面操作

基本的な画面操作を説明します。ちょっと特殊なので、最初は戸惑いますが、慣れれば簡単です。まず、線を2本引きましょう。

直線入力モードにして、水平垂直にチェックを入れ、寸法に100を指定します。マウスの左クリックで、上の絵のように作図してください。失敗したらEscキーを押せば元に戻ります。

上に移動: ↑
下に移動: ↓
右に移動: →
左に移動: ←
全体表示: Homeキーを押します。私のノートパソコンの場合はFn+←。
拡大: PgUp
縮小: PgDn
範囲を指定して拡大: マウスの左右のボタンを同時に押しながら、マウスを右下方向に移動します。ボタンを離したところまでの範囲を拡大
マウスを使った縮小: マウスの左右のボタンを同時に押しながら、マウスを左上方向に移動します。
前の表示範囲に戻る: マウスの左右のボタンを同時に押しながら、マウスを左下方向に移動します。
全体表示: マウスの左右のボタンを同時に押しながら、マウスを真上方向に移動します。

これだけ覚えれば、画面表示で不自由はしないと思います。左右のマウスボタンを同時に押すのがコツですね。


2009.9.30 Jw_cadでレンズの断面図を描く (3) 起動と設定

Jw_cadはフリーソフトなのでライセンスを設定する必要はありません。スタートメニューからJw_cadを選べば起動します。作者に感謝して使いましょう。

Jw_cadの標準の設定では画面表示関係が初心者向きではないので、次のように設定しましょう。
メニューバーで、”設定”-->”基本設定”、を選ぶ
”一般(2)”タブを選ぶ
”矢印キーで画面移動、PageUp, PageDoenで画面拡大・縮小、Homeで全体表示する。”にチェックをつける。

これで、矢印キーでパン、Fn+矢印キーで拡大縮小という普通の画面操作ができるようになります。


2009.9.29 Jw_cadでレンズの断面図を描く (2) 計測

Jw_cadを使う前に、レンズの断面の計測をします。ノギスで地道に測るしかないようです。

計測結果をノートにメモしておきましょう。これをJw_cadを使って清書していきます。


メニスカスレンズの中心部分の厚みを測りたくて、上のようにノギスを改造したのですが、結局精度が出せずに企画倒れとなりました。レンズ保護のためボール紙を使ったのですが、柔らかすぎて失敗でした。レンズにコツンと当たる感触がないと測れないですね。成功すれば、「(厚み)清一号」と命名しようと思っていたのですが、やめました。木材など、もう少し固い素材をノギスにしっかりネジ止めすれば使えると思います。


2009.9.28 Jw_cadでレンズの断面図を描く (1) インストール

ちょっとコツが分かると、Jw_cadで快適にレンズの断面図を描くことができます。少なくともPowerPointよりはずいぶん効率的です。ただ、すぐに使用方法を忘れてしまいそうですので、メモを残しておきます。

Jw_cad ver. 6.21aのインストールはWindows Vistaの場合、至って簡単でした。http://www.jwcad.net/download.htmjwcad.netをクリックして、ダウンロードしたファイルをダブルクリックすると、インストールが開始されます。

「インストール先を指定してください。」というメッセージが出ますので、指定後OKを押します。標準のC:\jwwでも特に問題ありません。

「Jw_cadをスタートメニューに登録しますか?」と聞いてきますので、「はい」を押してください。

これで、インストールは終了です。

この図をサンプルにして、使用方法を少しずつメモしていきたいと思ったのですが、貼り合わせ面のコバの位置が不明なので、やっぱりやめます。説明しやすいDallmeyer Speed Anastigmat 1.5/3"に変えます。


2009.9.27 Jw_cadちょっと習得

Jw_cadに少し慣れてきました。こつは、右クリックで既存のポイントを拾いながら作図するということのようです。27年前に少しだけ使った機械図面用のCADの知識が役に立ちました。一応、レンズの断面図ならスムーズに描けるようになりましたので、クロスハッチと寸法線を追加した断面図を掲載します。寸法線の矢印の方向がバラバラなのが気になりますが、後日の課題としましょう。


2009.9.26 Kino PlasmatとDallmeyer Speedの構造の違い

Kino PlasmatとDallmeyer Speed Anastigmatが同じ型のレンズだとCox氏のOpticsに書いてあったので、確認したところ実際同じ型だったので非常に驚いたのが一年半くらい前のこと。しかし、なぜDallmeyerがKino Plasmat型のレンズを製造することができたのかは不明です。Kino Plasmatの特許は1922年にドイツとアメリカで取得されたようですが、イギリスで取得されたかどうかは不明です。Dallmeyerがパウル・ルドルフに特許料を支払ったのか、それとも何らかの理由でイギリスで特許が成立しなかったのか、全く不明です。あるいは、構造は似ているが特許に抵触しない別のレンズなのかもしれません。

Dallmeyer Speed Anastigmatの構成はCox氏の本以外どこにも掲載されていません。そのCox氏も1951年のOptics第9版では、Dallmeyer Speed F1.5をDerived from Triplet typeに分類しているのです。その後でKino Plasmat型だと気づいたのだと思います。Vade mecumでもCox氏の説を次のように紹介しています。
Cox says this is not eg. a Septac layout but related to the Kino-Plasmat.
しかし、それ以外の記述は全くなし。


Vade mecumにあるKino Plasmat F1.5の構成図。

幸いにも、うちにMeyer Kino Plasmat f1.5/75mmとDallmeyer Speed Anastigmat f1.5/7.5cmがありますので、分解してレンズエレメントの寸法をノギスで測ってみました。

レンズの実測はなかなか難しいものでして、苦労したわりには精度が出ていません。特にKino Plasmatは金属の枠から取り出せないために、どこまでがレンズで、どこからが金物なのかはっきりしません。Dallmeyer Speedの方は、すべてのレンズが枠からはずせますので、比較的精度が高いです。貼り合せ面の曲率は測定不能ですので、点線で描いておきました。作図にはJW CADを初めて使用しました。実測した数字を使って作図できるので便利です。ただし、操作方法が今風ではないので、たったこれだけの作図に2時間もかかりましたが、慣れれば短時間で作図できると思います。

全体的な構造はよく似ていますが、Dallmeyer Speedの方が第2群と第3群のメニスカスが薄いようです。



Kino Plasmat f1.5/75mmを分解したところ。第1群と第4群の内側がほとんど平面であることが分かります。金属枠からレンズを取り外すことはできません。全群スクリューで止める方式のため、レンズのコバを斜めにカットしてあります。分解と組み立てが簡単で、高級感のあるつくりです。


Dallmeyer Speed Anastigmat 1.5/75mmの方は、全部のレンズを金属枠から取り出すことができます。


後群は単純な筒に第3群と第4群のレンズを入れて一個のスクリューで止める方式です。Kino Plasmatに比べると、かなりコストダウンしているようです。その分、分解と組み立ては少し面倒くさくなります。

今回分解してみて思ったのですが、Dallmeyer Speed Anastigmatのレンズが薄いのは、光学的理由というよりは、金物のコストダウンのためではないかということです。Kino Plasmatの金物はすばらしい分、コストがかかっていると思われます。私は金属加工のことは分からないのですが、Kino Plasmatのようにきれいにレンズをかしめて、スクリューを切るのは難しそうです。昭和初期にコンゴーレンズを制作した山崎光七氏も金物で苦労されたようなので、金属加工あるいは工作機械から見たレンズの歴史書を誰か書いてくれないかなぁ、と思います。

思えば、3群構成でガラス玉の直径が50mmくらいのレンズは江戸時代末期のPetzvalレンズから延々と作られてきました。Petzvalだと300mm F6くらい、TripletやTessarやHeliarだと210mm F4.5とか180mm F3.5くらい。つまり、Dallmeyer Speedのように第3群と第4群をまとめて入れてしまうような金物であれば当時でも容易に入手できたのです。3群の金物と4群の金物の違いはわずかでも、量産効果という面では大きな違いがあったのだと推測します。


2009.9.25 古いレンズの製造番号と製造年

レンズの製造番号から製造年を調べるのは非常に楽しいものです。その年にあった歴史的事件、時代背景、当時の競合製品などに思いを馳せるわけです。幸運なら、レンズの歴史書の誤りを発見することができるかもしれません。ツアイスやシュナイダーなどは立派な年表がありますので調べやすいのですが、ほとんどのメーカーはまともな年表を公表していません。もちろん、年表がなくても他の情報から製造年を推測することはできます。たとえば、そのレンズが付いていたシャッターの製造年やカメラの製造年が分かれば推測が可能です。

とりあえず今覚えている年表をまとめます。メモをしておかないと、すぐ忘れてしまいます。

### List of tables to identify manufactured year of photographic lens from serial number ###

Aldis
Vade mecum (partial)

Angenieux
Vade mecum

Beck
Vade mecum (partial)

SOM Berthiot
Vade mecum

Compur shutter
Vade mecum
http://motamedi.info/serial.htm#compur

Dallmeyer
Vade mecum (before 1900)
http://members.ozemail.com.au/~msafier/photos/dall_ross.html

Goerz
Vade mecum
http://motamedi.info/serial.htm#goerz

Hasselblad camera
Vade mecum

Kinoptic
Vade mecum

Leica
http://www.forloren.dk/lbf/leica_lens_serial.htm

Hugo Mayer
Vade Mecum (after 1930)

Rodenstock
Vade mecum
http://www.usask.ca/lists/alt-photo-process/2003/may03/0280.htm

Ross
Vade mecum
http://www.earlyphotography.co.uk/site/serial3.html#Ross
http://motamedi.info/serial.htm#ross

Russia
Vade mecum

Sanderson
http://www.earlyphotography.co.uk/site/serial3.html#Sanderson

Schneider
Vade mecum
http://www.schneideroptics.com/info/age_of_lenses/

Taylor Hobson
Vade mecum (partial)
http://www.earlyphotography.co.uk/site/serial3.html#TTH
http://motamedi.info/serial.htm#TTH

Wray
Vade mecum (partial)

Voigtlander
http://motamedi.info/serial.htm#voigtlander

Zeiss
http://motamedi.info/serial.htm#zeiss
http://www.davidrichert.com/age_model_.htm


2009.9.24 ノーダルポイントの応用:巨大化

World Wide Panorama 909 "Performing Arts"投稿用に"Harajuku Street Art"(原宿路上芸術)という360°パノラマを制作しました。この中でノーダル・ポイントをわざとずらして、主役を巨大化し強調するという新しい手法を試してみました。文章では分かりずらいので、イラストを使って説明します。

左は身長150cm体重50Kgの普通ゴルファー、右は身長4.5m体重1.3トンの巨大ゴルファーです。普通ゴルファーの場合カメラは胸のあたり、巨大ゴルファーの場合カメラはスネのあたりになります。


縮尺を変えて作図すると、このようになります。すなわち、カメラの高さをわずか1mほど下げると、身長が3倍になったのと同じ効果が得られるはずです。合成時に少し調整する必要がありますが、割と簡単です。身長が3倍になると、パターでも軽く300ヤードは転がるはず。


2009.9.23 Mamiya Press 3.5/100mm再改造

4年ほど前初めて自分で蛇腹に改造したレンズです。当時は手軽にアオれるレンズを探していたのですが、TS-E 90mmは高すぎるし、レンズベイビーは画質が悪かったので、自分でアオレンズを作ることにしました。その後、蛇腹を使わなくなったのでお蔵入りしていました。しかし、同じMamiyaの2.8/100mmをヘリコイド改造したらなかなかよかったので、3.5/100mmの方も改造することにしました。今回はオリジナルのヘリコイドが失われていますので、ブロニカのヘリコイド用に改造しましたが、オリジナルのヘリコイドを使ってEOSマウントに改造することも簡単にできると思います。


マミヤプレスの標準レンズですので、安く入手できると思います。セイコーの0番のボードに入ります。


薄いアルミ板を適当にハサミで切って、内側にセイコー0番の座金、外側にブロニカの57mmスクリューを接着剤で貼り付けます。


落下防止と反射防止のためにフェルトを貼りつけて改造終了。


そのうちに、他の100mmレンズと比較してみたいと思います。


2009.9.22 Angenieux S1 1.8/50mm借用

P. ANGENIEUX PARIS F.50 1:1.8 TYPE S1 No 208xxx

Angenieux S1 1.8/50mmには、Rectaflex, Alpa, Gamma, Leica, Contax, M42などのマウントがあるそうです。M42マウントのは非常にめずらしいのですが、今回運よく借りることができました。

M42-EOSアダプタでEOSに取り付けると、小さいのがよく分かります。


M42のスクリューより少し太いという程度の小ささですので、マウントアダプタがずいぶん大きく見えます。


EOS 5Dの場合、ミラーとの衝突を心配したのですが、無限遠でも全く問題ありませんでした。これがM42マウントの優れたところですね。EOSマウント金具の最後尾から0.2mmほど飛び出していますが、これぐらいだとぎりぎり問題ありません。EXAKTAマウントのレンズの場合には、たいがいミラーと接触するので注意が必要です。


2009.9.21Elmarit 2.8/90mm再改造

Elmarit 2.8/90mmは昔のHektor 1.9/73mmの雰囲気を残した描写で、なかなか味わいがあります。ヘッドだけはずれますので、ライツのViso用のヘリコイドとマウントアダプで一眼レフで使用することもできます。ただし、ヘリコイドやアダプタの方が値段が高くなってしまいそうです。このレンズは自分で簡単にEOSに改造できますので、ご紹介します。自分でやればほとんど無料です。


準備するもの:
- Elmarit 2.8/90mm(できるだけ安い中古品が良い)
- Canon EOSマウントのジャンクのレンズ(500円程度)
- 接着剤少々
- 金鋸
- 半丸ヤスリ金属用
- 金槌
- ブラシ(古い歯ブラシでも可)

1. 切断

この辺で切断します。非常に薄いアルミですので、簡単に切れます。切断後、ブラシで切りくずをきれいに掃除しましょう。細かいゴミがヘリコイドやカメラに挟まるとやっかいですので、きれいに取り除きましょう。

2. EOSマウント接続

Elmaritの黒いプラスチックの外装をはがすと、EOSのマウント金具よりわずかに太くなります。ヤスリでレンズ側と金具側を少し削ると、ぴったり入ります。少しきつい目の方が良いでしょう。少し接着剤をつけて、金槌で金具を叩き込みます。マウント金具を金槌で力まかせに叩くと歪みますので、ほどほどに。ヤスリがけに自身のある人は、接着剤などいりません。これで、改造終了です。


MマウントとEOSマウントのフランジバックは約16mm差がありますので、その分だけ切り取ったわけです。


マウント金具はシグマやタムロンのレンズから取ってもかまいませんが、それぞれ若干形状が違います。この場合はキヤノンの金具の内径がぴったりでした。


2009.9.20 Helios-40 f1.5/85mmの構成図

以前から探していたHelios-40 f1.5/85mmの構成図がVade mecumに出ていましたので引用します。

厚いガラスを使ってますね。重いはずです。世間の評判よりは良いレンズですし、味わいもあります。グラム当たりの単価では圧倒的な安さを誇ります。ただし、個体差が大きいようですので、良い個体を選ぶ必要があります。値段と品質の相関はあまりありません。私が買った時にも、一番安いのが一番よく写りました。一度ファインダーを覗けばだいたい性能が分かりますので、買う前に覗いてみることをお勧めします。


2009.9.19 Kern Switar f1.9/75mmの構成図

Kern Switar f1.9/75mmの構成図をVade mecumから引用させて頂きます。6群6枚。

これを何型というのか分かりませんが、望遠レンズのようです。バックフォーカスが短くて、一眼レフで無限が出るようには改造できないそうです。


2009.9.18 シネレンズ入門(57) Arco

中将姫光学にアルコのTele-Snowva f3.8/135mmの作例が出ていたので、アルコについて少し調べてみました。アルコのレンズは英国では売られていなかったようで、Veda mecumにはColinar f3.5/135mm(M42), f3.8/135mm(M39x26), f2.8/50mm(Arco35)の名前が記載されているだけです。そこで、「ズノーカメラ誕生」(萩谷剛著、朝日ソノラマ)に”第3章アルコ35”があったのを思い出して開いてみると、アルコの製品一覧表が出ていました。これは完璧な資料ですね。萩谷氏に敬意を表して、レンズ関係だけ引用させて頂きます。

------------------------------
### Removal lens for 35mm still camera ###
Tele Colinar f3.8/135mm (Leica, Exakta, Contax-S, probably Tele-Sonnar type) 1952
Tele Snowva f3.8/135mm
Colinar f2/85mm (Leica, Exakta) 1954
Colinar f4/135mm (Exakta) 1952
Colinar f2.8/50mm (Exakta) 1952
Arco Colinar f2.4/50mm (Miranda, Wray Unilite type) 1957

### Fixed lens for Arco 35mm camera ###
Arco f2.4/5cm (Wray Unilite type)
Colinar f2.8/5cm (Berthiot Olor type) 1955
G Colinar f3.5/5cm (Berthiot Olor type) 1955
Colinar f3.5/5cm (Reversed Tessar type) 1955

### 8mm cine lens ###
f1.8/6.5, 13, 38mm for Arco-8 (1956)
f1.4/6.5, 13, 25, 38mm for K803 (1957)
f1.8/6.5, 13, 38mm for K803 (1958)
f2.8/50mm with mirror finder
f2.8/75mm with mirror finder

### 16mm cine lens, not delivered due to bankrapcy during assembly ###
f1.8/12.5mm, 25mm, 75mm for Arco TV16 camera (not delivered)
-------------------------------

最初に読んだ時には気付かなかったのですが、結構面白そうなレンズがあります。f2/85mmは外観がキヤノンのセレナーに似ています。アルコ35用のf2.4/5cmはWrayにUnilite型のようで、なかなか優秀だったようです。後にミランダマウントの交換レンズとしても売られました。それに、アルコ35用のf2.8/5cmとf3.5/5cmは後玉が3枚貼り合わせのベルチオ・オロール型のレンズで、これも面白そうです。それと、幻のTV16カメラ用のf1.8/75mmにも惹かれますが、残念ながら市場には出なかったものと思われます。


2009.9.17 シネレンズ入門(56) Nikon

Vade mecumに、2000年のAmature Photographerに掲載されたニコンのシネレンズが40本ほど出ていますが、一眼レフ用のレンズを改造したような感じのものばかりで、特にめずらしいものはないようです。戦前にニコンがシネレンズを作ったという話は聞きませんので、古典シネレンズ蒐集の対象とするのは難しそうです。

ちなみに、日本光学が一般写真用レンズであるアニターの試作に成功したのは1929年(昭和4年)。山崎コンゴーが昭和2年、小西六ヘキサーが昭和6年。フジフィルムが映画用35mmポジティブフィルムを発売するのが1934年(昭和9年)。オハラが光学ガラスの製造を始めるが1936年(昭和11年)。戦前に日本の映像産業の基盤が一応整ったようですが、飛躍するのは戦後を待たなければなりません。ひょっとすると初期の日本の戦争映画はベルハウエルの16mmシネカメラとコダックのフィルムで撮影していたが、さすがにそれではまずいので、フィルムだけでも国産化した、ということかもしれませんね。このあたりの詳しい事情は面白そうなのですが、残念ながら私は資料を持っていません。

うちに、Cine-Nikkor 1.9/13mm があります。これは昭和30年から33年にかけて製造されたダブル8用のレンズです。小さくても、ニコンらしい堅実な写りです。


2009.9.16 シネレンズ入門(55) Watson

ロンドンのW. Watson and Sons社では1860年だいから精密な木製カメラとそれに取り付けるレンズを製造。1901年からHolostigmat(反転型ダゴール)を製造。戦後になると、TTHからHopkins氏がやってきて、映画用またはテレビカメラ用のレンズを少し作ります。Vade mecumにも残念ながらあまり詳しくは出ていません。

Watson f1.9/3in
Watson T2.1/4in
Watson f1.9/5in
TV Zoom Watson


2009.9.15 シネレンズ入門(54) Zunow

Vade mecumにはZunowの写真用レンズは掲載されていますが、シネレンズは掲載されていません。Webを探しても完全なサイトはないようですので、いろいろなサイトからかき集めてみたいと思います。

ZUNOW 1inch F1.1 for 16mm cine (C mount) *1
ZUNOW 5cm F1.1 for Mitchell 35mm cine *1

ZUNOW-ELMO Cine 1:1.1 F=6.5mm
ZUNOW-ELMO Cine 1:1.1 F=13mm
ZUNOW-ELMO Cine 1:1.1 F=38mm
TELE-ZUNOW Cine 1:1.1 F=38mm

ZUNOW YASHINON-V 1:1.4 f=6.5mm
ZUNOW YASHINON-V 1:1.4 f=13mm
ZUNOW YASHINON-V 1:1.4 f=38mm
ZUNOW YASHINON-V 1:1.4 f=65mm

ZUNOWMATIC-8 1:1.8 13mm

ZUNOW CINE 1:1.9 f=6.6mm
ZUNOW CINE 1:1.9 f=13mm
ZUNOW CINE 1:1.9 f=38mm

ZUNOW F1.8 12-32mm zoom

参照: *1 「ズノーカメラ誕生」(萩谷剛著、朝日ソノラマ)

f1.4/65mmというのがあったとは知りませんでした。Dマウントです。最初は6.5mmの間違いかと思ったのですが、eBayに出ている写真を見ると巨大なので、やはり65mmに間違いないようです。Webではあまりまとまった情報はなさそうでして、まだまだ抜けがありそうです。


2009.9.14 Leitz ColorplanはUnilite型だった

プロジェクター用のレンズにはペッツバール型のレンズが多いのですが、中には違うものもあります。例えば、ライツのカラープラン 2.5/90mmはエルノスター型のようです、と2年ほど前に買った時には思ったのですが、分解せずに推測たので、怪しいです。もう一度ちゃんと分解してレンズの型を調べてみたところ、何とWray Unilite型だったのです。Wrayのユニライト型のレンズを最近一年ほど探していたのですが、EOSで使えそうなのは全く見つかりませんでした。ユニライト型のレンズがWray以外で作られたという情報も全くありませんでした。あの有名なライツがユニライト型のレンズを作っていて、しかも既にうちにあったとは驚きました。やっぱりレンズの分解は新しい発見があって楽しいですね。


写真を元に断面図を書き起こすと、典型的なWrayのUnilite型ですね。第三群のメニスカスが厚いところ、第四群が両凸レンズになっているところが、クセノタールやビオメータールなどとの主な違いです。


レンズの一番前のスクリューをはずすと全ての部品がぞろぞろと出てきます。2年前に買った時には、こんな簡単な分解ができなかったのです。まあ、分解できたとしても、ユニライト型だとは気付かなかったと思いますが。


レンズだけ取り出してみると、こんな感じです。第二群だけが貼り合わせです。


2009.9.13 謎のレンズメーカー(13) Rank Organization

昨日Rank Organizationが出てきたのですが、これはいったい何だったのでしょうか? Vade mecumの中から拾い読みしてみたいと思います。

Rank Audiovisual/Rank Photographic Ltd.
Rank Organizationはニコンの代理店だったPullin Opticalの事業を引き継ぎ、1970年代に入ると、ニコン、ペンタックス、マミヤなどの販売を行った。サンキョーのシネカメラの販売成功により、Rankは英国の写真関連輸入業者としては最大となった。Rankの名前はRank/Taylor, Taylor and Hobsonと関係するようですが、原文の英語の意味が良く分かりません。

Taylor, Taylor and Hobson, Ltd.,
戦後、英国のフィルムと製造業界の統合によりRank Organizationによって経営された。

Ross
Rossは最近ではRank Organizationの一部になっており、レンズの製作はしていない。輸入品にRossの名前を付けて販売している。

Wray
WrayはHilgerと合併したが、Hilgerはその後Rank OrganizationおよびRank Precision Instrumentsの一部になった。しかし、WrayはRank Industrial Divisionの一部になっていたため、家族経営の企業にとっては難しい事態となった。Wrayは戦後ずっと黒字であったにもかかわらず、結局廃業した。

Aldis
Aldisの事業はPullinに売却され、その後Rank Organizationの一部となった。

どうやら英国の中小レンズメーカーはRank Organizationに統合されたようですが、Rankと名前のつく会社がいくつかあって複雑です。サンキョーのシネカメラが英国で成功したようですね。民生品は結局全部日本製品に駆逐されたようです。悲しむべきなのか、喜ぶべきなのか。


2009.9.12 謎のレンズメーカー(12) Pullin

Vade mecumにPullin Optical Co., High Wycombe and London, UK(プリン光学?)というロンドンの会社が出ていましたので、紹介します。

元々は計測器メーカー。1946年に引き伸ばし用レンズとプロジェクターレンズを製造開始。他に光学距離計、露出計を製造。リンホフの代理店でもあった。テーラーホブソンをやめたH. W. Leeが戦後しばらく在籍した。その後Rank Organizationの一部となった。

最も一般的なコレクター・アイテムとしてはプロジェクターレンズであるPilnar f2.8/100mmがある。1955年のリストにはPlunar f2.8/50mm, 100mm, 150mmが記載されている。

ベルハウエルなどのプロジェクター用にPulkinoというレンズが製造された。
Pulkino f1.7/25, 37.5mm
Pulkino f1.6/51, 62.5, 75, 100mm

Raid用にM39マウントのf2.0/50mmが少なくとも一個作られたようであるが、量産はされなかった模様。H.W. Leeがかかわっていたと思われる。

Pultan f4.5/5.5in(139.7mm) -- Dawe Press Camera用
Wraypul f4.5/135mm -- Wrayの製造したレンズだと思われる


2009.9.11 シネレンズ入門(53) Kowa

Vade mecumには、Kowaが1976年頃、MitchellのBNCRシステム用にシネレンズを供給していたそうです。ミッチェルの廉価版レンズだったようですが、それでも$1,120(15mm)から$605(100mm)だったそうです。この頃は1ドル300円くらいの時代ですから、だいたい20万から30万になります。この年発売されたキヤノン AE-1 50mmF1.4付きが82,000円だったそうですので、やっぱり35mm映画用のレンズは高かったんですね。まあ、AE-1が1年半で100万台売れたのに対して、35mm映画用のCine Prominarは販売量が3桁ほど少なかったと思いますので、当然かもしれません。

Cine Prominar T3.5/15mm
Cine Prominar T2.6/20mm
Cine Prominar T2.3/25mm
Cine Prominar T2.3/32mm
Cine Prominar T2.3/40mm
Cine Prominar T2.3/50mm
Cine Prominar T2.3/75mm
Cine Prominar T2.6/100mm


2009.9.10 Linhof用のPlanar 2.8/100mm再改造

以前改造した時にはLinhofの四角いボードをそのまま使っていましたが、やっぱり異様なので、単に丸く切断した、というのが今回の再改造です。


これが以前の改造。変です。


そこでレンズボードは非常に薄いので、ハサミでチョキチョキと丸く切って、スクリューとフランジを接着してみました。


内側のフランジもボードに接着してしまったので、コンパスなしで脱着できます。


手でくるくると取り付けられます。


後玉とねじ込んで、組み立て終了。


逆ビオメター型で、前玉のカーブがきつく、傷つきやすいです。このレンズにも少し傷がついていたため激安だったのですが、良く使い込まれた証拠という感じで、写りには関係ないと思います。


左がPlanar 2.8/100mm。6x9cm判のリンホフ・テヒニカの中に入るよう、かなりコンパクトに作られているようです。


2009.9.9 MAMIYA-SEKOR 2.8/100mm再改造

マミヤプレスにはF3.5F2.8の2本の100mmレンズがあります。たいがいのマミヤプレズには標準レンズであるF3.5が付いていて、F2.8の方はめったに見ないですし、特に人気があるわけでもありません。F2.8/100mmはすばらしい写りなのですが、自家製の蛇腹に取り付けていたため使いにくく、お蔵入りしていました。今回、Linhof用のPlanar F2.8/100mmおよびSuper-Six F2.0/100mmと比較するために、M57のヘリコイド用に再改造しました。

セイコーの0番シャッターなので、リンホフ用のレンズボードを適当に切って、M57のスクリューに接着します。


アルミのレンズボードは柔らかいので、簡単に切れます。面倒くさかったら、四角レンズボードを切らずにそのまま使っても特に問題ありません。これをM57のスクリュー(ブロニカやミノルタの中間リング)を接着すれば改造終了。


改造したレンズボードをフランジで取り付けて、後玉をねじこみます。


右が改造後のMAMIYA-SEKOR F2.8/100mm。左のLinhof Planar 2.8/100mmと比べてかなり大きいことが分かります。その分、無理のない設計なのだと思います。


2009.9.8 KIPTAR 1:2,3/130改造

昨日Vade mecumで見つけたISCOのKIPTARですが、3年ほど前に千円で購入したままお蔵入りとなっていましたので、引っ張り出して改造してみました。


再度分解してみると、ごく普通のペッツバールで、Pentax 6x7のヘリコイドに入ることが判明。アルミの筒にPentax 6x7の中間リングを接着剤で貼りつけて改造終了。


一番後ろの玉だけコバ塗りされていないのですが、ここでの反射はほとんどないようです。


後玉の部分はすっぽりとヘリコイドの中に入ります。


完成図。


あれれ、シリアルナンバーが2個ありますね。多分9131337で作られたレンズにマウント金具を取り付けて、9131873として出荷されたようです。


2009.9.7 シネレンズ入門(52) ISCO

Vade mecumからISCOについて要約します。

GottingenのISCOはKreuznachのSchneiderの子会社である。最近のテストではレンズの質はシュナイダーと同等であるが、レンズマウントは安物だと言われている。大判のレンズも少しあるが、多くのレンズは一眼レフ用である。Schneider/Gottingenと書かれたレンズもある。シネレンズもある。

次のようなシネレンズがある。
Super Kiptar f1.7-f1.8/45-105mm 6-glass Gauss
Super Kiptar f2.0/85mm (1949)
Kiptagon cine
Duotar f1.5/20mm

ちなみに、うちにあるのは次の2本。
Schneider Jsco 7.5cm セミプリンスというスプリングカメラに付いていたトリプレット
ISCO-GOTTINGEN KIPTAR 2,3/130 ペッツバール型。購入時には逆テッサー型と書いていますが、これは間違い。再度分解したら、ごく基本的なペッツバールでした。改造もできそうです。

ISCOもJscoも同じだと聞いたことがあります。Jscoの方はシュナーダーのシリアルナンバーを使っているようですが、ISCO-GottingenまたはSchneider Gottingenの方は全く別のシリアルナンバーのような気がします。


2009.9.6 シネレンズ入門(51) Ilex

Ilexはシャッターで有名ですが、写真用のレンズやシネレンズも少し作っていたようです。

シネレンズには次のようなものがあります。
Paragon Cinemat f3.5/25, 50, 75mm
Cinemat f1.5/25, 30, 50mm
Telephoto f2.9/100mm for 35mm movie
Telephoto f3.5/150mm for 35mm movie
Teletar f3.5/50mm C-mount
Super Cinemat f2.6/35-75mm


2009.9.5 シネレンズ入門(50) Hermagis

HermagisについてVade mecumから要約します。

M. Hermagis氏によって設立された非常に古いメーカー。1866年の本に太陽光式引き伸ばし機が掲載されている。1860年には分離可能なレンズを製造していたようである。古いレンズの多くは古典的なペッツバール・ポートレート・レンズである。1880年代にはラピッド・レクチリニアも製造し、1989年あるいは1902年頃にはアナスチグマットも製造した。後期にはSOM-Berthiot社と関係があったかもしれないが、はっきりしない。1935年頃までHermagisのレンズが売られていたようだ。

次のようなシネレンズが記載されています。
Anastigmat f6.3 and f4.5 (B.J.A. 1925)
Anastigmat f3.5/40mm
Lynx f3.5/1.325in, 2in, 3in, 4in in the B.J.A. 1924
Lynx f3.5/20, 25, 70mm for 17.5mm, 16mm and 9.5mm cine use mainly on Pathe cameras (1926-1930)
Perlynx f1.9, f2.5/20mm for 8mm cine (Speedic type)


2009.9.4 Vade mecumの序文

Vade mecumを購入してから一カ月ほどたちますが、ずいぶん使わせて頂きました。敬意を表して、その序文を翻訳してご紹介したいと思います。

----------------------------
M. Wilkinson and C. Glanfield

a
lens collector's
vade mecum*

Version 07/05/2001 c.4.3mB

*(英語)参考として持ち運ぶのに適した本またはマニュアル

”Mathew (Matt) Wilkinsonはこの本を書いている途中、1994年11月にタイミング悪く癌で死んでしまった。彼は晩年膨大な情報を収集し、ノートを残してくれたので、我々は彼の遺志を継ぐことができた。彼のノートをベースに、コレクター仲間の熱狂的な支援を得てこの本を世に出すことができた。

Wilkinsonの家族と多くの友人の同意の下、この本の収益はホスピス活動に寄付する。

上の文章はColin Glanfieldが初版のために書いたものであり、その後の版でも変えていないが、少し補足をさせて頂きたい。Mat Wilkinsonはアマチュア写真家であり、銀行家であり、熱心なレンズのコレクターであった。彼はColin Glanfieldの協力を得て、ふたりで強力なチームを組んだ。Colinは古株のプロの写真家で、長年に渡って各年代のレンズとカメラを使った経験があり、特に古いレンズに興味を持っていた。Mattは膨大な資料のコレクションを持っていた。購入したり、Colinや他のコレクターからコピーをもらったりして、Mattが集めた資料が、この本の元になっている。他に、ケント州(ロンドンの南西隣の州)の蒐集家グループも協力してくれた。悲しいことに、この野心的なプランはMattの死によって終わり、Colinが肩代わりすることになった。この時点になって、編集者が資料を見てレンズのリストを作り出した。このリストに徐々に情報を付け加えて本書の編集が進められた。Colinは健康が許す限りこのプロジェクトに協力し、本書の出版を見た後、1999年9月に他界した。

というわけで、VademecumはColinとMattの業績が礎となり、他にも大勢の人に助けられた。そしてVademecumは次第にまとまった資料になっていった。これは商業的なプロジェクトではない。すべての収益はホスピスまたは癌関連の基金に寄付される。本書をCDで配布することにしたのはColinのアイデアである。製造コストを削減できるので、チャリティー向きである。(以下略)
------------------------------


2009.9.3 接着剤 ボンドG17とGクリヤー

レンズの改造をする時、接着剤をよく使います。あまり強度が必要ないところでは瞬間接着剤ですませるのですが、強度が必要なところ(すなわちレンズが落下しては困るところ)では、合成ゴム系の接着剤を使うことも多いです。ボンドG17は非常に強力な接着剤で、粘りがあるので一気にレンズが落ちることがなく安心して使えます。両面に塗って乾かしてから圧着する方式ですので、ゆっくり作業ができて、確実に接着できます。難点は色が黄色いのではみ出すと汚いことと、指に付くと取れないことです。やっぱり指で塗るのが一番うまく塗れます。一方、ボンドGクリヤーは透明なのではみ出しても目立たないし、指に付いてもすぐ取れます。その代わり、いくぶん接着力が弱いような気がします。

数日前に気付いたのですが、G17が指に付いて取れないときは、Gクリヤーを使えば良いのです。手に付いたG17の上からGクリヤーを塗れば良いのです。軽くこすれば見事に落ちます。G17がGクリヤーの溶剤に溶けるということですね。


2009.9.2 トキナーのレンズの歴史調査 History of Tokina Lens 1970-1980

ついでにトキナーも調べてのですが、1970年の時点で既に21mmから800mmまでの単焦点レンズと、90-230mm, 180-400mm望遠ズームのシリーズが完成しています。タムロンと同様に、1960年代を調べなければならなかったようです。今度図書館に行ったら、1960年代の調査をしてみたいと思います。

気になるレンズは、2/28mm, 2/35mm, 2/135mm, 2.8/200mmの大口径シリーズです。1975年から77年のたった3年で消えてしまいました。Sigmaの1.8/135mmもこのころですので、一時的に大口径ブームがあったのかもしれません。大口径といえば、1961年にコムラーが出した1.4/85mmが有名です。コムラーについても、機会があれば調べてみたいと思います。


2009.9.1 無料のVerilog論理シミュレータ

ごく簡単なデジタル回路の論理シミュレーションをしなければならなくなり、Windows Vistaで動く無料のVerilogシミュレータをセットアップしてみました。約15年前ぶりにVerilogシミュレータを使うのですが、当時は高価だったVerilogシミュレータも、今では無料で動くものが(制限つきではありますが) 入手できるようです。本当はSystemVerilogシミュレータが使いたかったのですが、無償ではちょっと無理っぽいので、 普通のVerilogにしました。 群馬工業高専のWebに Icarus Verilog SimulatorとGTKWave波形ビューワーのインストールの方法が出ていましたので、これに従うことにしました。 特に苦労することもなく、あっさりと動いてしました。ありがたいことです。念のため日誌につけておきます。

1. http://www.icarus.com/eda/verilog/ から Icarus Verilog Simulator Windows v0.7 をダウンロードし、インストールする。

2. Win32 GTKWave 1.3.19をダウンロードし、インストールする。

3. PATHの設定を行う。
コントロールパネル--->システム--->システムの詳細設定--->環境変数--->システム環境変数Pathをクリックして編集 ---> 変数値の最後にiverilogとgtkwaveのパス、例えば";C:\iverilog\bin;C:\gtkwave"を追加。

4. Verilog-HDLの中で波形データvcdを作る。例えば以下をclk.vに保存。
module main();
reg clk;
initial begin
 $dumpfile("rslt.vcd");
 $dumpvars(0,main);
 clk = 0;
 #100 $finish ;
end
always #5 clk = ~clk;
endmodule

4. 実行用バッチファイルを作る。例えば、以下をclk.batに保存。
iverilog -o clk.vc clk.v
vvp clk.vc
winwave rslt.vcd

5. clk.batをダブルクリックすればシミュレータが走り、波形ビューワーが立ちあがる。
Search-->Signal Search Treeでmainをクリックし、Appendをクリックすると、main.clkの波形が表示される。

とりあえず簡単なVerilog RTLのチェックになら十分使えそうです。


2009.8.70 タムロンのレンズの歴史調査 History of Tamron Lens 1970-1980

カメラ年鑑を見るついでにタムロンのレンズも書き出してみました。



ずいぶん地味なラインアップだなぁと思ってWebを調べてみると、タムロンのホームページに不完全ではありますが、昔のレンズ情報が出ていました。 旧シリーズMFレンズ Tマウントからアダプトールマウントシリーズまで) と  アダプトールII MFレンズ(1979〜現在) です。タムロンの場合、1960年代に既に主だったレンズの出荷を開始しており、ある程度のシェアを持っていたものと思われます。後発のシグマは35, 135, 200, 300, 400mm単焦点や望遠ズームでは競争に勝てないと見て、12mm, 16mm魚眼レンズや、1.8/135mm大口径中望遠や、4/500反射望遠などの特殊なレンズで新規参入したものと思われます。

タムロンで気になるレンズは1960年のF1.2/58mmです。これって多分、あの有名なタイカ・ハリゴンのことですね。『泰成光学機器製作所』がタムロンに社名変更するのは1970年のことです。やっぱり1970年には、すでにタムロンブランドが浸透していたようですね。


2009.8.69 シグマのレンズの歴史調査 History of Sigma Lens 1970-1980

Y形さんにもらったSigma XQ 4/200mmをきっかけに、シグマの昔のレンズ談義で盛り上がりました。ところが、昔シグマがどんなレンズを出していたかについては、Webには出ていないのです。それじゃカメラ年鑑で調べようと思い立ち、図書館に行ってきました。カメラ年鑑は書庫に入っているので、係員の方に出してきてもらうのですが、いったい何年から何年まで何冊出してもらえばいいか分かりません。とりあえず適当に1970から1980年までの11冊出してもらいました。内容を見てみると、この11冊でちょうどよかったようです。まずは、次のような集計表を作成しましたので、ご覧ください。

1970年代はちょうどシグマの立ち上がり期だったようでして、めまぐるしくレンズが入れ替わります。Y形さんにもらったXQ 4/200mmなど何本かはたった一年しか掲載されていません。

1970年には、F8/12mm魚眼たった一本
1971年に”YSオート”で望遠、超望遠を投入
1972年に”YSオート”の超広角レンズ投入
1973年に”YSオート”の1.8/135mmや2.8/200mmなどの大口径レンズ投入
1974年に”YSオート”の2.8/16mm魚眼や55mm/100mmマクロレンズ投入
1975年に45-135mmや55-300mmなどの標準をカバーするズームレンズを投入
1976年に"XQ"シリーズに一新
1980年にガンマ、アルファ、ベータ、デルタ、カッパ、ラムダなどの新シリーズ以降。広角21-35mmズーム発売。

1980年になると、超広角単焦点、超望遠単焦点、広角ズーム、望遠ズームという、現在に近いラインアップに整理されます。ですので、あてずっぽうでお願いした1970-1980年が一番面白い年代だったと思われます。コメントは表の中に書き込んでおきました。

興味深いレンズがいくつか見つかりました。

1. Zoom f2.8/36-105mmは、1972年のカメラ年鑑に出ていますが、次の年には消えています。次に広角をカバーするズームが再登場するのは1976年のf3.5/39-80mmですから、f2.8/36-105mmが特殊であることが分かります。これは、ひょっとしたら1958年にフランク・バックが設計した5群の光学式ズームであるVoigtlander Zoomar 2.8/36-82mmと似た設計だったのかもしれません。

2. f1.8/135mmは1973年には4群6枚ですが、1976年から4群4枚に変わります。どのように描写が変わったのか知りたいものです。

3. f4/500, f8/1000mmコンバーチブル反射望遠。3.2Kgの大物ですが、9年間にわたり販売されています。


2009.8.68 シネレンズ入門(49) Rodenstock

ローデンストック社を取り上げるのをすっかり忘れていました。ローデンストック社はメガネフレームで有名ですが、写真用レンズでも大変有名です。駒村商会が代理店です。深川精密工房からHeligon f2/50mmのご推薦を頂きましたので、少し調べてみました。

まず、ローデンストック社の歴史というホームページがあります。あまり写真レンズのことは書いてありませんね。やっぱり、Vade MecumからRodenstockのシネレンズについて要約します。

1877年創業。ローデンストック家の子から孫へ約30年毎に世代交代。写真レンズは経営の安定をもたらしたが、他にも、メガネ、双眼鏡、医療機器などを製造。次のようなシネレンズがある。
Euron f2.8/38mm, f2.8/35mm, f2.5/37.5mm, f2.5/12.5mm, f3.5/75mm
Epitritar f3.5-f5.0/300-650mm Projection
Splendon f3.5-f10.5/200-600mm Projection
Splendar f2.5-f4.0/100-250mm Projection
Kinemar Peojection f1.3, f1.6, 18mm, 22mm Projection
Ronar cine f1.9/10, 12.5mm
Heligon f1.5 for Nizo Exposomat (1960)
Ronar, Cine f1.8/13mm
Sironar f2.2/10mm
Yronar f3.5/135mm
Ronagon 0.5x wide converter for 8mm cine

Heligonについては何箇所かに記載がありますが、T2.0のレンズや、シネ用と書かれたレンズは見つかりませんでした。

Heligon f1.9/40mm
Heligon f1.9/50mm for SLR's
Heligon f2.0/50mm for Italian Perseo, M39x26
Heligon f2.0/22mm
Heligon Wide Angle f2.8/35mm M39x26
Heligon f2.8/90mm for Linhof Technika 6x9
Heligon f3.2/90mm
Heligon f2.8/80mm for Graphic 23 (Graflex 23のこと?)
Heligon f2.8/95mm for Graphic XL (Graflex XLのこと?)
XR-Heligon f1.1/75mm X-Ray
XR-Heligon f1.5/100mm X-Ray
Heligon f2.0/50mm for Retina


2009.8.67 Helios-40はやっぱり普通のダブルガウス

Helios-40 f1.5/85mmの構成図はVade Mecumに出ていました。断定的に書いたありましたので、多分間違いないと思います。


レンズはうまく分解できそうにないので、上から覗いてみました。


なかなか美しいですね。それでは以前調べた、反射によるレンズ構成の確認方法、を使ってみましょう。


明るい反射(1-8)が8個ですから4群。2と3が重なっているので注意。8はある角度でしか見えないので注意。暗い反射(c1-c2)が2個ですから貼り合わせ面が2か所あることが分かります。xはレンズとは関係ない反射なので無視。この結果からVade Mecumの構成図と一致していると推定できます。


2009.8.66 シネレンズ入門(48) Zeiss

Vade MecumにはZeissに関する記述が100ページ以上あります。全部読めませんので、"cine"というキーワードで検索していくと、次のようなレンズが出てきます。レンズ名だけでは良く分かりませんが、多分膨大なシネレンズが製造されたものと思われます。何をコレクションすればよいのかは分かりません。

Tessar f2.7/15-165mm
KinoTessar f3.5/28, 35, 40, 50, 75mm
Triotar f3.0/15-210mm
Biotar f1.4/17, 20, 25, 40, 50, 70mm
Biotar f2.0
Ernostar f1.9/50mm for Kinamo
Alinar f1.4/50mm (Projector)
KinoTele-Tessar f4.0/75, 100, 150mm
Sonnar f1.4
Movitar f1.9/10mm for Movikon 8
Tevidon f1.8/16mm, C mount


2009.8.65 シネレンズ入門(47) Voigtlander

フォクトレンダー社では、シネレンズは少ししか作っていなかったようです。

Euryscope f7.7/38mm, 50mm for 17.5mm movie (1899)
Skopar cine f2.7/12.5mm, f2.8/50mm (Nizo 8mm movie)
Cine Heliostigmat = Kino Heliostigmat f2.5/35, 42, 50, 75, 100mm


2009.8.64 シネレンズ入門(46) Steinheil

シュタインハイルは1826年創業の老舗です。1864年にザイデル博士に頼んで新しい数学的レンズ設計手法を開発し、これを用いてPeriscopやAplanatレンズを設計しました。シネレンズも少し製造しているようです。

Cassar f2.5, f2.9, f3.5 (triplet)
Cassarit f2.8/36mm
Quinar f1.8/1in, f2.0/2in, 3in (probably Dynar type)
Cine lens Steinheil f1.5/25mm C mount
Culminon f1.5/75mm
Quinon f1.5/25mm
KinoRedufocus 12.5mm


2009.8.63 シネレンズ入門(45) Laack

Vade Mecumを見ても、Laackについては良く分からないようでして、設立年不明。1930年代に大規模な宣伝が行われたが、イギリスではあまり売られなかった模様。多分第二次世界大戦の影響だと思われます。Laackで作られたシネレンズのは次のようなものがあったようです。

Cine Pololyt f2.0/25mm (1930s)
Cine f2.0, f2.3 15-85mm (Petzval)
Dialytar T f3.5/25mm (Schalie-Collee 16mm cine camera), f3.5/78mm
Polyxentar f1.3/12.5mm, f2.0/???mm (6g/4c)
Pololyt f2.9/20-75mm
Cine Lenses f1.3/12.5, 20, 25mm


2009.8.62 シネレンズ入門(44) Krauss

Zeiss Anastigmatのライセンス生産で有名なフランスのKrauss社ですが、少しだけシネレンズも製造したようです。

Quatryl f2.7/40mm
Trianar f3.0/25mm for Pathe 16/9.5 cameras
Trianar f3.5/20mm for Pathe 9.5mm cine
Krauss Rexyl f1.8/25mm for 16mm cine


2009.8.61 シネレンズ入門(43) Kilfit

Robot, Mecaflex, Fujits/Kowa 6などの設計で有名なKilfitですが、シネレンズも少し製造していたようです。なお、米国ではZoomar Corpが販売しており、Zoomatarまたは両社名併記(Kilfit/Zoomar)で販売されたそうです。

Makro Kilar Model E f2.8/40mm for Arriflex
Zoomatar f1.3/75mm 6-glass
Zoomatar f1.3/180mm
Kilar f1.4/65mm 6g/4c

f1.3があるとは知りませんでした。これはちょっと見てみたいですね。


2009.8.60 シネレンズ入門(42) Ichizuka

Vade Mecumでは、Ichizuky Optical Industry Co. Ltd., Tokyo Japanとなっていますが、これはどうみてもIchizukaのことですね。市塚光学が自社ブランドで売っていたとは知りませんでした。

Kinotar f1.4/13mm
Kinotar f1.4/38mm, 75mm (Petzval)
Kinotar f1.4/25mm 6g/4c Gauss

市塚光学でググると自分の記事が先頭に出てきて、キノ・サンキョーにIchizukaの刻印があると書いてあります。そうだ、思い出しました。国産の怪しい大口径レンズは、たいがい市塚光学か富岡光学が製造したものなのでした。困難を承知の上で日本のレンズを研究するのであれば、市塚と富岡が良いと思います。


2009.8.59 シネレンズ入門(41) Ernemann

Vade Mecumから要約します。
Ernemann社は1888年からカメラの製造を開始。映画用機材の方が儲かることに気づいて、1903年から製造開始。1909年に製造開始したImperatorプロジェクターが有名。1920年代になるとベルテレがエルノスターレンズを開発。その後ツアイスに合併される。

シネレンズには次のようなものがあります。
Kinostigmat f3.0/???mm for 17.5mm filming. For Kino I movie camera which was about the first amateur cine camera.
Ernostar f2.0/35mm, 52mm for movie (1923-1932)
Ernostar f1.9/50mm for 35mm movie


2009.8.58 シネレンズ入門(40) Elgeet

Vade Mecumから要約します。
Elgeet社はシネレンズ、特に非球面レンズを用いたGolden Navitarが有名なメーカーである。大判レンズなども製造した。キングズレークの”写真レンズの歴史”にゴールデン・ナビターf/1.2の断面図が掲載されています。ニューヨークのロチェスターで、8mm映画用を中心に、なかなか意欲的なレンズを製造していたようです。

Elgeet f2.5/7mm, f1.5/13mm, f1.9/7mm, f2.5/25mm, f2.0/25mm, f1.9/75mm
Golden Navitar f1.2/12mm (9-glass with aspheric field flatner)
Navitar f1.9/13mm, f1.9/12.5mm, f1.8/10mm, f1.8/13mm
Cine Navitar
Cenematar
Oscillinavitar f1.9/75mm (6g/4c)
Super Navitar f0.95/120mm (8-glass gauss)
Synchronex f1.8/13mm


2009.8.57 シネレンズ入門(39) Busch

Emil Busch社は1800年創業の老舗レンズメーカーです。昔はフォクトレンダーと巨大なポートレートレンズで競争していました。1871年のドイツ統一以前のレンズには"Preussen"(プロイセン)と刻印されたものがあるそうです。その後、Nicola PerscheidやPantoscopeなどの写真レンズが有名ですが、シネレンズも製造しています。

Kinematoscope f4.0/1.625-3.5in (Petzval)
Kinematoscope f3.1/55mm
Cinematograph Projection 2, 3, 4, 5, 7.5in
Glaukar f2.5/13mm
Glaukar f2.7, f2.8/20mm
Glaukar f3.1/2.375, 3.125, 4.125, 5.125, 6, 7, 8.25in
Glaukar f3.5/20mm
Glaukar f2.0/85mm
Neostar
NeoKino f1.6/50, 100mm, f2.0/50mm (Projector, Petzval)
Filmar f1.5, f1.8/20-65mm (movie copying lens)
Vario Glaukar f2.8/25-75mm


2009.8.56 シネレンズ入門(38) Boyer

フランスの古いレンズメーカーです。ホワイエ、ボワイエ?、ボイヤー?、ホワイエが一番フランスっぽいかなと思います。レンズの名前には宝石の名前を使っているようです。

Saphir f2.3/15-100mm
Saphir f1.9/15-100mm (6-glass)
Saphir f1.4/15-100mm (6-glass)
Saphir f1.0/50, 75, 100mm (Advanced triplet)

結構過激なラインアップで、驚きました。

スチルカメラ用には、Saphir f3.5-f4.5(サファイア)、Topaz f2.8-f6.3(トパーズ)、Beryl f6.8(緑柱石、エメラルド), Opalef4.5(オパール)、Perle f9.0(真珠), Rubis f3.5-f4.5(ルビー)などがあるそうです。彼女に誕生石の名前の付いた古いレンズを贈る、と、多分どんびきだと思いますので、注意しましょう。


2009.8.55 シネレンズ入門(37) Agfa

だいたい予定していたシネレンズメーカーが終わりましたので、ここから先はVade Mecumの拾い読みになります。私も初めて読むことばかりです。

Agfaはフィルムメーカーとして有名ですが、1925年頃にRietzschel社を買収してカメラの製造も行い、後の時代には大量のカメラを販売しました。シネレンズも少し作っていたようです。

Solinar f2.7/20-50mm (Tessar)
Symmetar f1.5/12, 20, 50mm (5-glass)
Kine Anastigmat f2.8/12-20mm, f2.5/11mm, f3.5/20-50mm
Movenar I f1.4/20mm
Movestar f1.9/12.5mm
Prolinear f1.5
Ocellar f2.2 36-65mm (Petzval)


2009.8.54 シネレンズ入門(36) Berthiot

Vade MecumではBerthiotに関して次のようなことが書いてあります。

Berthiot社は1890年代から1980年代までレンズの製造を行ったメーカー。古いレンズが新しいカメラ用に改造されていることがあるので注意が必要。また、C. Berthiot, Berthiot, Benoist Berthiot, Lacour-Berthiot, SOM-Berthiotなど、レンズに刻印されている社名がいろいろあるが、同じ会社である。

次のようなシネレンズがある。
Cinor f0.95/25mm 8-glass Gauss
Cinor f1.4/25mm, f1.5/12.5mm, f1.5/25mm
Cinor-P f1.5, f1.6, 20mm, 25mm
Cinor Special f1.8 12.5mm
Cinor Wide Angle f1.9/6mm, 10mm
Cinor f1.9/10, 12.5, 20, 25, 51mm
Cinor B f1.9 20, 23, 25, 35, 51mm (8mm camera)
Cinor B f2.3 20mm (16mm camera)
Cinor f3.5/100mm
Servo Cinor f1.8 12.5mm
Tele Cinor f4.5/150mm
Lytar f1.8/25mm
Lytar f2.5/12.5mm
Hyper Cine Extender 1.5x
PanCinor 70 Zoom f2.4 17.5-70mm
PanCinor f2.0 17-85mm zoom
他にも暗いレンズやズームがたくさんありますが、省略します。


2009.8.53 シネレンズ入門(35) Angenieux

Vade Mecumのアンジェニューに関する記載を要約します。

多くのコレクターにとって、アンジェニュー社は戦後のシネおよびテレビ用のレンズのメーカーである。高性能の小型レンズを得意とする。レトロフォーカスという商標の逆望遠レンズが特に有名。設計はアンジェニュー氏が自ら行った。

次のようなシネレンズがあります。
Type M f0.95/25mm, 50mm
Type P3 f2.5/75mm
Type P2 f2.5/100mm
Type P4 f2.7/150mm
Type R2 f2.2/18.5mm, 24mm
Type R21 f1.8/10mm
Type R62 f3.5/14.5mm
Type R7 f1.8/5.9mm
Type S2 f1.8/28, 32, 40, 50mm
Type S3 f1.8/75mm, 100mm
Type S41 f1.3/15mm, f1.4/25mm
Type S5 f1.5/50mm

ズームレンズがたくさんありますが、特に明るいレンズだけ記載します。
f0.95 16-44mm
f1.1 16-44mm
f1.5 15-150mm
f1.6 14-140mm


2009.8.52 シネレンズ入門(34) Kinoptik

Kinoptik社について、Vade Mecumから要約します。

Kinoptikは1932年に創業し、1940年までは堅実な経営。1942年、戦争で工場が壊されたが、戦後Rue de Tlemcenで復興。1992年にパリに移転。優れた色補正が特長。Alpa用にApochromatを製造した以外は、ほとんどスチルカメラ用のレンズは製造していない。

戦前:
Apochromat f2.0/25, 28, 35, 40, 50, 75, 100mm, f2.5/150mm (35mm映画用)

戦後:
Apochromat f1.5 9mm 80°
Apochromat f1.8 18mm
Apochromat f2.0/18.5, 35, 40, 50, 75, 100mm
Apochromat f2.5/150mm (35mm映画用)
Apochromat f2.8/150mm for Alpa
Macro Apochromat f2/50, 75, 100mm
Macro Apochromat f2.5/150mm
Kinoptik f1.5/9, 12.5, 18 (16mm映画用)
Kinoptik Special Cine f2.8/210mm, f3.5/300mm, f5.6/500mm, f8/1000mm (all movie)
Stigmar Microfile 5 type 40-75mm
Aerial Photography f1.8/75mm
Radiology Lenses f6/400mm, f6.3/500mm
Peri Apollar: f4/25mm a 360°Panoramic lens
Image Intensifier Lenses f1.3/35, 50mm, f0.7/60mm, f1.1/75mm, f1.3/100mm
Extreme Wide Angle: 197°for 16mm film, f1.9, 100°for super 16mm film f1.8, 108°for 35mm film f1.9
Foyer f2/25mm
Aquilar 260mm
Fulgior f1.3/50mm
Lynxar f0.7/60mm
Grand Angle Special f2.5/12.5mm
f1.8N 9.8mm for Super 35mm film
f1.5N 9.0mm for Super 16mm film
Mecilar N f3/90mm
Tegea f1.8/9.8mm


2009.8.51 XPRES 1.9/75mm 再々改造

以前の改造で使ったニコンの中間リングは、どういうわけかスクリューがうまくかみ合わず、ちょっと落下の心配があります。それに、外見もあまり良くないので、再々改造することにしました。

これが前回の改造。外観的にも機能的にもいまいちです。


これが今回の改造後。購入時に付属していたフランジを使用しています。ちょっとレンズを見せてくれと言われた時に、レンズヘッドをくるくると外して見せることができるようになりました。写真の出来には全く影響しませんが、レンズを自慢しやすなります。


カメラに取り付けたところ。


左からM42-EOSマウントアダプタ、M42ヘリコイド、今回製作した52mm-XPRESアダプタ、XPRES f1.9/75mm。


アダプタをレンズに取り付けたところ。購入時についてきたアルミ製のフランジを6mm厚くらいにカットして、52mmスクリューを接着剤で貼りつけて作りました。このフランジを使うと、どうしてもビスが打てないので使わなかったのですが、接着剤でなら使えます。


2009.8.50 Cooke Panchrotal t2.5/4in再改造

このパンクロタールは絞りが固くて、力いっぱい捻らないと回りません。どうしても絞りの分解ができず、力いっぱい捻るのを何回も繰り返していたところ、マウント金具が外れてしまいました。細いビス3本で止めていたのですが、十分に効いていなかったようです。このレンズをちゃんと調査したいので、絞りを修理したかったのですが、結局断念。

絞りリングに何か挟まっている間感じです。


熟考の結果、ビス止めは廃止して、アルミでレンズをマウントの隙間を埋める方法に変えました。M42の中間リングを切って、少し削って、レンズをマウント金具の隙間に叩き込みます。アルミは真鍮より柔らかいので、叩き込むと変形して接着剤のような効果が得られます。


ちょうど良い大きさのアルミの管さえ見つかれば、この方法は非常に便利です。十分な強度が得られますし、粘りがあるので一気に脱落することがありません。

このパンクロタールは3群6枚の変形エルノスター型の望遠レンズです。16mm映画専用にシャープさを追求して設計されたのだと思います。36x24mmで使うと、強烈な糸巻き型歪曲が見えますが、これは本来の16mm映画では全く見えない範囲です。


2009.8.49 Angenieuxのシリアルナンバーと製造年

Vade Mecumでは、各社のシリアルナンバーと製造年(Chronology)の調査が行われており、ある程度意味のある結果が出た場合には記載されています。Angenieuxの場合には、シリアルナンバーと製造年が分かりやすく出ています。No 234342は1952年(昭和27年)製造のようです。いや、でも、写真工業2004年5月号の28ページの大口径長焦点85mmレンズ年表では1953年新発売となっていますので、1953年製造とした方が良いかもしれません。いずれにしろ、発売当初のもののようです。


2009.8.48 Angenieux P1 1.8/90mm改造

P.ANGENIEUX PARIS F.90 1:1.8 TYPE P1 No 234342

ExaktaマウントのAngenieux P1 1.8/90mmは、マウント金具がEOS 5Dのミラーと接触するため、市販のマウントアダプタでは使用することができません。無限遠が出るタイプでも、出ないタイプでも、どちらも使うことができません。そこで、借用時にはAPS-CのEOS 10Dで使っていたのですが、EOS 10Dが壊れてしまったために、十分テストすることができませんでした。今回、傷だらけで格安のが手に入ったので、とりあえずEOSマウントに改造してみました。


コーティングが濃いです。ファインダーを覗くと、ずいぶんアンバーに見えます。


キャップが非常に汚かったのですが、ちょっと掃除したらきれいになりました。テープの跡がたくさん残っていたのですが、消しゴムでこするときれいになりました。


刻印はルーターのようなもので削っているようです。遠目にはすっきりした文字ですが、近づくとでこぼこです。


これが問題のExaktaマウント。50mmだとEOS 5Dのミラーと衝突しないのですが、90mmは衝突します。重いレンズ対応する強度を出すため、少し金具が肉厚になっているのかもしれません。


前玉の表面が傷つきやすいらしく、傷だらけのようにも見えますが、写りには関係ないと思います。私はこれくらいの方が好きです。一本や二本傷を追加しても全く分からないので、気軽に扱えます。


傷を無理に強調した写真。普通はこんなには目立ちません。


適当にスペーサーをこしらえて、EOSマウントに接着剤で貼ります。スペーサーの厚みは約2mm。これで若干オーバーインフです。


Exaktaマウントをハサミでちょきちょき切ります。何も考えないで、いきなり切ってかまいません。このレンズの内部にはヘリコイドが露出していますので、金鋸やヤスリの使用は控えた方がいいと思います。小さな削りくずがヘリコイドに挟まって固着すると大変です。ヘリコイドをテープでマスキングして保護することは不可能です。それに、ヘリコイドにはグリースがついているので、削りくずが付きやすいのです。一方、ハサミならヘリコイドに挟まるような小さな削りくずが出ないので、固着の心配はありません。


ボンドG17でマウントを接着して終了。


軽いレンズですし、接着面も十分フラットで広いので、ビスを打つ必要はないと思います。EOSマウントだとビスの位置が外側すぎるので、ビスを打つのであれば、Nikon Fマウントに改造した方がいいと思います。多分Nikon Fに改造できると思います。


EOSマウント金具より上に出ていなければ、ミラーと衝突しません。ですから、Exaktaマウントは、ほんの数ミリ切り取ればOKです。


完成図。約一時間で暫定改造終了。


無限遠は問題ないようです。


---ksmt.com---10D日誌---ご意見、ご感想などこちらまで---掲示板---email: ---